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【終末ファンタジー】いつの日かの俺が正解の道に辿り着くまで〜世間知らずの少年は滅びゆく世界で林檎を食べる〜  作者: 鈴木 柊
ツクヨミ本部編

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第10話 プラチナ軍期待の新人 ザザン

ギルティーノの部屋を出ると緊張が解けたのか欠伸が止まらない。


今からか…眠いけど…まあなんとかなるか。



「ふぁ〜…とりあえず寝よーと。サン坊も俺の部屋来るか〜?」



シルバーの言葉に俺は困惑する。



「いや行かなくていいのか??」


「急ぐ気持ちも分かるけど…いや、全然分からないけど、ゆっくり休むのも大事な事だよ〜。とにかく自由に過ごしな〜」



シンバは手を振りながら自室へ歩き出した。



「そしたら、俺はこの島見て周ってくるよ。」


「おけ〜、そしたらちょっと待ってな〜」



そう言うとシンバは何かを探し辺りを見渡し、何かを見つけたようだ。



「悪いが、ギルをここへ呼んでくれねえか〜」


「おい…シンバ。それ…ウサギだぞ。疲れてんのか。」



俺は状況が理解が出来ず、咄嗟にシンバの肩に手を置く。



「それが普通のリアクションだよな〜当たり前すぎて忘れてたわ」



シンバが笑っていると、ウサギはどこかへ行ってしまった。


そうなるよな。急に話し掛けられてうさぎもビックリするだろ。



「とりあえず、ギルをここで待って、案内してもらえ〜!」


「お、おう」



とは言ったものの、どうやって来るんだ?


……まさか本当にうさぎが?いやいやいや。



「待たせたな。」


……いやいやいや。お?


「来た。いや、本当に来た。ここのウサギ。賢いな。」



俺はウサギを舐めていたのかもしれない。


すまねえ。ウサギって凄かったんだな。



「ただの兎じゃないからな。兎だけじゃない、ここに居る動物達は全てツクヨミの研究者達が開発した首輪型の装置『()()()』によって、意志疎通できるようになった動物なんだ。普段は本部全体の警備を任されている。」


「そんなもん着けてて大丈夫なのか?」


「あぁ、ツクヨミの研究者達が動物たちへの負担を最小限に開発されたものだ。」



ふーん。ちゃんと考えてんだな。



「さて、案内しようか。まず本部へはツクヨミの人間のみ立ち入る事が許されている。」



ギルの説明に俺の頭に疑問が浮かぶ。



「ツクヨミって沢山の人が居るんだろ。どうやって見分けてんだ?」


「ああ。それはこの指輪だ。お前もボスから貰ったろ?」



俺はさっきギルティーノに貰った親指に付けた天秤と鏡と太陽の紋様が印された指輪に視線をやる。



「これは確かゴールドの持つ才によって何処に誰が居るか分かるようになっている。」



え。何か監視されてるみたいで嫌だな。


俺は指輪を取ろうと指輪に手を掛けるが何故だか外してはいけないような気持ちになる。



「それから解放されたいと思うのであればそれは死ぬ時だろうな。」



ギルの言葉に如何に俺が握った秘密の重さを思い知らされる。



「そして本部の中心、俺たちが居るここがツクヨミ『総本部』だ。総本部の四方を囲うように、『医療機関施設』、『研究、開発施設』、『学校』、『隊員訓練場』が設置してある。」


「学校?なんでそんなもんがツクヨミの本部にあるんだよ」



俺の問いにギルは少し間をおいた後、話し出した。



「バツサイの本当の由来に関係している。これは追々話そうと思っていた事だが、そもそもバツサイとは悪い者に『罰』と『制裁』を与える、略してバツサイ。それが一般市民が知り得るバツサイの顔。

しかし実際の所は『才』を『伐採』し、自分達の力とする。略して『バツサイ』。

力すなわち才を独占する事で世界の中心に立ち、力で世界を支配する事が『バツサイ』の成し遂げたい世界なんだ。そして『才を伐採された者』すなわち奪われた者は例外なく、才を奪われる前の記憶の一切を消失している。」



ギルの説明に俺はある可能性が脳裏によぎる。



「消失??じゃあギルが記憶の一部が無いのは才を奪われたからなのか?」



俺が結論を急ぐとギルは横に首を振る。



「俺は違う。もしそうなら、幼少期の記憶や、ツクヨミに入った記憶も全てが消えているはずだが、俺にはある。」


「あーなるほどな?」



全く理解は出来ていないが聞いたからには適当な相槌は打つ。



「そんな自分が何者かも分からない奴が生きていける程、この世界は甘くは無いという事だ。よって被害者や、見込みがある者を世界全体から連れて来て、学習する場を設けている。」


