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鼠旅行記  作者: 田山 成将
5/6

砂漠越え

「なぁ~、あとどのくらい歩けばいいんだ?」

「お前なぁ。まだ街からそんなに離れてないぞ?」

「ホントだ。まだ遠くに街が見えらぁ」

「砂漠は環境が厳しいぞ?昼間は暑いし、夜は凍えるほど寒むい」

「マジかよ。それで?砂漠越えにどのくらいかかるんだ?」

「少なくて3日、多くても5日かな」

「死ぬぞ」

「死なねぇから大丈夫だ。他の動物も住んでるからな」

「そいつらは、何でこんなところに住んでるんだ。正気を疑うよ」

「さあな。まぁ、そういう生き物ってことだ」

「ふぅん。そうだ、それで――」

アタシがロウに声をかけた瞬間。ロウの上半身が吹き飛ばされた。

「なんだ!うわぁっ!気持ち悪っ!」

攻撃を受けた方向を見ると、巨大なサソリが居た。

ちらりとロウの確認をすると、血や体液を吹き出しながら走る下半身が、上半身目掛けて走っていくところだった。

「もぅやだぁ、アイツ」

素直に気持ち悪かった。

そんなアタシの事は気にもせずに。サソリは、追撃を加えてきた。

ドスンドスンと、音をさせながら砂を叩くハサミと尻尾を避けながら、アタシは毒針を投げた。

しかし、サソリの甲殻は針を全て弾いてしまった。

「畜生!油断した!」

いつの間にか回復を終えたロウが、武器を手にやって来た。

「倒せるか?」

「大丈夫だ。俺が動きを止めるから、お前は毒針を関節に刺せ」

「わかった」

「行くぞ!」

掛け声と同時にロウは、サソリの足を何本か切り落とした。

「おりゃ!」

サソリの怯んだタイミングに合わせて、アタシは針を刺していく。

「留めだ!」

動きの止まったサソリに。ロウは、脳天目掛けて武器を降り下ろした。


「あんなの居るんだな、砂漠って」

「最近は、環境の変化で巨大化してる生物が増えてるらしいな」

「そうなんだ」

「さてと。俺はこのサソリちゃんを夕飯にしようと思うのだが」

「え?これ食えるの?」

「うん。それで、解体に時間がかかるから、ここらで泊まれるようにテントを張ってほしいんだ」

「別にいいぜ?」

「じゃあ、頼むな」

「ん」

アタシは、道具を一式持ってなるべく平らな場所で、作業を始めた。

初めてやったにしては、良くできた方だと思うが。

(この後、テントが倒れてやり直しになったのは、内緒❤ )

それから、夕飯を食べてから。その日は、寝ることになった。砂漠都市まであと2日。


「ロウ、あれなんだ?」

アタシは遠くに見えた水色の物体を指さした。

「ああ、あれは水袋って生き物だな。中身は全部水で。石を投げつけて気絶させたあと、ストローを刺して飲むんだ」

「あれ生き物なのか。昨日のサソリの方が信じられるな」

「まぁ、試してみるか?水袋狩り」

「やりたい!やりたい!とりあえず、見本を見してくれよ」

「わかった。行くぞ?おらぁ!」

ロウの投げた石は、見事に命中した。

「おお!白くなって動かなくなった!」

「あれが気絶した証拠だ。あと何匹かいるけど、多分今ので逃げ始めるから、確実に当てろよ?」

「わかってるって。そりゃっ。」

見事に水袋に石は命中し。水色の体を白く変えて、動かなくなった。

「やった!」

「上手いじゃねぇか!さぁ、取りにいこう」

手に取ると、ての隙間から落ちていこうとする。

「すっげぇ。とぅるんとぅるんするぞ!」

「おい!こっちに投げてみろよ!」

「やるか?おりゃ!」

「おっしゃっ!返すぞ!それっ!」

とまぁ、こんなふうに遊んでいたら事件は起こりました。

アタシ達は、見事に水袋が取れて舞い上がり。自分たちの服装と、水袋の強度を考えず浮かれていたのです。今となっては、馬鹿な事をしたと反省しています。

投げて遊んでいた水袋は、アタシ達のそれぞれの服の金具に当たり、弾けて足下の砂に吸い込まれて消えて行きました。

「・・・・」

「・・・・」

「なんか・・ゴメンな・・」

「うん・・平気・・・」

「歩くか?・・」

「歩こう・・」



その後は、ひたすらに夜になるまで歩き続けました。そして、そのまま昨日のサソリの肉を食べて寝ました。


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