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第39話 点と点が線になる。

暫くして俺と面識がある者が訓練場に集められていた。


俺の姿を見るなり、その場に居る者達は騒然とする。



「シルバー?!!」


「シルバーですよ!我らが隊長!生きてるじゃないですか。」


「シルバーが生存が分かった今、何の為に集められたんだ?」



皆、目の前に俺が居ることで、状況が理解出来ず混乱している。


ギャラリーにギルティーノ、コッパー、ゴールド、プラチナ、そして俺が上がると、隊員一同静まった。



「皆、混乱させてしまってすまない。皆に話がある。



「今、アルクが任務遂行中、才を奪われた事により、記憶を消失している。」



俺の言葉に隊員達は騒ぎ出す。



「俺は必ず奪り返す。ただその時まで、俺の正体を伏せたい。ここからが本題だ。今からお前達に俺の催眠を掛ける。悪いが拒否権は無い。」



混乱する隊員の中から一人、手が上がる。



「作戦が成功すれば催眠は解いてくれるんですか。」


「ああ。作戦の成功、失敗に関わらず俺の才は解く。」



隊員達は納得した様子だ。……というよりギルティーノのポジティブの才の影響を受けているのだろう。


でなければ、こんなにスムーズにいくとは到底と思えない。



「そういう事だ。皆、一列に並べ。」



ギルティーノの言葉に隊員達は一列に並んでいく。


俺は隊員一人一人の頭に手を置き、唱えた。


別に触れずとも、催眠に掛けることは出来る。

何故頭に置くかなんて大した理由じゃないが、頭に直接語り掛けた方が、催眠の効力が増す気がするから。ただそれだけだ。


【俺とシルバーは同一人物ではない。シルバーは任務にてアルクと共に消息不明。俺の名前はシンバだ。】



皆、催眠を掛け終わると記憶が書き換えられている事に不審に思う事なく寮へ戻っていく。



「さあ、お前達もだな。」



俺が振り返るが、プラチナ、コッパー、ゴールド目配せをした後、力強く頷いた。



「話し合ったが、俺たちの記憶はそのままにしておいてくれねえか〜??」


「そうだ。ウチらだけはお前とアルクが存在すると知っておいてやるといってるんだ!」


「何を……」



そうか。これはコイツらなりの励ましか。


俺の表情が緩むと、プラチナがニヤニヤしながら揶揄う。



「泣いていいんだぞ〜?シリウス〜?」


「俺が泣く時は、負けた時だけだ。俺は負けないし、泣かない。」


「へいへい〜!。最年少で幹部になるエリートはそうでなくっちゃな。」




その後俺とアルクはシンバ班として、シファレン、スズの4人で任務をこなしていた。


とある日、ゴールド軍が警備当番の為、俺たちはギルティーノに総本部へ招集されていた。



「転生の才を持つ者が建国したと伝えられているジャパン国に行ってくれ。バツサイの影響が近年色濃く出ており、ジャパン国は既にバツサイの手中に収められているという噂すらある。」



ジャパン国?あぁ。一時期プラチナが入り浸ってたパチンコの国か。



「了解〜!」



ギルティーノは俺の目を見て頷いた。


ああ。分かってる。俺は目的を見失わない。



「行くぞ〜。」


「あ……あの。班長。そしてダイヤモンド……。」



俺が振り返ると、スズはギルティーノの部屋で俯いたまま動こうとしない。



「ん〜?どうした?」


「私……正直三人に着いていけません。私が班に居ても足を引っ張るだけなんです……。」



まあ、否定出来ないな。



「リリースとして一緒におりますが、怪我を負うのは毎回私だけ。一度たりとも皆様の治療をした事がありません。何よりもシンバ班の成績が良いが為に、大きな任務に行かされる。一隊員であればこんな大きな任務を任せられません。シンバ班には私には不釣り合いです。班を離脱させて下さい。」



