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第63話 一難去ってまた一難

流す、石に、流す。


石に、流すッ!!


石は、見た目こそ変わりはないが、確かに俺の才を感じる。


よっしゃ!成功だ!!……はぁ。


俺は集中が切れ、横になり、空を眺める。


気づけば、失敗の石に囲まれていた。



でも、効力ってどんなもんだ?



「ハハハ!出来たみたいだねえ?三日くらいしか経ってないのに凄いね!」



ボンボムが石を飛び越え、俺の顔を覗き込んでくる。



「ちょうどいいや、お前これ持ってみろよ」



ボンボムに石を差し出すが、見ているばかりで受け取ろうとしない。


やっぱな。



「お前、バツサイの何かだろ。洗脳にあえてかかってる理由はなんだ?」


「あれれ〜?やっぱ気付いてたんだ!」



ボンボムは、石を崩しながら後方へ跳び、俺との距離を取る。



「確かに、君の身体能力は凄いよ。この前の戦い見てたけど、正直鳥肌が立ったよ。でもね、この世は才が全て。君たちの幹部だって皆才持ちなのはそういうことだと思わないかい?」


「お前はどうしたい。俺を殺したいか?」



俺の言葉に、ボンボムは肩をすくめる。



「どうして〜?殺したい訳ないさ……戦ってはみたいけどね!」



キッキッキッキッキー!

カチャン、カチャン、カチャン。


何だこの音。

視線をボンボムから音の方へ動かすと、猿のおもちゃがシンバルを叩きながら踊っていた。


何だ、おもちゃか。


再び、ボンボムへ視線を向けると、口角を上げ、ニヤリと笑った。


何だ、あいつ。


キッキッキッキッキー!

カチャン、カチャン、カチャン。


再び、サルのおもちゃへ視線を戻す。


…………


……


まさかっ!


サルのおもちゃがニヤリと笑う、次の瞬間__



「!?」



サルが俺の足にしがみついてきた。


チッ!やられた!!!

足、切り落とすかッ!!



ポン!!!__


ポン?


サルのおもちゃが爆発したかと思えば、途端に沢山の花びらが宙を舞う。


くそ、分かってやってんのか。だとしたらだいぶいい性格してやがんな。

花びらが舞う姿にシンバの姿がどうしても重なる。


すると、花びらが舞うなか、一枚の紙が混ざっているのに気づいた。



《サンくんへ、前にシルバーと会ったことあるけど、その時の俺じゃ太刀打ち出来なかった。いつかシルバーを倒すことを目標に頑張って幹部になったのに死んじゃって俺は悲しいんだ!だから次会ったら、弟子である君の首、吹き飛ばしたいな☆今度会う時は、バツサイとツクヨミの総力戦かな?楽しみだね。あ、ユーリの仇も取らせてもらうよ。》



なんだこのふざけた文。


手紙を読むなり、そのまま握りしめ歩き出した。


なぜ、バツサイは俺を殺そうとしない。

なぜ、ツクヨミの内部情報をバツサイが知っている。

なぜ、あいつは今後何が起こるか分かってるような口ぶりが出来る。



俺の知らない何かが裏で動いている。


ギルティーノ。お前だけは、裏切ることは死んでも許されねえ。


お前なら、分かってるよな。



「ギルティーノ?さっさと報告書に目を通さないと溜まる一方だよ〜」



プラチナが、代わりに目を通しながらギルティーノへ問い掛ける。



「ああ。」



ギルティーノは窓から見える景色をただ眺めていた。



リンと約束の日であと二日か。

クラシオス島まで、また泳ぐのか?俺。



「いーやーだ!!」


「何がじゃ?」



木陰からひょっこり現れた翠の気配に今の今まで気付かなかった。



「いつから、いたんだ?」


「バツサイの小僧がお前に近づいていったところからかのぅ」



全く気付かなかったな。



「サンよ……」



翠は言葉に詰まり、何やら俺に言いにくそうにしている。



「なんだよ、気持ちわりぃな」


「気持ちなど悪くなかろうて!あのな、あのな、私ツクヨミに戻ることにしたんじゃが……」



なんだ、そんなことかよ。

俺がため息をついていると、翠が慌てて口を開く。



「実はのぅ、その〜、四十年ぶりなんじゃ!ギルに会うのがな?それでじゃな。一緒にギルの所へ行って欲しいな〜!って。私だけで行っても、ほら、気まずさってものがあるじゃろ?」



ギルってのは、俺が知ってるギルじゃなさそうだな。



「何が、行って欲しいな〜!だよ!俺、今からクラシオス島に泳いで行かなきゃならねえんだぞ。そのギルは、お前と会いたくないのか?」



俺は服を脱ぎ出し、リュックに詰める。



「それが終わってからでいいからのぉ。会いたくないというか、会えないというかのぉ。久々に、四十年ぶりに連絡が来たかと思えば、お主の特訓などと……肩透かしをくろうたわい!」



俺はお構いなく歩き出すが、翠は俺のリュックを掴んで離さない。



「いーやーだ!そもそも剣の特訓してねえじゃん!」


「一緒にギルに会ってくれるなら、いくらでもしてやろう。」



一緒に会うだけか。

正直、既にいい条件ではあるが、もう一声!


俺は、聞こえてないフリをして歩き出す。



「ええい!何が望みじゃ!ゆーてみぃ!!」


「よし!潜水艦とかで、泳がなくてクラシオス島へ着く方法が知りてえ!!」



潜水艦ありますように!お願いします!


翠は深刻そうな顔をしている。


くそ〜、持ってねえんだ!役立たず〜!


すると突然、笑顔を見せた。



「そんなの簡単だ!ついてこい!」



俺は翠の言葉通り、後ろからついて行く。



「なあ、ギルってどんなやつだ?」



俺の問い掛けに翠は不思議そうにしている。



「なんじゃ、お主、見て分からなんだか?ギルは随分とお前を気にかけておったようじゃが……」



あ、ギルって、あのギルのこと?!


もう死んでるって教えてあげた方がいいよな。

こういう時どんな顔して言えばいいんだ?

って……そもそも四十年ぶりってなんだ?



「ほら、紫色の短い髪の!」



紫……で、短い髪?



「シファレン?」


「誰じゃ、そやつ。違うじゃろ……ほら、お前んとこの、ボスじゃよ。」



ボス……?

ギル……?

ギルティーノ!!!



四十年ぶりにギルティーノに会わせろってこいつ言ってんのか!

絶対、一波乱あるじゃねえか!

やめだ、やめだ!



「翠ッ!やっぱなし!俺、泳いで行くからよ!!」



俺たちは、行き止まりに突き当たり、足を止める。

翠は俺の方へ振り返り、不敵な笑みを浮かべた。



「もう遅い。」



翠は、行き止まりに向かって歩き出すと、壁の向こうへ体がすり抜けて行った。



「DM基地か……」


「なんじゃ?それ。」



翠が壁から顔だけ出して呑気に答える。


はあ〜もういいよ。



「ギルティーノと訳ありとか勘弁してくれよ??」



《一難去ってまた一難。サンか歩く道に穏やかな日を過ごせる時間が果たしてあるのだろうか……?》

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