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第47話 マント男の正体

人に酔ったのか、気分が悪くなってきた俺は、脇道に入り、深呼吸をする。


ふぅ〜……はぁ〜……ふぅ〜〜はっ!……ふぅ〜。



「よしっ」



ん?誰か来る。


すると、直ぐに黒髪の少年と、煙草を咥えたまま後ろからついて行く中年の小太りな男が脇道を通った。



「おい!こっちで合ってんのか?!……おい、聞いてんのか!」


「うるさいなあ。そんな声出さなくても聞こえてるって。」


「なあ……才も売ってるって本当なのか」


「そんなの知らないよ、ボクが頼まれてんのは案内だけ。」



俺の勘が言ってる……


これは……



怪しい!!!



男達が通り過ぎると、建物にぶら下がり、隠れていた俺は、直ぐさま男たちの後を追った。



後ろについて行くと、案内役の少年は何度も道を曲がる。



おっと、尾行がバレてんのか……?


チッ。引き返すか。




………いやこのまま尾行しよう。



決して!……決して道を覚えられていない訳ではない。



暫く歩いて、行き止まりに着いた途端、黒髪の少年は行き止まりの壁に向かって指を差した。



「ここ。素質があるなら通れる。……まあ通れるやつ見たことねえけど。」


「ふざけてんのか?!ここっつったって、行き止まりじゃねえか!」



少年は深く溜息を吐く。



「あのさ、勘違いしないでくれる?案内したんだから金払いなよ。」


「おい、付け上がるなよ、クソガキ!!!」



少年の分かりやすい挑発に小太りの男は全力で乗せられている。


少年に男は殴り掛かる。



あいつ、大丈夫か……?

まあ、あんなヘロヘロパンチ食らうわけねえか。



ボコッ!

少年は顔面を殴られ、鼻から血を流している。



は?なぜ避けないんだ……


その後も少年は中年男に馬乗りされ、好き勝手、ボコスカ殴られている。



おっと。これ以上は悪趣味だな。



俺は地面を蹴り、腰から片方の剣を抜く。



「おい、お前。見苦しいぞ。」



俺は一瞬のうちに男の背後を取り、首元に剣を当てる。



「……なんだ?……ガキ、大人の真似事してると、痛い目見んぞ?」


「あれ、そんなに死にてえの?」



俺の言葉に男は余裕の笑みを浮かべる。



「お前みたいなガキが、人、殺せんのかよ?」



ボトッ__

その瞬間、男の片腕が地面に転がる。



「へ……?」


「相手との力量も分からねえ自意識過剰は、ろくな死に方……しねえぞ?」



「うああああ!グッ。ああああああ!痛い痛い!痛い痛い!!ぐああああ!!!」



男は無様にもそのまま気絶した。



「あ、やべ、やり過ぎたか。」



放っておいたら、確で死ぬな。


俺は適当に男の服を破り、強く腕を縛った。



「……アンタ、すげえな!」



黒髪の少年は立ち上がり、俺をまじまじと見てくる。



なんだよ……やりにくいな。



「名前は?何歳?男?」


「名前は、サ……」



ハッ!!



