王宮との関係
翌日、俺は母親らしき女性に抱かれて馬車に載せられた
隣には例の殺人ダディが載っている
「出せ」
父親の命令で馬車が発車する
「日が昇るまでに王宮につけ、でないと殺すぞ」
相変わらず物騒な事を言う男である
とダディが俺を覗きこんだ
「家の裏の花壇な、あれの養分は、粗相をした使用人だ。使用人の死体が埋められている」
「もう、事実無根な事ばかり言うのはやめて下さい」
母親が叫ぶように言って
「そんな事ないですからね、だいじょぶでちゅよ」
と俺に語りかけた
それにしてもこの父親は、まるで俺が言葉を理解できることを知っているのかのようだ
不気味だ、なるべくかかわるのはやめよう
やがて、馬車は大きな、まさに城と呼んで差し支えない場所に入っていった
型通りの豪奢な玉座、映画でしか見たことがないような王の間がそこには
あった
「おお、これはキャトル様、よくこられました」
王がそう言って父親を迎えた
王が様をつけるなんてどんだけ俺の親父は偉いんだろう
「その子が、貴方様のお子様ですか」
「いや、橋の下から拾ってきた子だ」
「またまたそんな事を」
母親が呆れたように言う
「ほう確かに聡明そうなお顔をしておられる」
「どーみても猿の親戚だと思うが」
いちいちうるさい親父である
「うるさい、殺すぞ」
ダディがまた俺の顔を覗きこんで言った
こいつ絶対俺が言葉を喋れることを理解してるだろ!
「とりあえずこいつの養育がこの国の役目ということだ」
父親はそう言うと俺を王に差し出す
「ゼノガイア教団の後継者」
王が俺を覗きこみながら言う
「まあ、私は不死身だから後継者などいらぬがな」
「では、何故、お子様を?」
「言ったはずだ橋の下から拾ってきたと」
俺は段々不安になってきた
本当に俺は橋の下から拾われてきた赤の他人なのかもしれない
母親はそんな俺の不安を癒すのように俺をあやした