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エピソードシンバ〜シリウスという男〜

シリウスがこの世を去って、少し経った頃。


シリウスとアルクの死亡を聞きつけ、コッパー、ゴールドも本部へ戻って来ていた。



「あいつって……人間だったのね。」



淡々と話すコッパーだが、目には涙が見える。



「ボクの才……やっぱり、発動しなかったのかな……」



ゴールドが俯いていると、ギルティーノは答える。



「そうだったみたいだが、話を聞く限りそこは重要では無かったようだ。」


「話を聞く限り……?誰から、聞いたの……?」



コッパーの問いにギルティーノは親指で後方を示す。


そこには床に大の字で寝そべり、一切声を出すこと無く、ただただ目から涙を流し続けるサンが居た。



「何?あの子。」


「サンくんだよ〜!めちゃくちゃ強いんだから〜」


「今はそっとしといてやれ。というより話しかけても答えないだろうな。私は2日程声掛け続けているが、全く反応がない。だが、リンゴを近づけると……」



林檎を持ちサンに近づくギルティーノの手からは一瞬にして林檎が消えた。



「こんな風に食べてくれる。まるで我のペット、サンを思い出すであろう?」



ギルティーノは目を輝かせていた。



「……ねえ……ボス。もう海に流したの?ボク最期にお別れ、したかったな。」


「火葬と粉骨は済ませてある。まだ海へは流してはいない。お前たちに任せよう。」



そう言ってギルティーノはアルクとシリウスの遺骨をゴールドとコッパーに渡す。



ゴールドとコッパーが部屋を去った後、ギルティーノはプラチナに声を掛ける。



「エディ。」


「なに〜。」


「我の選択は間違ってると思うか?」


「……分からないな〜!だって俺5秒先までしか詠めないもん〜!」



プラチナはいつもの調子で答えるが、少し間を置いて口を開く。



「……ただ、シリウスとアルクの死は受け入れ難いよ。」


「それは分かっているさ。ちょっと出てくる。」


「……了解。」



ギルティーノは息を止め、消えた。


ギルティーノは総本部の屋上へ立ち、目を瞑り思い出していた。


………

……


ドカッ!!


ギルティーノが任務で街を歩いていると、鈍い音がが聞こえてくる。



「やめろ!!クソオヤジ!!アルクには手を出さねえって約束だろうが!!」


「お前たちは、死んだアイツに似て面はいい。おいシリウス。出稼ぎにでも行ってこいよ。兄ちゃんだろ?アルクがどうなってもいいのか。」


「お金だけは送ってやるよ。だからアルクは連れて行く。」


「はぁ?なにお父様に口答えしてんだよッ!!」


「グハッ!!!」



シリウスの腹に男の拳が入る。



「や……やめて。父さん。兄さん、僕大丈夫だから。」



ギルティーノの気にせず横を通り過ぎた。


こんな不幸や絶望など掃いて捨てるほどある。


それを一々助ける訳にもいかないだろう。


それにしても……


パンッ___


銃声が響いた途端、後ろからアルクの悲鳴が聞こえた。



「うあああ、父さん。父さん。」



ギルティーノを狙った弾丸は、男に直撃した。


ギルティーノが溜息をつき、振り返る。



「はぁ……お前たち、我と共に来い。」



ギルティーノの提案にシリウスはアルクを守るように前に立ち、睨みつける。



「俺たちはたった今、自由になったんだ。これ以上縛られてたまるか。」


「そうか。ならいい。健闘を祈る。」



あっさり引くギルティーノにアルクが引き留める。



「まって。兄さん。僕、この人と居ると元気な気持ちになる。」



それは我の才の影響してるのだろう。



ギルティーノが歩き出すと、暴れた馬がシリウスとアルクの元へ突っ込んでいた。



なるほど、狙いは初めからあの家族か。


それに、我がたまたま居合わせただけということか。


なんて運の悪い奴らだ。お前たちの思惑通りさせる我ではないッ!


ギルティーノは息を吸い、アルクとシリウスを担いで息を止めた。


ギルティーノはアルクとシリウスと共に、本部へと帰還した。


突然、目の前の景色が変わり二人とも目を丸くしている。



「これから我が、お前の母さんだ!!」


「おお!」

「げえ。」



胸を張るギルティーノに目を輝かせ拍手しているアルクに対して、シリウスは対照的な反応を見せた。

しかし、その態度とは裏腹にシリウスの表情は先程とは比べ物にならない程明るかった。


……

………


あの時、お前達を連れ去らなければお前達は何処かでまだ生きてたかもしれないな。



……もう、時を戻してしまおうか。


我が死んでもいいではないか。


シリウスとアルクは間違いなく、未来に必要だ。


だが、アイツが言うには我の才が今後の世界の始まりのために必要になってくる。



世界は今も滅びゆく。


足踏みしてる暇は無いんだ。


無いんだ。すまない。



シリウス、アルク。



我が子のように思っている。



今までも。これからも。





ギルティーノは夜空に広がる星を眺めては、一際輝く2つの星に思いを馳せていた。



後日、港ではツクヨミ隊員が集められ、シリウス、アルクの葬儀が執り行われた。


前列には、コッパー、プラチナ、ゴールド、そしてシルバー軍隊員。後列にはプラチナ軍、ゴールド軍、コッパー軍が整列していた。



「皆!ウチらは膝を曲げてる暇は無い。シルバーの催眠が解け、悲しみに打ちひしがれようと、バツサイは世界は待ってはくれない。我々はそういう敵と戦っている。」



コッパーの言葉に隊員たちは涙を流す。


コッパーは海の方を向き、溢れる涙を隊員達へ見せないようにしている。



「ボク。皆が死ぬのは嫌だけど、世界が滅びる訳にもいかないから。ボク頑張ってるけど、まだまだ、足りなかった……。これからももっと頑張る……。シリウスくんが命懸けで戦ったんだもん……、ボクが死んだ時にシリウスくんにボク頑張ったよって顔向けしたい。」



ゴールドの言葉に皆、涙を拭う。



「さて〜、ボスのポジティブの才がないと立ち直れない弱虫共はいるのかな〜??」



プラチナが隊員一同に問い掛けると、途端に皆首を横に振る。



「俺、シルバー隊員で誇らしいです!!」


「私も、シルバーに助けられた事が唯一の自慢です!!」



その言葉に、我慢していたプラチナとゴールドの涙腺も緩む。



「さあ……!見上げろッ!!シリウスやアルクだけじゃ無い!死んで行った仲間達が見ているぞ!笑えッ!天に向かって笑えッ!!」



コッパーは無理やり笑顔を作り、銃弾を打ち上げた。


銃声は本部中に響き渡る。


銃声が彼らの死を弔うように。



〜シンバ編【完】〜

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