__『だってまだ仲間じゃないのに、ペラペラ言ってる方が変だろ〜もっと警戒しなよっサン坊〜』__



「サ……流石に教えれねえよ。仲間でもねえのに。」


「ふ〜ん、ま、良いけど。お前、如何にも只者じゃねえし。オレはレオ。面倒臭い客、やっつけてくれてありがとな。はい、お駄賃。」



俺と目線を合わせるように少年は膝を屈めた。

俺の手に硬貨を握らせる。



「おい、年、離れてねえだろ!ガキ扱いすんな。しかも何だこの金、要らねえ。」


「も〜、うるさいなあ。受けた借りはその日のうちに返すのがポリシーなんだよ。」


「じゃあ、金入らねえ。使い方分かんねえし。お礼として、ここの先に何があんのか、教えてくれ。」



俺の問いに予想外だったのか、レオは固まった。



「ここか?闇市って所に繋がる道だ。俺たちの一族は案内を代々頼まれているんだ。ただ、本当かは知らないけどな。今まで俺が案内した客の中で行けた奴見た事なからな。」


「どういう事だ?」


「そのままの意味。通ろうとしてみな。通れないから。」



俺は行き止まりの前に立つ。

確かに、壁の向こうに気配は感じる。


俺はゆっくり壁の方へ手を当てると、俺の手は壁をすり抜けた。



「え?!すり抜けた!本物?!アンタ、本物の才持ちなのか?」



よく分からないが、才持ちが関係あるとすれば確かに心当たりはある。


なるほど、才持ちしか入れない場所。


如何にもバツサイの連中が好きそうな響きだな。



「案内ありがとう。俺はサン。年は16だ。じゃあな!」



俺はレイに手を振ると、急いで壁の中へ進んで行く。



「16!?それよりも金が無いなら話になんねえ……ってもう行ってるか……はぁ〜……選ばれし者はこうもキラキラしてんのかね。きっと絶望も、この世に地獄がある事も知らずに、さぞ周りから大事にされてきたんだろうな。ダメだ……オレなんか泣けてきた。」



レイは上着の内ポケットから何やら1冊の本を取り出した。



「えーと、何なに。壁をすり抜けた者が現れた時はページ23へ進む。と。これか。事前に配布していた紙を貼り付ける……貼り付ける?!あーーー俺は何も見てないよーっと。」



レイはそのまま本を閉じ、何事も無かったように歩き出した。



俺が壁をすり抜けると、暗い洞窟のような空間に繋がっていた。

視界は開けず、照明は等間隔で設置してあるオレンジ色のランプのみだ。


如何にも怪しい雰囲気のここも市場と同じように、路上に売り物を並べているが、明らかな違いが幾つもある。


まずはここに居る人間の様子だ。

店主の活気も無ければ、前を通り過ぎても声掛けも無い。

客は、顔が認識されにくいようにする為なのか、何かしらで顔の一部を隠している。


あとは売っている物だ。

あそこにあるのは、人間のかは知らんが、目玉。

あっちは何だ?脳みそ?



そして、一番の違いは、常にメモリーが反応しているということだ。



うん、俺も念の為顔隠しとくか。


周りを見渡すが、普通の店が見当たらない。


変な薬屋、臓器売買屋、あれは……殺し屋?



お、あんじゃねえか!顔隠すやつ!



俺は黄色のゴーグルを見つける。



「それ、売ってくれ。」



座り込んでいた頭からマントを被った店主が顔を見上げる。



「金は、要らない……君はボクに、有益な情報を、渡さないと、これは売れないよ。」


「何が聞きたいんだ?」



店主の顔は深くマントを被っている為、よく見えない。



「バツサイ……かな?」



バツサイについて?なんだそれ。

ナニモンだ。こいつ。


俺が黙っていると、男は俺の指輪を確認した後、顔をまじまじと見てくる。



「君は……ツクヨミ?」



おっと?別に隠してねえけど、どうなんだ?

ここでツクヨミとばれるのは。



「そうけど。なに?殺る?」


「ううん。それより、外に出よう……」



その瞬間、男は俺の目の前まで近付き、手を伸ばしてくる。


俺は反射的に反応し、後ろへ避ける。



「え……あ、さすがだね……じゃあ仕方ないからボクに着いてきて。」



男が手を売り物にかざすと、次第に宙に浮き始め、まるで意思があるかのように売り物自らバックに入っていく。



「さて……行こうか。」



男は地面を蹴り、あっという間に俺が入ってきた壁の方へ進んで行く。


その間、男の体は一切地面に着くことなく宙に浮きっぱなしだ。


なんだろう、あいつの才。



あっという間に、俺が入ってきた路地まで戻って来た。



男は俺の方を振り返ると、マントの隙間から見えた目は、背筋が凍るほど冷たい目をしていた。


修羅場を幾つも越えてきた目だ。





「君はさ、ツクヨミのサン……で合ってる?」






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