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第56話 期待の学生達 名をログとキズナ

俺とザザンは校庭いっぱいに広がる。


訓練場より狭いし、直ぐそこには校舎だし。戦いずらいな。



「ザザンさんより強いのかな?サン様。」

「噂ではサン様の方が強いって話だけど……」

「でも、ザザンさんって、歴代でトップの成績で卒業されたんだぞ?」



騒がしいな。学生達はどうやらザザンに憧れてんだろうな。てことは……これ、ザザンに負けた方がいいんじゃないか?



そんな考えを見透かしているかのように俺へギルティーノが声を掛ける。



「サン、剣は預かろう。殺しては話にならんからな。」



ギルティーノの言葉に学生達に緊張感が走り、空気は静まり返る。


俺は腰のベルトを外すと、ギルティーノに渡すと、こっそり耳打ちしてきた。



「我にシリウスたちが残したものを見せてくれ。」


「ああ。」



所定の位置に戻る俺とザザンの目が合う。



「サンくん!俺も、強くなりたいッス!」



ザザンの言葉に俺の口角が上がる。



「奇遇だな!俺もだ!!」



ザザンが地面を蹴った瞬間、俺も合わせて地面を蹴る。



俺とザザンの速さに学生達は追い切れずに騒然としている。



ダアアアン!__


俺はザザンの顔面を狙ったが、ザザンは両手で俺の拳を受け止める。



「……ッ!止めただけなのに痛ってえ〜ッス、流石ッスね」



止められたか……俺も強くなったようにザザンも強くなった。


だけど。


俺は口角を上げ、ニヤリと笑う。



「ザザン。悪いが俺の方が強くなった。」



俺は地面を蹴り、一回転し勢いをつける。

ザザンが呆気に取られている間に、俺の踵はザザンの脳天へ直撃した。



「ガハッ!」



校庭に亀裂が入る。

ザザンはそのまま倒れ込み、気絶していた。



「フィル。」

「はい。」


フィルはザザンに駆け寄り、治療を始めた。



「お疲れ様。いい動きだな。」



ギルティーノから剣を受け取ると、ベルトを巻き直し、剣を収めた。


その瞬間、その場は歓声に包まれた。



___『ザザンに勝っちまった…』

『あいつあんなに強かったのか』

『今まで色々言ってたの大丈夫かな』

『復讐されたらどうする…』___


あの時と同じ状況なのに、この歓声に不快感を感じない。



何でだろう。何が違うんだ。



「お前が頑張ってきた結果だ。誇っていいぞ。」



そうか。


ギルティーノの言葉が俺の心にストンと落ちる。


前の俺は、賞賛される自分の強さに理由が無かった。

だから気持ち悪かった。


だけど今は、俺がやってきたことは間違えてなかったと証明されたようだった。



「まだ、サンが学校通わない事に、我が贔屓しているのだと思うやつが居るのならば出て来い。」



騒然とする学生の中、一人の少年が手を挙げる。



「オレ。まだ贔屓だと思ってます。」



学生の中をかき分け、出てきたのは、銀髪の片耳にピアスをした男だった。



「銀髪か……」



つい漏らした俺の言葉にギルティーノが一瞬俺を気にかけるように見ていた。



「キズナか。」



キズナ……



「いいだろう。前に出て来い。」



窓から飛び降りると、俺を上から見下ろす。



「俺も剣使いなんで、貴方も使って下さい。」



懐かしい……俺も、こうやってギルに挑んでたな。


今思えば、あの時の俺は命知らずだな。



「だ、そうだ。いいのか、ギルティーノ。」


「……片手だけだ。両手は使うな。」


「嫌です!ダイヤモンド!正々堂々と……」



言い返すキズナに、ギルティーノは殺気で黙らせた。



「いいじゃねえか、ギルティーノ。両手でやるよ。殺さない。」



俺が歩き出すと、キズナはザザンに向けて話し出す。



「お前が、先に隊員になっておいてこのザマかよ!見てろよ!俺が勝つところを!」



ザザンは何も言い返さず、キズナに微笑むだけだった。



「貴方は、オレに負ける。そしたら、皆オレのことを敬う。」


「俺を倒したからって威張れるもんでもねえさ。俺を倒しても上がいる。」



キズナは舌打ちすると、剣を構えた。


ふぅーん……初めて見る剣だな。

剣も色々あんだな。


キズナは何やらブツブツと唱えている。



「殺す殺す殺す……」



え、激ヤバじゃん。



キズナは体勢を低くして、地面を蹴った。



「遅い。」



俺はキズナの背後を取り、喉元に剣を突き立てる。



「クッ」


「自意識過剰はろくな死に方しねえぞ?」



俺の言葉に、キズナは目に涙を溜める。



「そこまでだ。」



俺は剣をキズナの喉元から離し、後ろに下がると、キズナは地団駄を踏み始めた。



「なんで、なんで、なんで!!オレは強いのに。」


「お前に剣は合ってない。剣にこだわるな。お前の今の動きは、糸に操られてるようにぎごちない。だけど、パワーはある。パワーを活かせば、更に強くなれる。」



俺の言葉に、冷静さを取り戻したキズナは剣を収め、俺に一礼した。


ギルティーノの手を叩く音が響き渡る。



「よし、決着は着いたな。キズナ。ポジティブ掛けてろうか。」


「いや、いいです。今の気分、そう悪くないんで。」



そう言うと、キズナは振り返ると、真っ直ぐ俺を見る。



「オレ、貴方と一緒に居たい。」



え?ちょっとまって!告白?

俺の事、す、す、す、好きなのか!?



「お、お、おれ、付き合ったりとか、した事ねえけど、え、俺が、す、す、好きってこと、か?確かに、俺、偏見ねえけどな!!だ、だ、段階を、踏んでだなあ!!」


「え。なんですか、それ止めてください。」


「へ?俺の事好きなんだろ?」


「何、気持ちの悪い事言ってんですか。貴方と一緒に戦いたいって事です。」


「ま、紛らわしい言い方すんなよ、バーカ!!」



俺がキズナに飛び掛ると、キズナは先程の態度を忘れそうな程無邪気に笑っていた。



「フィル、サンと今の関係を壊したいならこんくらい直接言わないと伝わらないらしいぞ。頑張れよ。」


「うるさいです。」



アイツらは何話してんだ?

何やら、ギルティーノが楽しげに話し掛けているようだが、フィルは相変わらずだな。



すると、俺とキズナの間にログが割って入る。



「キズナくん!いや、キズナ!!サンさんの右腕になるのは僕だよ。」


「ふーん、じゃあ、()()()()だな?」


「ああ!望む所だよ!」



おーおー若いなあ。



「お前達、卒業したら俺と任務行くか?」


「はい!」

「はい!」



俺の問い掛けにログとキズナは声を揃える。



「だったら、死なねえでいいように強くなれ。俺も今から任務で、きっと今日の俺よりも明日の俺は強くなってる。お前たちも死に物狂いで修行しろ。」


「それじゃあ、サン。港へ向かうか。」


「ああ!」



ギルティーノは俺の肩に手を置くと、軽く息を止めた。


次の瞬間、着いたのは港ではなく、訓練場だった。



「あれ?港は?」



「さて、任務に行く前に、調子に乗ってるお前の鼻をへし折っとこうと思ってな。」



おいおい、嘘だろ。


俺の鼻へし折るどころか、俺の生命の危機だな。



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