その場の空気が静まり返る。



ギルティーノの才が影響してるにも関わらずこのくらい切羽詰まってるんだ。

相当限界なのだろう。



正直俺もバツサイと戦う時のスズはとてもじゃないが隊員とは程遠いと感じていた。



「よ〜し、分かった!じゃあスズ、今までありがとうな〜。ギルティーノ、後は任せていいか〜?今回の任務は三人で行くからさ〜!」


「ありがとうございますッ!!」



スズは俺に頭を下げたが、正直、どうでもいいんだ。




俺にはアルクさえ居れば、誰が死のうが生きようが。




ジャパン国へ着いた俺たちは、バツサイの影響を調べるべく、早速潜入していたが、これといって成果は無い。



「よし、これといって成果が無かったね〜!本部へ帰還しよっかな〜!」



アルクがメモリーを見て口を開く。



「さっきからアイツにメモリーが反応してるぞ。ついでだ、才を取って行こう。」



アルクが言うアイツとは黒髪の長髪の男だった。


取り敢えず話し掛けるか。



「なあなあ〜?お前はさ、戦える〜?」



突然の俺の問い掛けに黒髪の男は理解出来ていないようだ。


そりゃそうだ。急にお前戦える〜?とか変だろ。



「班長!まさか、コイツをシンバ班に入れるんですか?!おい!お前!班長の弟ポジは譲らねえぞ!」



シファは相変わらず良く分からないが、黒髪の男はゆっくり立ち上がった。



「お前らについていけば何になる。」



黒髪の男が口を開く。



おっと?意外と声高いんだな。



「世界を守れる。ツクヨミとして。」



アルクが黒髪の男に返答すると、黒髪の男は少し考えて頷いた。



「ツクヨミか。いいだろう。」



やけにすんなりと受け入れるもんだな。


しかし、どちらにしろ、近くにおいて警戒しておいた方がいいだろう。



「じゃあ決まりね〜、俺シンバ〜!で、こいつがギルで、こいつがシファレン。宜しくね〜!ナイスボーイ!」


「ギル……。ギルか。ああ。宜しく頼む。名前は無いから好きに呼んでくれ。」



ん?何に引っ掛かったんだ?



その後、任務を共にこなし、黒髪の男はアルクからキーマンと名付けられた。



シファは別任務中のユアン王国で殉職した。



申し訳ないが、涙一滴も、感情の波も一切無かった。



ある日の事。『ユアン王国にジョインが入り浸っている』という情報をキーマンが掴んだ。


ジョインが……つまり、ユーリ。あいつも居る可能性が高い。


行きたいが……ここで急に食い気味になるとアルクとキーマンに不審がられるか?



「俺はユアン王国へ行くべきだと思う。シファレンの無念もあるだろう。」



キーマンが珍しく積極的だ。俺にとっては有難いが……その話出しは引っ掛かるな。



そう言えば当然……



「ああ!シファレンに未練など残させない!!」



そう。アルクが反応するはず。

アルクはシファレンの事になると特に熱くなる。



「え〜?ジョインって誰だっけ?」



俺の忘れっぽい演技も板に付いてきた。


よし、自然にジョインに接触しよう。


しかし、ユアン王国へ上陸したものの、ジョインは出国した後だったようだ。



「おい、ジョインなら国を出たぞ。」



突然の声に振り返ると、赤髪の少年が立っていた。


コイツ何者だ?気配がない。とてもじゃないが、一般人とは思えない。


しかもジョインとも顔見知りのようだ。


ジョインが国を出たタイミングで現れる赤髪の少年。


怪しすぎるだろ。


その少年はサンと名乗った。

親も居なければ、年も曖昧。


バツサイのスパイだな。確で。



しかし、サンと接している内にその確信も徐々に薄れていた頃、転機があった。


サムグ国でキーマンが動揺して出た地声。



__『サンッ!!!』___



この声……お前かよ。


お前がユーリなんだな。



俺は嬉しさのあまりキーマン……いやユーリに抱きついた。


ただ……まだピースが揃ってない。

あの魅了に対抗する術がない。

最近、ミエーダが才持ちという噂が流れ始めた。

アルクが才を奪られてから、直ぐに。


ミエーダの才は魅力なのか?


