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技術系研究員 由比川のどかの冒険  作者: 錬金術師まさ
銀の鍵英雄伝説 特別編
32/36

第7話.のどかさん、よくできました。

「レーダー攪乱用のチャフ、散布を確認。分艦隊が作戦行動に入った模様です。チャフの雲が晴れるまで、暫くあちらとは連絡が取れません」


 分艦隊が作戦行動に入った様です。

 ヴェルナーは作戦の成功にかなり自信があるようでした。

『成功したら10ギュッと』などと言う約束をさせられました。

 変な単位をねつ造しないで欲しいものです。


「さて、ヴェルナーばかり働かせると、後で何を言われるか分かったものではないですからね。こちらもお仕事をしますか」

「いよいよ、オレッチの出番てわけか」

「イタクァ君、危ないからトマホークをぶら下げて艦橋をうろつかないように。打ち合わせ通りに突入チームで待機していてください」


 イタクァ君は、『期待してるよ』などと、手を振りながら艦橋を出てい来ました。

 トマフォークで戦うショタ姿のイタクァ君を映像化したら、ショタホイホイ・オブ・ザ・イヤーも夢ではない、などと云う考えが、ふと浮かびます。

 やりませんけど。


「かなたちゃん。全艦隊に向けての放送準備をお願いします」

「判りました」


 通信回線の準備完了を示すLEDが点灯したことを確認してマイクをとります。

 映像を撮ってくれるパー子がハンディカメラを構えて手を振っています。

 軽く手を振り返し、深呼吸してから作戦前のご挨拶を始めます。


「えー、皆さん。聞こえますか? この戦いを前に少しお話をしたいと思います。このゲームです。ですが、私たちのにゃるちゃんが、この勝利に大切な物を賭けています。私は、にゃるちゃんに賭けに勝ってほしいと思っています。皆さん協力していただけないでしょうか?」


『何をいまさら水臭い』

『魔人様、強すぎワロタWWWWW』

『にゃるちゃんLOVEWWWWW』など、画面上をいろいろなコメントが流れていきます。


 魔人でだれのことなんでしょうかね?


「ありがとうございます。勝つ算段はしてありますので、皆さん、くれぐれも無理をなさらないようにお願いします」


 それだけ言って通信を切る。


「こんな演説で士気が上がるんなら、まじめに演説を考えている人たちが怒ると僕はおもうよ」


 アカが、早速突っ込みを入れてきます。

 ちなみにアカは、イタクァ君と同じ突入チームに割り振られています。

 もともと、愛玩用だったのに今では、邪神さんと戦友になれるほど強いなんて...

