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第36話 洗脳の才 と 占いの才

俺は目を閉じる。

神経を研ぎ澄ませ、周囲の変わった気配を探る。



……僅かにアルクの気配が動いてる。



「そこか。」



俺は風を切り、アルクの気配を辿り、その距離を一気に詰める。



「来る。」



バツサイの一人が俺の気配に気づいた。



だが、遅い。



憤怒(シャクヤク)ッ!!」



アルクの気配が僅かにこの男から感じる。


俺に斬られた左足が空を舞って地面に転がる。



「グッ……」



男は、自身の服を破った布を当て、素早く止血をしている。



心臓を狙ったが……成程、反応されたか。


俺はゆっくりと振り返り、頭に上った血を鎮める。



「お前ら、バツサイのジョインとコリン。そして幹部のユーリといったところか。」


「へえ〜俺の事も知ってんだな。俺も知ってるぞ。お前、幹部最年少のシルバーだな?」


「気安く呼ぶな。嫌いなんだ。若いからって俺の事舐めてくるやつ。」





「さて確認出来た。殺す。」




俺は体勢を低くし、一気に距離を詰める。



無関心(イベリス)



コリンとジョインの横を通り抜ける。



「なんかしたのか?………」



コリンとジョインは自分に何が起きてるのか分かっていないようだ。



「3……2……」


「何をしたの!」


「1。」



ジョインとコリンは足に力が入らない違和感に、視線を足に向けると、既に斬られていた両足に気づいた。



「クソ!!!」



バランスを崩し、地面へ這いつくばる。



「俺はユーリ以外のゴミに興味はない。」



俺はユーリと目が合うと、ユーリは生唾を呑んでいた。


ああ。こいつは死を覚悟している。



「お前が弟から才を奪ったのは知っている。お前を殺せば才は戻るのか。」


「戻る。」



ユーリの返答を聞いた途端に俺は斬りかかる。


背後を捉えた。


いける。



「止、まれ……」



ジョインは切られた両足をそのままに、這いつくばりながら唱えた。



「っ……」



体が動かねえ……頭がボーッとする。


たかが羽虫に逆らえねえ。いや……逆らいたくない。


ジョインはニヤリと笑った。



「シルバー。このまま俺の事を忘れ……」




「これは、魅了?アルクの才か。」



俺は頭に響くジョインの声に徐々に慣れてきた。



「おいおい、冗談きついぜ。確かに所詮コピーだけど、流石に意識戻るの早すぎたろ。バケモンだなコイツ。」



アルクの才を自分のモノかのように使い回しやがって。



「どうやらお前達は相当残酷に死にたいらしい。」



ジョインと話していると背後からユーリの気配がする。


俺は咄嗟にジョインの頭を掴み、そのまま背後へ放ると、ユーリがジョインを受け止める。



コリンとジョインは出血の量が多かったようだ。

今は気を失っている。



やはり残るのはお前か。ユーリ。


俺は地面を蹴り空高く飛び、舞い落ちるように剣を振り下ろす。



憎悪(クロユリ)ッ!!!」



ユーリの心臓まであと少しのところで突如背後から身の毛がよだつような気配を感じ直ぐさま方向を変え、振り返るとハット帽を被った男が杖を着きながらゆっくりと現れた。


傍には眼鏡をかけた女が居る。



この状況に俺の本能が赤信号を灯している。



「こいつには勝てない」と。



違うだろ。こいつは今は無視していい。目的を見失うな。


ユーリ。そう、アイツを殺せばアルクは戻る。



俺は剣はユーリの喉元目掛けて鋭く切り込む。



憎悪(クロユリ)ッ。」


「おい、小僧。」



突然のハット帽子の男の声に俺は攻撃を止め、男の方へ振り返る。



「何だ。」


「お前は弱いだろ?戦えないのだろう?何故、剣など持っている。」



男の言葉に、握りしめる剣に視線をやる。



そうだ……。俺弱いのにこんなの振り回して……。怖いっ!!