そう考えれば、シファの最期と辻褄が合う。



そんな中、ギルティーノとサンが初めて会った時、こいつは、まさか……と思った。


そんな都合よくピースがハマる訳が無いと。



しかし、俺の興奮は抑えられなかった。



そして俺はギルティーノへキーマンの正体がユーリだと報告していた、その途中でふと視線を後ろに向けると、サンの赤髪が見えた。


聞いているのか?やはりサンもスパイなのか?


その仮説に俺は肩を落としていた。


いや、何をガッカリしてる。

そんな暇は無い。やるべき事が俺にはある。


対策を考えろ。


しかし、ユーリの俺への態度は変わらなかった。



サンから聞いていないのか?

確認しなければ……サンの才を含め。



もし、それで俺がサンを殺すことになったとしても。



「何故皆に言わず黙っている。何が狙いだ。」


「俺は……シンバを信じる。決めた。だから言わない。理由が……ある……だろ?」



俺の問いにサンは辿たどしく答える。



「最初はあまりにも丁度よく現れるもんだからバツサイ側のスパイかなと考えていた。」



サンからは悲しそうな感情は見て取れるが、これだけではまだスパイじゃないとは言い切れない。


もっとカマを掛けるか。


「しかし、スパイであろうとどうであろうと、俺はお前を利用すると決めた。俺はお前が死んでも構わない。」



サンは胸を抑えている。


その様子に俺は不覚にも嬉しいと思ってしまった。



「……と!最初は本気で思ってたんだけどね〜!今は情が出てきてしまってね〜絶対死んじゃダメだよ〜!」


「へ?」


「俺さ、意外と復讐心で心いっぱいなんだけど、サン坊と会ってからちょっとだけ肩の荷がおりたんだよ。ありがとうね〜」


「俺はシンバに嫌われてるのか?」


「ううん。むしろ《もう一人の弟》と思えるくらいだよ。」



シンバは俺の頭に手を置く。



「へ?今なんて?」



やっぱりだ。


サンには俺の催眠も、ギルティーノのポジティブも効いていない。



「明日、決戦だ。」



サンは俺が探していた、最後のピースだ。


その後、ユーリは捕まった。いや、ジョインと合流したのだろう。


入国申請リストにジョインの名前があったのを一瞬だったが見えた。


だが、好都合だ。事故に見せ掛けてお前を殺してやるよ。


しかし、何も知らないサンは感情を制御出来ずに居る。


良いんだよ。スパイだから。と言ってやりたいが、言ったところで良い未来が見えない。


俺が作戦を伝えると、ギルは俺の豹変ぶりに理解できずに取り乱していた。



「シンバを……シンバをどこにやった!!!お前は何者だ!!!」



アルクの感情を剥き出しに話す姿に俺の胸が熱くなる。


感情が隠せないところを見ると、記憶が無くなるお前と姿が重なるんだ。



「アルク……俺はお前を必ず奪り返す。何があっても兄さんが守る。そしたらシンバじゃなくて、また兄さんって呼んでくれよ?」


「アルク?何を言ってる。」



俺は頭に手を置く。



「毎回頭に手を乗せるな!」



アルクはいつもの調子で俺に突っかかってくる。

サンに視線をやると、状況が分からず混乱している。



お前は俺の……いや、俺たちの希望だ。



俺は何があってもユーリを殺す。



《そして話はユーリとシンバ因縁深き戦いの現代へと戻る。》


あの時のシンバの考えが鮮明になってきましたね。

さあ、いよいよ現代に戻りますよ!!


あ……ブックマークしてくれたら嬉しいです。(小声)

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