第9話 ツクヨミ 総司令官 名はギルティーノ
俺は大きく息を吐き、ギルティーノへ問い掛ける。
「さっきから出てる殺気だけ気になるんで止めてくれるか。」
紫色の髪の女と、シンバが目を合わせ、女はニヤリと笑った。
「流石だな。才持ちとは聞いていたが、それ以前にその態度……面白い。お前感じたか?我の殺気を。」
「サン坊を立ててあげたいところは山々だけど俺もそれなりに鍛えてるので〜」
「そうかそうか。ツクヨミの未来、世界の未来は明るいな。」
紫髪の女は大口を開けて豪快に笑っている。
「我のコード名は、ダイヤモンドだ。由来は死んだ旦那がくれた結婚指輪にはダイヤモンドが使われていたからだ。最高だろ?」
え……笑った方が良いのか?
シンバが俺に耳打ちしてくる。
「名前はギルティーノって言って、年齢は……」
少し風が吹いた途端にシンバの声が聞こえなくなり、気になってシンバの方を向くと
横に居たはずのシンバはダイヤモンドによって後方の壁に頭からめり込んでいる。
「へ?」
何も見えなかった……
「おい、シンバ。名前は伏せてた方が雰囲気出てかっこいいだろ!!!」
そこかよっ。
2人のペースに俺は全くもって着いていけない。
ギルティーノは咳払いをし何事も無かったかのように話を続ける。
「……コホンッ…さて、サン。早速だが、我のペットになる気は。」
「無い。」
俺が食い気味に答えるとギルティーノは面食らっている。
「そうか。死んだ犬と同じ名前でな。生まれ変わりかと思ったんだがな…また生まれ変わって出会える時が楽しみだ!」
ギルティーノはまた豪快に口を開け笑っている。
え…また笑い話なのか?分かんねえ。
どんな話でも笑っている。やっぱり明るいんだよな。
一頻り笑った後にギルティーノはゆっくりと椅子に腰を掛け足を組む。
「サン。才については分かってきたか?」
「ああ。大体はギルに聞いた。」
「そうか。なら話は早い。我の才は、希少才1個と才を1個持っている。」
「希少才?」
「何も難しくない。この世には才をコピーする才や、才自体を奪取する才なども存在する。その影響をも受けない才は希少才と位置づけられている。」
「ふーん。2個も持ってんのかすげえのな。」
「我の才は、ポジティブの才。希少才は、時間干渉の才だ。」
「ふーん。そんな事俺に言ってよかったのか?」
少し挑発したように聞く俺に、ギルティーノは余裕の表情で淡々と答える。
「ああ、問題ない。少しでも情報でも漏らせば裏切った者とし、一般人でも処刑できる事になっている。こちらとしても言った方が殺りやすいんだ。」
「へー、脅してんのか。」
「さぁ?お前次第だな。サンが何者かのスパイの場合脅してるという言い方は確かに該当するな。」
ギルティーノの得体の知れない独特な雰囲気に今の俺では勝てる気がしない。
「分かった。」
「おや?才の事はもういいのか。どんな才で、発動の条件は。など聞かなくていいのか。」
「いや、いいよ。頭がいっぱいで途中から何も入ってきてねえし。じゃあなっ」
先程から俺は疲労感で強い睡魔が襲い扉へ向かう。
「そうか。しかし、小さな見落としから、取り返しのつかないことにならなければいいな。」
睡魔でそれ所では無い俺は振り返らないまま手を振り、部屋を後にしようとしたその時__
「まだだよ。サン。」
シンバの冷静な口調に驚き、足が止まる。
俺が振り返りシンバの姿を確認する。途端にシンバは笑顔を作ってみせる。
「ああ。これからが本題だ。早速だが、初任務、兼、入隊試験内容を言い渡す!『ユアン王国、王都ハリー・ボーテ』へ向かえ。この国はバツサイとの噂が絶えない。何も殺せとは言ってない。その証拠を持って帰ってきてもらいたい。以上だ。行け!」
ギルティーノの指令にシンバは肩を落とす。
「嘘だろぉ〜ボス〜……俺たちそこから来たんだぜ〜? 」
「何処だ?そこ。」
俺の問いにシンバは目を丸くする。
「世間知らずのサン坊でも自分の暮らした国の名前くらい知ってると思ってた〜」
「あの国。そんな名前だせぇのか。てかまた戻んのかよ〜」
《『ユアン王国、王都ハリーボーテ』次の目的地は決まった。
この任務がサンの人生の分岐点と言っても過言では無いだろう。》




