第58話 いざ、グロース島上陸!
俺が港へ着くと、学校の生徒たちが先に俺の見送りに港へ集まっていた。
「サン様来たよッ!」
集まった学生が何やらゴソゴソと準備している。
すると、急いで作ったのだろう。
『サン様、任務いってらっしゃい』と書かれた大きな紙を俺に向かって掲げた。
これは……。
___『祝帰還!ギル様、シンバ様、キーマン様』____
懐かしいな……
俺が初めて本部に来た時も、シンバたちの応援に、こうやって皆が駆けつけていた。
そこに、俺の名前が……
感慨深いな。
俺が言葉も出ず、立ち尽くしていると、学生の中からログとキズナが出てきた。
「サンさん!任務頑張って下さい!死なないで下さい!絶望していたユアン国民にとってあの時現れたサンさんは僕の一生のヒーローですッ!」
そうか。ログはユアンの時、あそこに居たのか。
キズナもログに負けじと続ける。
「オレ、ログにも誰にも負けず強くなりますッ!その時、貴方と肩を並べて戦いたい。その時、貴方に褒められたい。貴方が好きです。」
へ?!こいつ、今、やっぱり、す、す、好きって、言ったよな?
俺が戸惑っていると、キズナは腹を抱えて笑い出した。
「サン様!そんな感情丸わかりだと、敵にあっさりと利用されますよッ!」
「俺をからかったのか!そしてサン様って言うな!一緒に戦うんだろ?」
キズナは小っ恥ずかしい事も、平然と言ってくる。
聞いてるこっちが恥ずかしくなる。
「その時に、サンって呼びますよ!」
俺が拳を前に突き出すと、キズナも応えて拳を合わせる。
「ちょっと、キズナ。サンさんの右腕です。見たいな顔はやめろ〜!!!僕が、サンさんの右腕になるんだから!」
「弱いやつは右腕になれねえんだよーログくん。」
「へー!僕より強いの?」
「当たり前だろ?お前この間ここに来たばっかじゃん。」
「それは、サンさんもだろ?!」
ログとキズナの相変わらずのやり取りに笑みがこぼれる。
俺はログとキズナの肩に腕を回し、円陣を組んだ。
「ぼーっとしてっと、俺との差が広がるだけだ。俺も死ぬ気でやる。お前らも適当に過ごすな。一分を一分で過ごすな!!」
「「はいッ!」」
ログとキズナの瞳には、生気に満ちていて、輝いていた。
「でも、サンさん。一分を一分で過ごすな!とは……?」
ログの問い掛けに、改めて聞かれるとなんだか小っ恥ずかしさが込み上げてくる。
「んー直感的なことだからなぁ……例えば、一分をただ過ごすのと、いままで五分でしていたことを一分で出来れば、得られる成果はその分、増えんだろ?……ん〜自分でも何言ってんだろうな。」
俺自身の語彙力に頭を悩ませていると、ログは何かを汲み取ってくれたようで、俺に続けて口を開いた。
「いえ!僕は、分かりました!10キロをそこそこで走るところを本気で挑んで50キロ走れってことですよね!」
「そ、そういうことだ!!つまり、常に自分と戦え。しんどくても、戦う。死に際に後悔しないように。」
キズナとログは俺の言葉に頷いた。
「また、帰ってきたら、顔見せる。」
俺は振り返り、潜水艦へ乗り込む。
あ。
俺は急いで港へ戻り、常駐している整備員へ確認する。
「燃料、ちゃんと積んでるか?どこまで行ける?」
「燃料は、半分ほど積んでおります!そうですね、グリーンズまでは余裕かと!」
グリーンズ?チラッと地図に出てきてたな。たしか、メタル大陸の国だったはず。
たしか、地図で見た感じでいくと、ここからはメタル大陸の方が、ウォーター大陸より離れてそうだったから……大丈夫だろ!
「良かった!ありがとうな!」
俺は大きく手を振り、潜水艦へ乗り込む。
よし!今度こそ!
「潜航ッ!!」
プシューーーーー
レバーを倒してっと……
ここが、こうなればレバーを引いて、浮上するんだったな。
よし、イメトレ完了。
しばらく潜っていると、聞き覚えのあるアナウンスが流れてくる。
ビーッビーッビーッ。
《燃料切れ、燃料切れ、直ちに緊急脱出を。》
おいおい、嘘だと言ってくれ!!
急いで緊急脱出口へ向かう。
《燃料切れ、燃料切れ、システムが停止します。3秒後に海水が入り、その後ドアが開きます。》
海水が流れ込んでくる。
あっという間に海水で部屋が満たされ、緊急脱出口が開いた。
沈みゆく潜水艦に既視感を覚えながら、俺はひたすら上へ上へと泳ぎ続けた。
ようやく、海面から顔を出し、呼吸が出来ると、改めて生きてると実感する。
「ありがとう、命。」
そんなことより、ギルティーノ。
今度会ったら絶対に……
「お前の結婚指輪かち割ってやるからなぁああああ!!」
その頃、ギルティーノとプラチナは任務を終え、帰還した隊員の報告を受けていた。
「〜よって、メタル大陸にて、野良の才持ちは確認出来ませんでした。」
「そうか。シルバー軍隊員には継続でメタル大陸にて、自覚済みの才持ちの動向を見つつ、野良の才持ちが居ないか捜索を続けてくれ。」
「承知しました!失礼しますッ!」
隊員は、一礼し、ギルティーノの部屋、司令室から立ち去った。
「サンくん、今頃また泳いでるかな〜?」
「ああ。今度は、整備員に言って少し角度を調整させたからな。流れてもグロース島へ行くはずだ。」
ギルティーノは得意気に言うが、プラチナはため息をつく。
「そんな面倒臭いことするより、普通に燃料積んであげなよ〜」
「……」
「無視ッ?!今、確かに。とか思ってるんでしょ〜!」
「ああ!盲点だったな!サンには悪いことした!ま、これも修行の一環だな!ハッハッハ!よし、休憩しよう。」
「ギルティーノ。さっき、休憩したよ〜。」
俺は、遠くに見える島に向かって、全力で泳ぎ始めた。
今度は日が落ちる前にッ!!
しかし、思いの外、クラシオス島まで泳いだ経験が功を奏したのかあっさりと島に到着した。
よし、ここが!グロース島!!
休憩なしに全力で泳いでたからな。
足がパンパンだ……
砂浜が気持ちいい……
一眠りしよう。
………
……
…
ふぁ〜!!起きるか。
起きると、サングラスをかけた男が俺の顔を覗き込んでいた。
「お、起きた、起きた。」
ん?この顔……どっかで……。




