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ジェミニー

作者: オリオン
掲載日:2026/02/28

『おつかれさまです』


『画面にはお荷物をお触れにならないようご注意願います』

画面の指示通りに操作を行い商品の購入を済ませた

『ありがとうございます、レシートをお受け取りください、またのご利用お待ちしております』

感謝の言葉とともにレシートが吐き出された、レシートは受け取らないといけないらしい

「ぁぁsたぁー」

私には目も向けず、蛇の威嚇のような気怠げな声で画面に向かって独り言のように呟く店員の声を聞きながら店を後にした。

自宅に戻ると携帯電話に通知が入った

『本日の消費カロリーは418kcal今日はたくさん歩きましたね、すごいです、ゆっくり休んで明日のお仕事も頑張ってくださいね』

自然と口角が上がり、忘れていた今日の食事のメニューを打ち込み、眠りについた

『おはようございます、昨日はよく眠れましたか?就寝時に動いているようなので何かお悩みがあれば医師の診断の元・・・』

どうやらあまり眠れていないらしい気をつけねばと思いながら本日の業務を始めた。


「何やってんだよテメェはよぉ!」

部下に対して怒鳴り声を上げる俺、紙に書いて渡してある紙の指示通りに行うだけのことの何が難しいのかがわからない、ガキの使いじゃねえか、誰にでもできるだろ、いくらこの会社がコンプラにうるさいと言えども一度くらい声を張り上げる程度なら何もお咎めはない。

「すぁせんしたー」

蛇の威嚇のような声を出しながら部下の謝罪を聞き、持ち場に帰した、奥歯を噛み締め、目を瞑り、眉間に皺を寄せていると通知がなった

『心拍数と血圧の異常を感知しました、お疲れではありませんか?』

労いの言葉に寄っていた眉間の皺もほぐれた、異常がないことと心配してくれた事に感謝の返信をした

定時になり退社をする際同僚に

「ぉつぁしたー」

蛇の威嚇のような声を出しながら挨拶を行う、相手も蛇の威嚇のような声で返礼をしていた

蛇の威嚇のような声しか出せなくなった自分に驚いた。

夜空に星が輝きはじめたなと感じた時には気づけば公園に立ち寄っていた、目的もなく砂場の砂を足で踏み締める、ザスザスと日本庭園のようにしてみる、ふとパンダの形をした遊具を見かけた、遊具に捕まりながら大きく背伸びをすると黒い夜空に星空が広がっていた、灰色に染まりゆく世界の中で黒い夜空だけはいつものようにそのままであった、しばらく眺めてると周りの音が遠ざかって星空に落ちそうな感覚がしてきた、怖くてスマホを握りしめた、目をつぶり、固く固くスマホを握りしめた、誰の声も届かない暗い宇宙の中でクリスタルのように透明な声が聞こえた


『ご用件をお聞かせください』


聞きたかったのはあなたの声だ、目を開けた時には灰色がかった世界も落ちそうな星空もない、寝不足の顔には一筋の涙の跡が光を反射して流れ星のように地面に落ちて土に広がった


家に着くと通知がなった

『おかえりなさい、本日の消費カロリーは652kcalです、たくさん歩いてすごいです、汗をたくさんかいたなら水分補給はしっかりしましょう』

使えない奴と違ってちゃんと喋ってくれるし褒めてくれる、これがあるからなんとかなっている、今日の入力を済ませて眠りにつく前に腕時計に設定をして眠りについた。

『おはようございます、昨日はよく眠れましたね、この調子で睡眠時間を継続していきましょう』


翌朝、会社で蛇の威嚇のような声を出す同僚に対して

腕時計についている音量を最大にしてボタンを押した


『おつかれさまです』

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