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閑話 道を忘れた案山子

道を忘れた案山子(スケアクロウ)



案山子(スケアクロウ)には『昔』がない。

それはつまり『過去』がないという事だ。

『過去』がない、故に『過去仮定』もない。

しかし案山子(スケアクロウ)はそれを悔やんだ事がない。

『悔やむ』という行為自体、案山子(スケアクロウ)にはないのだから。

案内人(ナビゲーター)さま。砂時計が落ちました」

「分かっておりますよ、愛しい案山子(スケアクロウ)

黒の世界に唯ひとつ、色を保った闇色が呟く。

代わり映えのしない空間の何処かをちらりと一瞥すると、やおら闇色は肩を竦めてみせた。

「あぁ、困りましたね案山子(スケアクロウ)。今度のお客さまは、少し難しいかもしれませんよ」

視線の先は黒ばかりだというのに、闇色は其処に何かを見つけている。

確かに存在する、何かを。

「けれど案山子(スケアクロウ)。お客さまがみえるまでまだ時はありそうですよ」

「意地悪な案内人(ナビゲーター)さま。案山子(スケアクロウ)は早く見たいのに」

不貞腐れた案山子(スケアクロウ)に、闇色は微笑んで呟いた。

「我が儘なわたくしの案山子(スケアクロウ)。ならば曲を奏でましょう。案山子(スケアクロウ)が好きな、あの曲を」

闇色の言葉に、案山子(スケアクロウ)は笑い声で答えるのだった。





【道を忘れた案山子】

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