第28話 復讐心と情
「まずは情報の収集だな。二手に分かれよう。」
「じゃあ〜サン坊行くよ〜」
シンバの一声で二手に分かれるメンバーが決まった。
俺とシンバ。ギルとピーマン。
「じゃあ、俺とキーマンはミエーダの才について調べる。シンバとサンはバツサイとユアン国の黒い繋がりを示す証拠を。ただシファレンの事もある。慎重に行け。絶対に油断するな。何かあればどちらかが正常である内に直ぐに撤退だ。」
確かに。ミエーダは厄介な才を持ってんだろうな。
ツクヨミ内でも存在感を放っていたシファレンですらミエーダを前に為す術無く死んだ。
シンバはギルに拳を突き出す。
ギルはシンバの拳に自身の拳を合わせる。
「健闘を祈る。」
ギルとピーマンは首都の街並みへ消えていった。
「さ!!証拠でも探そうかね〜サン坊が居るから盗みはいけるな」
俺を信頼をしてくれているようで嬉しい。
「当たり前だ。早速、城に乗り込むか?」
俺の興奮して落ち着きがない様子にシンバは空かさず忠告する。
「その油断でシファは死んだよ〜。」
俺は我に返り、気を引き締め直す。
「さ!一旦は飯〜」
「金は?」
「あ!!忘れてた。しょうがないから悪いことして金蓄えてそうなやつから金奪ってやろうぜ〜。あ、アイツ今俺達睨んだ〜サン坊行けえ〜」
「おーーう!」
シンバはご飯を食べながら思い出したように、俺へ入国申請リストを求めた。
「あーーそれならピーマンに渡したぞ。」
「ちぇー!!いい事思いついてたのに〜!」
シンバは氷をガリガリと噛みながら頬杖をつきながら不服そうな顔をしている。
「よし!あと、これとこれとこれ食べたら出よ〜」
「頼みすぎだって。」
シンバの緊張感の無さに俺の引き締め直した気は緩んでいきそうだ。
シンバと俺は店を後にし、歩き出した。
「ついてきて〜」
そう言い残し、シンバは目にも止まらぬ速さで王都を颯爽と駆ける。
俺も負けまいと必死に食らいつくが次元が違う速さに息が上がる。
ギルも強いけど、シンバってすげえ強いんだろうな。
なんて事を考えながらシンバの後を追うと、シンバの足が止まった。
「よし。ここまで来れば充分だ。」
「!?」
シンバの口調と雰囲気が変わり空気が張り詰める。
あの時のシンバだ。
「色んなやつに付き纏われて人気者は大変なもんだな。」
誰かに付けられてたのか。気付かなかったな……
俺は目の前のシンバに緊張して、もはやそれ所ではない。
今にも心臓が口から飛び出そうだ。
「サン坊。出国前、総本部でギルティーノとの話聞いてただろ。」
__『俺はこの時の為に9年間過ごしてきた。我慢しろと言うのか。』__
「っ!?シンバ……気づいて……」
俺は唐突に核心に触れてくるシンバに戸惑いを隠せないでいた。
「何故皆に言わず黙っている。何が狙いだ。」
俺はシンバの気迫に完全に呑まれる。
「俺は……シンバを信じる。決めた。だから言わない。理由が……ある……だろ?」
ダメだ……俺の口は緊張で上手く動かない。
上手く息が出来ない。
呼吸ってどうやるんだっけ……?
「最初はあまりにも丁度よく現れるもんだからバツサイ側のスパイと考えていた。」
そうなのか……?
突然のシンバの告白に俺は衝撃と共に少し心が痛い気がする。
「しかし、スパイであろうとどうであろうと、俺はお前を利用すると決めた。俺はお前が死んでも構わない。」
え……シンバ……
俺の胸が鼓動を打ちすぎて苦しい。
「……と!最初は本気で思ってたんだけどね〜!今は情が出てきてしまってね〜絶対死んじゃダメだよ〜!」
「へ?」
「俺さ、意外と復讐心で心も頭もいっぱいなんだけど、サン坊と会ってからちょっとだけ肩の荷がおりたんだよ。ありがとうね〜」
「俺はシンバに嫌われてるのか?」
「ううん。むしろ_____だよ。」
シンバは俺の頭に手を置く。
「へ?今なんて?」
茫然としている俺の顔を覗き込み、シンバは続ける。
「明日、決戦だ。」
ニヤリとシンバが笑う。何やらシンバには考えがあるようだ。
「無理難題はやめろよ。」
「ああ。サン坊には計算とか頼まないし〜」
「誰が無理難題だ!!!」
シンバは無邪気に笑った。
その笑顔に俺はひどく安堵していた。
何が感情が分からないだよ。
俺にもしっかりあんじゃねえか。
《サンは胸の疼きを知り、自分自身の変容を悟った。
汚染エリアで摩耗し、失われ続けていた「感情」が、今さら芽吹き始めたのだ。
その先に、あまりに残酷な結末が待ち受けているとは__今の彼は、まだ知る由もなかった。》
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