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特殊な寿司屋

作者: まい

 男二人が連れ立って、とある寿司屋の前で立っている所から話は始まります。

「寿司屋? 一見普通の外見の、なんでこんな所になにがあるんだ?」


「ああ普通だよな。 だが、ここは凄いぞ?」


「いや、わけ分からん」


「いいから、ほら入るぞ」



 私服姿の男二人が、とある場所の一見すると普通の寿司屋の前に立っていた。


 店の入り口の暖簾(のれん)には「(がん)()()寿司」と書かれており、店名が少し変なのが特徴と言えば特徴だろうか。




〜〜〜〜〜〜




「らっしぇーい!」


『しゃーせー!』


 野太い声で出迎える板前達は思い思いの服であった。


 大半がなんか軍服っぽい服装にエプロン姿だが、気合の入った人は如何(いか)にもシェフで御座いと言った格好である。



「ほら、入り口に突っ立ってないで、席へ行くぞ」


「お、おう」


 この寿司屋に誘われた方の男は勢いに呑まれて頭が真っ白になっていたらしい。


 誘った方の男に正気に戻され「空いているお席へどうぞ!」の板前の声に従い、適当な場所へ腰を落ち着けた。


 すると誘った方が、したり顔でもう片方へ話しかける。


「ここの寿司屋は定番のネタでも呼び方が違う物が有るのが特徴でな、メニューを見てもよく分からないんだ」


「じゃあ、あてずっぽうなのか?」


「いや、板前に(たず)ねればいいだろう」


「そう言えばそうだな」



 なんて間抜けな会話を()てから、目の前に立つ板前へ、メニューを指差しながら教えてもらうことにした。


「へい、(がん)()はそこらの寿司屋より太い太巻きを頑張って巻いたものでさ!」


(まく)()は頑太の(ふた)皿分ですぜ」


(ぜい)()は頑太のネタを贅沢(ぜいたく)にした高級太巻きでごぜえまさ」


(ぜい)(ぜい)()はより贅沢なネタにした時価太巻き。 注文してくださるんで?  残念でさ」


()(きゅう)()()は、お麩と猪肉(ボタンにく)を中心にして季節の物を散らしたお吸い物ですね。美味いですぜ?」


(えい)()()シリーズなんかもオススメですぜ。 海老の寿司ですが、ひと工夫ふた工夫されているものばかり」


「巻き寿司が多い? いやまあ、普通の寿司もありやすが、ウチではそんなのの方が売れてやして」



 なんて色々説明を受けたが、誘った方の男は得意気な顔でこんな注文を始めた。


「新頑太はある? 今はどんなの出してる?」


「今の新頑太は()(あっ)()ですぜ?」


「へえ、どんなの?」


「最初は小判型のウズラの卵の目玉焼きを2つずつ使った軍艦巻を考えてやしたが、太巻きじゃないと気付いてウズラの卵を4つ使った玉子焼きを入れて小判型に巻いた太巻きにしやした」


「いいじゃん。それちょうだい」


「へい!」


 なんてやっていたが、その間にも誘われた方の男は別の板前に商品説明をしてもらっていた。


「サク塩も良いです。 サクっと揚げた天ぷらに塩を添えた物です。 え?いきなり当て字じゃなくなった? そりゃあ当て字ばかりじゃ堅苦しくなっちまいますからね」


「サク塩で十分ですが、もっとサクサク感が欲しい方はサクサク塩。 もっともっとサクサクさせたいならサクサクサク塩をどうぞ」


「変わり種なら、シャコ貝に山の幸を足したチラシ寿司、陸シャコをどうぞ」



 色々話をしていたが、誘われた方の男は周囲の客がふと視界に入り、気になった事を(たずね)ることにした。


「なあ、他の客の草みたいな仕切り(バラン)の形が整ってないけど、客から見た目が悪いとか言われないのか?」


「アレはわざとなんです。 放棄された田畑(たばた)で、あっしらは荒れ草(あれくさ)って呼んでます」


「色々考えてるんだなぁ」


「ええ。 それでお客様が楽しんで下さるなら、この位こねくりまわします」


「凄い……(特定層の)オヤジ達が熱中するわけだ」


「へへ。 ありがとうございます」

 固有名詞にピンと来る人は、かなりのオールドタイプと見た。

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― 新着の感想 ―
店の名前から予想はできたけれど、半分も元ネタが理解できなかった…。 私は新人類側だった…? 赤酢と伊勢海老を使って、「赤い酢伊勢」海老寿司とかどうでっしゃろ?(目の前をぶち抜くプラズマの閃き)
ガ......ガンダ......
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