「へえ。俺もその内の1人ってわけか。」



学校か。行ったことねえけど、どんなとこかな。


学校という未知の世界に俺は少しだけ興味が湧いてきた。



「いや、お前は俺たちの班の隊員だ。」


「なんだよ!!結局そうなのかよ!!」



さよなら、俺の学校ライフ…



「んで?他は?」


「後は、また4つの施設をそれを囲うように、我々の寮がある。前方にプラチナ軍隊員の寮、右にコッパー軍、後方にシルバー軍の寮がある。そして左に我々ゴールド軍の寮がある。」


「俺たちゴールド軍なのね。もう驚きもしねえよ。」



俺もギルが急に重大な情報を出してくる流れも段々板についてきた。



「あれ?言ってなかったか??そして軍艦全体を囲うように…」


「また囲んのかよっっっ!」



俺は気持ちの良いくらい渾身のツッコミを披露する。



「囲む事によって『総本部』への侵入経路を阻む役割があるんだ。」



ギルも負けじと食い気味に応える。



「おぉ……すまん。話の途中だったな。」



渾身のツッコミが気付かれずに流された俺は行き場のない羞恥心に平然を装い咳払いをする。


ギルはツッコミって知らねえんだな。次から気をつけよ。



「あぁ、そして軍艦全体を囲うように見張り台がある。他にもあるが、細かい所まで話してたら、案内せずに休憩が終わりそうだ。さてどこ行く?」



俺は少し悩んで訓練場へ向かう事に決めた。



「良い選択だ。今なら、プラチナ軍隊員の訓練が見れるぞ。」



その言葉に俺の胸は高鳴る。


皆ギル達みたいに強えのかな。



「ここだ。着いたぞ。」



訓練場と思われる建物の前に銅像が立てられている。



「それは、ボスの旦那様だ。なんでも戦闘系の才を持ち、ツクヨミでは敵なしだったようだ。」


「へー。」


「興味は……あるわけねえよな。」


「ああ!!」


「じゃあ行くぞ。」



俺の悪びれる様子もない姿にギルは大きく溜息を吐く。



「お?ギルか。どうした?」



メガネチャラチャラ男が俺たちに気づいて声を掛ける。



「シンバより、サンに案内を。と。」


「へぇ〜、あ!面白いこと思いついちまった!!模擬戦やろうぜ〜!」



プラチナは俺の姿を下から上へ視線を一周する。



「模擬戦…ですか。」



プラチナの提案にギルは考え込む。


断れよ!ギル!!



「あぁ!!正直サンくんのシンバ班への加入、反対してるツクヨミの連中が多くてね、そうだな〜…うん!もし俺の軍隊のルーキー『ザザン』へ勝ったら、少なくともここに居る連中は黙るだろ。」



プラチナ軍の反応から見るに、ザザンって奴の強さは保証されているんだろう。


俺は喧嘩は専門外だ、断るに決まって…



「へ〜面白いじゃん!やろうよサン坊!!」


「げっ…シンバ!!!どこから居たんだよ。」



ひょこっと何処からともなく現れたシンバが鬱陶しくて堪らない。


この流れ…嫌な予感がする。



「怖気付いたのか、サル」



やっぱりぃ!!!


いつの間にか、俺の両脇にはシンバとキーマンが立っていた。



「あーあーあー、やってやるよ。わざわざ揃いも揃って俺がやられるところ見に来たのか?あ?」



俺は投げやりになりつつ、少しだけ、いやだいぶ、止めてくれる誰かを期待した。


お前だよ!ギル!


ギルは俺に微笑む。俺も笑顔で返す。



「頑張れよ。」


「ん?」



ギルが俺の肩に手を置く。


嘘だろ……。


「ギル…お前なら止めてくれるって信じてたのによ!!!俺が怪我して任務に行けなくなった時、どうギルティーノに説明するかを考えとけよバカ共!」



悪態をつき、そっぽ向いている俺を三人は心配……するはずもなく笑っている。


あいつら、絶対良い死に方しねえぞ。この野郎。



すると黒髪の青年が1人こちらに近づいてくる。



「俺、1年前学校卒業したっス!プラチナ軍へ配属されてから、同期の模擬戦で負けたことねえっス。

だからプラチナ軍背負って負ける訳にはいかねえっス。

歳は多分19っス!」


「多分?」


「俺、才()られちまったっス!!記憶ねえっス!!」



ザザンは陽気に笑うが、生憎俺は何の感情も湧いてこない。



「聞いておいてなんだが、同情はしてやれねえ。」



それにしてもなんだコイツ。背が高えな。ギルくらいありそうだぞ。



「俺、喧嘩は専門外の盗人だからよ。そこんとこ宜しく頼むぜ。」


「はいっス!!!!」



ザザンの黒色の髪が風になびいている。



《プラチナ軍のルーキー『ザザン』の実力は、如何に》


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