ガチャンッ___


剣が手から離れ、地面に落ちる。



今すぐここから逃げなければ!!

ユーリから仕返しに殺される。



「お前は弱いのだから。」


「ああ。俺は弱いから剣は振れない。」



俺……弱いのに。なんで軍隊長とかやってるんだ?


ふと、ユーリと目が合う。


俺を見てユーリはポツリと呟いた。



(むご)いな。」



そう言い残し、ユーリはジョインとコリンを抱えハット帽の男達と共にこの場を去ろうとしていた。



「待て。」



反射で口が勝手に動いた……待て?その後はどうするんだ?俺弱いのに。



「おい、ユーリ。小僧を殺しておけ。」



ハット帽の男がユーリに命じると、ユーリはジョインとコリンを肩から降ろし、俺の方を向いている。



「俺……」


俺は地面に手を着き、膝を着く。


ここは素直に謝るんだ。


俺じゃ勝てないんだから……


俺じゃ……勝てないんだから……?


待て。何故俺ではこいつに勝てないと思った?



そういうことか。あいつは。



「おいお前。」



俺はハット帽の男を呼び止めるが、ハット帽の男は振り向かない。



「バツサイのボスだろ。」



俺の言葉に男はピタリと立ち止まる。



「ふん。分かったとて何になる。小僧が。」


「俺、まだ20だけど、弱くはない。お前の洗脳の才、打ち破るくらいには。」


「青い。だが、確かに儂の洗脳を破ったのは事実。儂の洗脳を解いたのは過去、ギルティーノだけだったな。」



ハット帽の男がゆっくりと俺の方へ振り向く。


その瞬間杖を置き去りに、ハット帽の男の姿が消える。



俺は、即座に地面に転がる剣を拾う。


その時目の前にハット帽の男が現れる。



生死不定(しょうじふじょう)。」



拳法か?

俺の心臓目掛けて男の突きが来る。



「おい、シャレ帽ジジイ。舐めるなよ。」



俺は両手に握った剣でジジイの手に斬りかかる。



無関心(イベリス)。」



ジジイの横を通り過ぎた時、手応えが無い。


チッ……避けられたか。



「代表。そいつは殺してはなりません。」



突然の眼鏡の女の声にハット帽の男は女の方を振り向く。



「何が()()()。」


「はい。シルバーを倒した貴方が見えました。ただ、倒した貴方には、右腕と左足がありませんでした。」


「そうか。」


「それに、貴方の『宝物』にいい影響になると見えました。今は生かしておくのが得策かと。」


「そうか。」



ボスの隣に居る女。

確か、ゴールドがルナと言ってたな。

占いの才を持つ女。


ここまでしか情報は無い。幹部の情報となると任務の難易度は跳ね上がる。


幹部の情報は二人のみ分かってきた。

一人は奪取の才のユーリ。

そしてもう一人はそこに居る、ルナ。占い才。



「おい小僧。さっさと弟を連れ、帰れば良いだろう。……何している。動け。」



くそ。またか……っ!

意識が……。



「……ああ。」



アルクが待っている……。早く行かないと。


違う。そうじゃない。くそ。止まれ。洗脳されているぞ。


俺の意識とは裏腹に俺の身体はアルクの方へ走り出す。


あっという間にアルクの元へ到着した。



「シルバー……」



隊員の様子に俺の意識は徐々に戻ってくる。



くそ。やられた。まんまと洗脳されてしまった。



俺は直ぐさまバツサイの元へ向かったが、

当然、既にバツサイの連中は撤退していた。



「アルク。お前の記憶は何処まである。」



アルクは首を横に振る。



「そうか。」



何を落胆している。

才を奪られた者は等しくこうなる。


頭では分かっているんだ。



なんでアルクなんだ。

アルクは駄目なんだ。

他のやつなら……。



そんな黒い思いが俺の腹を渦巻いている。



「本部へ帰還する。お前達は任務失敗だ。指輪で帰還しろ。」


「はい。」



隊員達は指輪を外し、そのまま本部へ引き寄せられて行った。



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