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第41話 呼び起こされる新緑

ギルに証拠探しを任せた俺はシンバと合流すべく部屋の出口に向かう。


扉の前にジョインとコリン、そしてミエーダの姿が目に入る。



「ギ〜ル。」



俺は振り返り、小声でギルに伝えようとするが、ギルは書類を見つけるのに必死で気付かない。


俺は急いでギルの元へ駆け寄る。



「ギル。」


「サン!なんだ?」



急いでギルの口を塞ぐ。



「シーーーーッ。うるさいぞ。静かにしろ気付かれんだろ。」



俺が慌てていると、ギルは突然俺の襟を掴み、後ろへ跳び下がった。



「何だよ。」



俺はギルの手を払いタキシードを整えた。


ふと俺はこちらに向けられた視線に気づき、振り向くと既にミエーダ、コリン、ジョインが部屋の中へと入ってきていた。



「っ!」



ギルと俺は直ぐさま戦闘態勢を取る。


しかし、ジョインとコリンは襲いかかる訳でもなくただ俺達に話掛ける。



「懐かしいな、アルクくん。身長伸び過ぎてさ、コリンに言われねえと気付かなかったよ〜!」



アルクって……シンバがギルに言ってた……。


俺がギルの様子を伺うが、ギルは眉ひとつ動かさない。



「人違いだな。アルクという人物を俺は知らない。」



やっぱり忘れてるんだ。

あの時のシンバの言葉もギルには届いてないんだ。


するとジョインとコリンは突然黙り込んだ後、顔を見合せニヤリと笑った。



「おーい。シルバーが死んだぞ!!」



ジョインの声は活気に満ちていた。



「シルバー?軍隊長の?なんで今?」



俺の問いにギルは少し考えた様子で口を開く。





「シルバーは俺がシンバ班に配属された直ぐに消息不明と通達があった。まさか……ユアン王国に拘束されてたのか。」



俺が仮説を唱えると、ジョインは嘲笑う。



「9年前はもっと頭のキレる少年だったのに残念だな。」



さっきから俺ではない誰かをコイツらは見ている。


誰だ?



「さっきから俺と誰を重ねている。」


「ま〜だ分かんない?なら思い出してみなよ。何故、ツクヨミに居る?アルクという言葉に聞き覚えは本当にないのか?」



俺は当たり前に記憶を遡る。



俺はなぜツクヨミに居るか。

それは銀髪の男が俺を連れて……銀髪?

違う。ゴールドが連れてきて……。


そもそもなんでゴールドが……?


あれ、記憶が……



「無いんだよ。ユーリに才()られたから!」



突然の事に俺の理解が追いつかない。


元々俺は才持ちだったのか?



ズキンッ__



__『アルク……俺はお前を必ず奪り返す。何があっても兄さんが守る。そしたらシンバじゃなくて、また兄さんって呼んでくれよ?』___



なんだ……?これは……あの時のシンバなのか……?




___『__ク!_ルク!アルク!!』___




そう。この銀髪が俺をツクヨミに……一体……誰なんだ。



これ以上は幾ら記憶を遡ろうとするも遡れない。

という事はこの時に俺は才を抜かれたのか。


少しずつ状況を整理する。



「何故このタイミングで俺の記憶が消えた。」


「ずっとお前はシルバーの催眠の中にアナタは居たの。他者へ影響する才は掛けた者の生命力によって持続時間が変わる。即ち、お前に催眠を掛けたシルバーの生命力は格段に落ちているということよ。そして私たちに報告があったのよ……シルバーを殺したとね。」



そうか。銀髪の男がシルバーだったのか。


俺の頭に突然シンバの顔が浮かぶ。


何故、シンバが浮かぶ……嫌な予感がする。


っまさか!!!



「おい。シルバーの名は……分かるか。」


「シリウスよ。」


良かった……シンバじゃないのか。



ドサッ___


音の方に視線を向けると、サンが地面に膝を着き一筋の涙が頬を伝っている。



「サン?」



コイツが他人の為に取り乱すのはキーマンが捕まった時以来だな。


それまでは他人の事など興味が無かったのに。



「ギル……」



サンが消え入りそうな声で俺を呼ぶ。



「どうした。まずは落ち着け。今は任務中だ。感情を抑えろ。」



俺の言葉にサンは呼吸を整え立ち上がる。





そうか。ギルは知らないんだ。

シンバがシリウスである事を。

俺だけが知っている事なんだ。


そうか。

シンバ……死んだのか。


人は呆気なく死ぬ。


分かってたはずだ。



「ジョイン。」


「何だ?」


「シルバーを殺したヤツの名は。」



ジョインは一瞬眉毛をピクっとさせ、ゆっくりと口を開く。



「ユーリ。」



ユーリ。

覚えたぞ。絶対俺がお前を殺す。




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