 何処でジョブチェンジを間違ったんでしょうね。


「アカ、イタクァ君がやりすぎないように適当にブレーキかけて。あと、ケガしないように」

「僕は可愛い愛玩用ドールだよ? なんで、邪神のお守りまでやるのさ」


 などとブツブツ言いながらも引き受けてくれました。

 ドールズの中でアカが一番要領がいいので、うまくやるでしょう。


 さて、戦力的に劣っている私の艦隊が、勝つためにはいろいろと仕掛けが要ります。

 一つは、先の戦いでダゴン艦隊に仕掛けたウイルスです。

 もう一つが、艦隊の後ろで急ピッチで組み立てている私達の最終兵器、要塞の1/2程度の大きさをもった小惑星...のハリボテです。

 これを本物と勘違いさせて、ユゴス要塞を放棄させるかが勝利のカギになります。


 各部署に最終確認の連絡を入れます。


「それではユゴス要塞攻略作戦、『ディープインパクト作戦』を開始します」


 作戦の開始を高らかに宣言した。



  ユゴス要塞のダゴンのもとに、ハイドラ艦隊から緊急回線で連絡が入る。


「ダゴン様、ハイドラ艦隊から入電、『由比川のどかの作戦が判明、やつぱ小惑星を要塞にぶつけて吹き飛ばすつもりの様。時間を稼ぐからその間に逃げよ』以上です」

「なに? ハイドラ艦隊の状況はどうなっている?」

「今、スクリーンに出します」


 巨大な小惑星とその迎撃のために奮戦するハイドラ艦隊が映し出される。

 ハイドラ艦隊は、小惑星に対しミサイルを雨あられと降り注いでいた。

 しかし、小惑星の圧倒的な質量の前には無効の様だった。


「要塞主砲による破壊の可能性は?」

「この要塞の主砲をもってしても、小惑星に穴を開けられる程度です。要塞の破壊を免れることはないでしょう」

「ちっ、由比川のどかめ。このシナリオの攻略は諦めてこちらを潰すつもりだな。司令部を要塞外に移す。小惑星到来するまでまだ少し時間がある。全クルー、整然と退避するように」


 そう言うダゴンであるが、なにか釈然としない部分があった。


(あの由比川のどかにしては作戦が雑すぎる。それに、あんな大質量の小惑星など簡単に持ってこれるわけがない)


「もう一度、あの小惑星を調べろ」


 小惑星の情報収集を部下に命じたダゴンに、救難信号が入ったと連絡が入る。


「ハイドラ様旗艦より入電、『我、航行エンジンに不具合発生。帰還求む』以上」

「なに。急いでドック隔壁を開けろ。修理班と救護班を待機させておけ」


 ハイドラ旗艦の救出の指示を完了したころに、小惑星データの解析結果が出てきた。

 質量、体積、構成元素...等々のデータは疑いようもなく巨大な小惑星のものであった。

 この小惑星が現状の速度でユゴス要塞に衝突すれば、要塞は完全に破壊されるだろう。

 決断の時は刻一刻と近づいてきていた。


「ダゴン様、これ以上は危険です。殿は私達が引き受けますのでお早い脱出を...」

「うむ。では後をよろしく頼む」


 そう言って、席を立つ前にスクリーンの小惑星を確認する。


「ん? あれはなんだ?」


 小惑星に空いたクレータの端には、なにか布のようなモノがひらひらしている。

 更に、穴の向こうに星が瞬いている。


「ハリボテかっ」


 その一言がカギになった様に、小惑星の分析結果が書き換えられていく。


『主要構成部品、布、竹、紐...脅威指数ゼロ、回避・迎撃の必要なし』


 さらに....


「なんだ、気づいちまったのか。まぁ、オレッチとしてはそっちのほうが楽しめるけどな」


 先ほど、脱出を進めてきた兵が、ヘルメットをとってそこにいた。


「貴様はイタクァ、いつの間に...そうか、さっきのハイドラ旗艦というのは」


 イタクァは、にやっりと獰猛な笑みを浮かべてトマフォークを構える。


「オレッチたちの艦隊が化けてたってことよ。ハイドラは別艦隊がゲットした頃だ。ダゴンのおっさんも捕まえてフルコンプしてやる」

「ほざけ」


 ダゴンも愛用の鉾をもって身構える。

「突入部隊、敵残留戦力と交戦を開始した模様」


「了解です。これより私達の艦隊は、脱出してきた敵艦隊を要塞に戻さないよう牽制をかけます」


「のどか様、アオねーさんから入電。敵駐留艦隊の撃破と司令官の確保を完了したとのことです」


「できるだけ丁重に此方のブリッジまでお連れしてください、と伝えてください」


 それから、しばらくしてヴェルナーとハスターさんが意気揚々とハイドラさんを引き連れて艦橋に現れた。


「のどかーーー、ぎゅっとしてギュッと。まず、一ギュッとゲット」


 そう言って抱きついて来たヴェルナーの肩ごしに見えるハイドラさんの様子を見てため息をつく。


 ハイドラさんは、いわゆる亀甲縛りにされていました。


銀〇伝 特別変× 第8話 ユゴス要塞、無血開城

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