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第22話 華麗な舞

赤髪の少年が塀の向こうに行ってからどれくらいが経っただろうか。



まあ……戻って来る方がおかしいのだが。



「なあ!お前たちずっと居るけど誰なんだー?」



後方の遠くから声が聞こえる。


直ぐさま振り向くと赤髪の少年は遥か後方に居た。


意味が分からない。

僕はずっと塀を見張っていたんだ、気づかないはずがない。



「いつから戻ってきた。」


「いつから?水奪りに行っただけだから10秒くらい?何してんのかなと思ってずっと見てた。」



ならば3時間程前から既に同じ場所に居たというのか?


化け物だな。班長が言ってた上には上がいるってこういう事か。



「お前、塀越えられるなら皆の分も取ってきてやれよ。」


「何で?」



「は?」



何でってそうするのが普通だろ……。


なんだ、コイツの目。

光を感じない。



「そうすれば皆が喜ぶだろ。」


「俺は?」



「何が言いたい。」


「俺は何が貰えんの。別に俺だって登りたくて登ってる訳じゃねえ。俺は生きたいから奪りに行くけど、こいつらは死んでもいいから死んでんだろ?」



そうか。コイツとは生きてきた環境が違う。


同じ人間だが、何もかもが違うんだ。


僕は元々とある小さな国の王族だった。

しかし国と国との戦争に敗れた僕達は亡命していた所をたまたま居合わせたプラチナに拾って貰った。


考え方なんて合うわけがないんだ。


ましてや普通はこんな場所で呑気に暮らせるはずもない。



僕が資料とは比べ物にならない程の体験に言葉にならない。




赤髪の少年は今度は土を掘り返し、死体を置き、上から土を被せている。



埋葬してやってんのか……?


食糧は取りに行かねえくせにそんな事はやるんだな。


赤髪の少年は僕の視線に気づいて口を開く。



「ん?これか?ここら辺は俺の場所だからな。臭くならねえように埋めてんだ。」



コイツはただ自分の部屋を片付けるかのように当たり前に死体をゴミのように捨てていく。


あくまでも生きる為か。

こいつはブレねえな。



「お前名前は?」


「サン。」


「そうか、サンか。ここで見たお前はその名の通り太陽みたいだな。」


「何言ってんだ?」



僕はサンの姿にフィルの姿が重なる。


同じ赤髪だな。無性にフィルに会いたくなった。



「じゃあ、僕達は失礼するよ。」



僕が歩き出すとグランが耳打ちをしてくる。




「メモリーが反応しています。あいつ才を持っています。」


「ああ、分かっている。だが良いんだ。」



才を持ってるかなんて直ぐに分かったさ。


しかしあまりにも彼から才を取り出すのは勿体無いと思ってしまったんだ。


もし、バツサイが先に見つけて才を奪ったとしたら僕はボスや班長に失望されるだろうな……。



でも僕は君の運命を見てみたい。


サンはここに留まっていい人間じゃない。

そんな気がするんだ。


グランは僕の考えが分からず混乱している。


歩き出す僕達にサンは手を振りながら見送ってくれた。


僕は助走を付けた。思い切り地面を蹴り、塀の上へ着地する。


やはりホイホイと登れる高さではないな。


振り返ると何やら三人が騒がしくしていたので再度汚染エリアに戻る。



「何だ?お前達も来い。」



僕の言葉に3人は首を振り、その場で僕にジャンプしてみせる。



「は?なんだそのジャンプ。いや待てまさか僕に担げと?」


「「「はい!!」」」



嘘だろ。もう一人でいいかな。


僕にサンが話掛けてきた。



「俺以外でここ越えれるやつ居るんだな。あれ、お前たちはここに残んのか?」


「行けないです。」


「は?」


「行けないです!!」


サンと話していた三人は僕の方へくるりと向きを変え、見つめてくる。



はあ……やっぱり僕なのかよ。



「もうここには来るんじゃねえぞ。でももしここに来ちまったらそん時は楽しく話そうぜ。」



サンは僕の目を見ている。

心做しか先程より僅かに目に光を感じる。



「あぁ。俺もお前に話したい事がある。」



三人の方に視線をやると、どうしていいか分からず固まっていた。



「三人はここで待機。」


「そんなぁ!」



バックが指輪を外そうとしている。



「まて。やめろ。指輪は外すな。」



ったく。油断も隙もねえ。


任務完了しねえと、ユアンはいつまでも変わらねえし、班長も僕にガッカリどころの話じゃないよ。



「ですが、私は記録係。僕はここでの任務続行出来ないかと……」


「はいはい、分かったよ!」



僕は思いっきり分厚い塀を蹴り破る。


途端に、鼓膜が破れるほどの警報音が鳴り響く。

当然、常駐している警備員に見つかり、僕と目が合った。



やべ。サンがあまりにも当たり前に登っていくから警備員の存在忘れてたぜ。


僕は胸に付けたペンダントをパカっと開け、中の写真を見せた。



「これ、僕の妹。サンと同じ赤髪でよ。またお前迎えに行くからよ。よかったら今度会って仲良くしてくれよ。じゃあな!」



足に仕込んでいたヌンチャクを手に、舞うように警備員をなぎ倒し、警備員は花のように空中に舞い散っていった。



サン……また会おう。



「台風みたいなやつだな。」




《しかし、シファレンが赤髪のサンとフィルを会わせることは叶わなかった。》



ここまで読んでいただき有難う御座います!


シファレン編どうですか??

シファレン編が終わる頃皆さんもきっとシファレンが好きになっていると思います!

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