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第32話 喜ばぬ再会

俺たちは王都のパーティーの準備で大慌てだ。



「俺とサン坊は従者だからこれでいいだろ〜」



黒のタキシードに黒色の蝶ネクタイを結ぶ。


首……苦しい。



「似合ってるよ〜サン坊」



微笑むシンバに俺は得意気に胸を張る。

一方その頃、ギルは頭を悩ませていた。



「違う。違う。これも違う。違う。違う。」



ギルが船内のクローゼットを漁っている。



「だああああ!!アイツの服全部横にデカくて……これじゃあパーティ怪しまれるぞ。」


「ギル〜。これ着な?」



シンバがギルへ桃色の洋服を渡した。



「これドレスじゃねえかっ!もうお前たちと一緒でいい。リボンの色だけお前たちと変える。」


「もう、ちょっと待っててよ〜」



シンバは船を飛び出し、王都の街へ消える。


間もなくして、シンバは青のタキシードを持って、船に戻ってきた。



「ほら、これ着なよ〜」


「シンバ、また勝手な……いや、ありがとう。助かった。」



ギルは何かと葛藤した様子で、シンバからタキシードを受け取った。


俺たちはドレスコードに着替え、王城へ歩き出した。


すれ違う人々は俺達を見るなり振り返る。



「なんだ?俺たちやっぱ変なんじゃねえか?」



俺がシンバに耳打ちすると、シンバは鼻歌を歌いながら答えた。



「サン坊が可愛いからだよ〜」



可愛い……?あれ、もしかしてシンバって俺が男って知らねえのかも。



「シンバ。俺、男だぞ。」



なんて呑気な事を言ってる間に王城の門の前へ到着した。



「行くぞ。」



門番が招待状の確認を行う。


門番の探るような視線に俺は精一杯、平然を装う。



「多忙の中、参列いただきましてありがとうございます。スワリン・ギルキー様。」


「うむ。ご苦労であじゃる。」



門番が門の中へ俺達を誘導する。


俺たちは門を潜ると、パーティに参列した人々で賑わっていた。



各国の代表達がお互い腹の探り合いをしている。



俺たちは作戦通り、二手に分かれ、場に溶け込む。



しばらくして一人の女が俺とギルへ近づいてくる。



「あら?お名前をお聞きしても?」



赤いドレスに身を包んだ女がグラスを渡してくる。



「わじか??わじはスワリン・ギルキーであじゃる。」



ギルの演技も板に付いてきた。



「あら!スワリン様でしたか。随分と雰囲気変わられて、気付くのに遅れてしまいました事大変失礼致しましたわ。益々魅力的になられましたわね。」



女が微笑むとギルの首の後ろに手を回し、体を引き寄せている。


ギルは突然の事に戸惑いを隠せていない。



「よ、よ、良いのだぎゃ!皆わじの変わり様に気づかんであじゃる!」



困ったギル面白いからもっと見てたいけど任務もあるしそろそろ助けるか。



「ギルキー様、そろそろ!」



俺のパスにギルは全力で乗っかる。



「そ、そうであじゃるな。シイナ殿。失礼するであじゃる。」



ギルは平然を装い、そそくさとその場を後にした。



「おい!凄えな!名前なんで分かったんだよ!」



俺の問いにギルは少し得意気な様子で答える。



「まずは、自分が名乗らず、先に名乗らせた。

そこそこ自分の立場に自信があるのだろう。それだけでほとんど絞れてくる。

後はあの指輪。翡翠ひすいと言って、サムグ国を代表する宝石だ。そんな宝石をこの場で身につけている事からサムグ国の出席者。

今日のサムグ国の出席者はシイナ。ヒロ。

この2名だけだった。消去法でシイナと予想した訳だ。」



ギルの華麗な考察に俺は拍手が止まらない。



「そんな事より、証拠を持ち出すぞ。ゆっくりしている時間は無い。」



2人は広場を抜け出し、王城の中を進む。



それにしても広すぎんだろ。


王都を出ちまえば街も人もボロボロなのに、外からの見られ方だけ気にして王都だけはこれでもかと言う程着飾っている。


何とも()()()()()()だな。



しばらく王城の中を進んでいると、ギルの足が突然止まった。



「サン。」



ギルが示す部屋の前にはズラリと警備員が並んでいる。


部屋の中には大ぶりな宝石を散りばめた紫とピンクのドレスに身を包む女の姿があった。


ユアン王国 国王ハリー・ミエーダだ。


一緒に居るのは……ジョインか?それと……


ジョインの隣には見覚えのある金髪の少女が立っていた。



「あれ……どっかで。」



うーん。どっかで見たような無いような。


俺は曖昧な記憶を必死に辿るもなかなか思い出せない。


再度金髪の少女に視線を向けると少女の白いワンピースが揺れた。



「あ…ユフ。」


「あれは、コリンだな」



ギルと俺の声が重なる。



そうだ、そうだ!ユフだ。もしかしてあの時ジョインに捕まっちまったのか?



……ん?コリン?



ギルに視線を向けると黙り込んで何やら考えているようだ。



「取り敢えず此処を離れよう。」



ギルと俺は即座にその場を離れた。


俺はギルのスピードに着いていくのに必死で息が上がる。



「一旦息を整えろ。しかし、コリンと知り合いか?」


「コリン?ユフって名前なら聞いたけど。知り合いって程でもねえが、サムグ国で会ったんだ。」


俺はサムグ国の出来事をピーマンの才の事は伏せて伝える。

………

……



「そうか。しかし、きな臭いな。何故正体を隠し、何故あのタイミングでサンに近づいたか分からない今、警戒しておくに越したことは無いだろう。」



ギルの言葉に俺は頷く。


俺はユフと出会った時のサムグ国での記憶を辿っていた。



__『なんだかな〜…この雰囲気どこかで…こんな所に知り合い居ねえしな。勘違いか。俺の勘も所詮こんなもんよ。』__




あれは、ジョインと同じバツサイだから覚えのある雰囲気だったのか?……いや、そんなんじゃない気がする。


分からないけど俺の中のモヤモヤが晴れない。



《サンの勘は果たして信用出来るものか、それとも彼の思い過ごしかは直ぐに分かる事であった。》


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