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第31話 募る想いと消えゆく過去

「よし、最終確認をする。」



俺たちに一切の迷いは見えない。



「やはり、国の機関の者は、コピー版の才によって国の軍事力を高め、力で国を統制しているようだ。」



ギルの説明に俺は疑問を抱く。



「なあ。でもそれは悪い事なのか?それで守れりゃ良いんじゃねえの?」



俺の問いにギルは頷く。



「ああ。この国の王都の者だけを対象に見れば決して悪いとばかり言えない。しかし、国の軍事力が才によって拡大していく国?他の国の連中からしたら迷惑極まりない厄介な国だ。国と国の均衡もあったもんじゃないからな。」



うん、確かに。

ちょっとズルいよな。




「それだけではない、コピー版の才と見返りに渡している金は何処から発生するものか。答えは街の方の連中から搾り取った税金だ。王都の奴らが払った金ではない。

街の連中が必死に働いた金が首都の奴らの生活及びコピー版の買収に使われたと知ったら?国の人口の殆どは街の人間だ。

革命を起こすには充分な理由だ。

俺達がいつか起こす革命の材料になる。」



考えうる限りの先の状況まで予測して動く。


これが『ツクヨミ』か。



「うん、理解した。」



俺は今回の任務が今後のツクヨミにとって如何に重要か改めて認識した。



シンバが突然立ち上がる。

いつもなら上の空な作戦会議をシンバ自ら回している。



「作戦は、王都で行われるパーティーにギルキーとその従者として忍び込む。

その後は二手に別れる。ギルとサン、2人は出来たら9年前から、少なくとも昨年度、今年の分の国の歳入、歳出記録。それと、入国申請リストを持ち出してくれ。俺は単独でキーマンの救出及び首相の噂の真相を確かめる。異議はあるか?」



シンバの問いに俺とギルは顔を見合わせ、頷く。



「異議なし!」

「異議なし。」



俺とギルの声が重なる。



きっと、ギルが今のシンバを見ても驚いていないのは、シンバもきっと何らかの才持ちなんだ。

じゃないと、意味が分からない。



シンバもピーマンもみんな隠したがりだ。



シンバは頷き、俺とギルの肩に手を回して円陣を組む。



「サン、ギル。俺はこの時を9年間待った。長かった。苦しかった。でも今日で終わりだ。絶対、任務を成功させるぞ!」



シンバが掛け声にとギルと俺の気持ちも昂る。



「「オー!!!!!」」



「って、シンバ、なんだその話聞いてねえぞ。終わったらしっかり聞かせろ。」



ギルはシンバの肩を叩く。



「ああ。今日が終われば話し続けるさ。お前がもういいって言っても止めないぞ〜!」



シンバはギルに飛びかかり揶揄う様子に俺は胸がいっぱいになる。



「俺は、」


「ん?」



突如として口を開く俺にシンバが聞き返す。



「俺はあの時お前達に出会い、俺の人生は動き出した。お前達と居ると決めた俺の選択は正解だったと将来の自分に言える。」



涙で滲ませたギルの瞳に瞳に俺の姿が映る。



「でも、まだ始まったばっかりなんだ。

俺の人生。

まだまだ続くんだ。傍にはお前達が居て欲しいんだ。

だけど、ピーマンが連れ去られた時、これが現実なんだって。強くならないとって。

だからさ、この任務が終わったら俺、死ぬほど鍛える。

だから今回だけは誰も死なないでいて欲しいんだ。

俺の初任務皆で笑って終えたい。」



その言葉にギルとシンバは照れたように笑う。



「サン坊は年の割には大人びてるけどまだまだ赤ちゃんですね〜」



シンバは俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。



「おばえ〜〜おればって……おればってだびずきば〜」



ギルは大粒の涙と鼻水を垂らしながら俺へ抱きつく。



「おい!!!鼻水!!!鼻水ついてっぞ!!」



ありがとう。

俺と出会ってくれて。



《サンの為に涙を流してくれるギル、身に染みて伝わるシンバの深い優しさに過酷な汚染エリアで過ごし冷めきっていたサンの心は完全に温かさを取り戻していた。____王城潜入まであと2時間。》


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