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8.ついに来ました! 学校の定番イベント!


 さて、皆さん。学校と言えばなイベントって何だと思います?

 え? 給食の残り物じゃんけん? は? 何言ってんの?


 学校の定番イベントと言えばこちら!

 『どきどき! 新入部員はどんな人がくるかな!?』だろうが!






「集合!」

「うえ~い!」


 キャプテンの集合の合図にもはや何と言っているのかも分からない返事をしながら部員が集合する。

 その中には当然、俺もいる。いなかったらおかしい。

 入学式が終わって放課後。俺達は部活をしていた。まだ準備運動の段階だけど。


「じゃあ、今日は新入生達が体験や見学に来ているからな。くれぐれも注意するように」

「はい!」

「お、元気がいいな、春」

「はい、この日を俺は楽しみにしてましたので!」

「そうか。あまりはしゃぎすぎないようにな」

「はい!」

「よし、じゃあ、そろそろ来ると思うから気にかけつつ、練習再開!」

「「「うえ~い!」」」


 各員は散らばって再びストレッチを再開する。

 俺も入念にストレッチを行った。怪我なんてしたら恥ずかしいからな、入念に入念に。




 がらがらっ

 


 

 体の腱という腱を伸ばし、全ての関節をほぐすことに夢中になっていると、体育館の扉が開いた。

 そこには明らかなバスケの格好をした女子生徒が立っていた。


 …女子バスケか。焦るな、待つんだ。その時まで。


 あ、ちなみに今日も体育館のもう半分を使っているのは女子バスケです。


「パス~」

「「「うえ~い!」」」


 俺はボール籠からボールを取り出して俊也とパスを始めた。

 まずは片手で投げながら肩をほぐし、両手で背中を使って投げながら背中をほぐす。


「……なんか、春が険しい顔してらぁ」


 俊也が何か言っているが気にしない。俺はキリッとした顔をしているはずだ。



 

 がらがらっ





 ドアの方を見ると、男子生徒数人がそこにいた。


 …来た! アレは間違いない! 男子だ! バレー部だ! だって何でか知らないけど、もうサポーターしてる奴いるもん!


 いざ!


 俺は俊也に目配せをして、新入生の元へと、先輩らしく、焦ることなくゆっくりと歩いて行く。


 お、新入生達が俺が向かっていることに気付いた! 頭をぺこりと下げている!

 ふふん! いい心がけだ!



「新入生かな?」


 歩きながらそう尋ねる。


「あ、はい! よろしくお願いします!」


 元気だ。いい! いいぞ! いい後輩じゃないか。中学の時はとあることがきっかけで、後輩達からいじられるようになったけど今回はその心配はなさそうだ!

 そして俺も中学の時のようヘマはやらかさない! かっこいい先輩であり続けるのだ!


「2年の春祐一だ。それじゃあ、こっちに上がって、荷物を置いて練習にいいいっっ!?」

「あっ」


 突如、視界がぶれる。

 何だ! 何が起こった! 誰かにボールをぶつけられたか! いや違うこれは…!



 

 ガッ、ゴンッ、ズザッ!

 



「ぶぎゃっ! ……痛ってえええええええええええ!?」



 この体育館の出入口には段差がある。靴を脱ぐ場所と、体育館内を分けるために、10センチ前後の段差があるのだ。

 そう、そこに気付かず、あるはずの地面が持ったよりも下で、思いっきり転けたのである。



「だ、大丈夫ですか!?」


 新入生が慌ててよって来てくれる。

 もう手遅れかも知れないが、俺は先輩。かっこいい存在でなければ!


「だ、大丈夫だ!」

「いや、全然大丈夫そうじゃないですよ!? 思いっきり顔面打ってたし、今も痛そうにしてるし、さっき痛いって叫んでたじゃないですか!」


 く、こいつよく見てやがる…!


「はあ、何やってるの、春君」


 ため息をつきながら段差の上から俺を見下ろす女子生徒。

 我が部のマネージャー、東雲真由子さんだ。


「あ、新入生達、気にしなくていいから、上がって上がって。荷物を端に置いたらキャプテンが話かけてくれると思うから」

「あ、はい。あ、ありがとうございます」


 お礼をしながら新入生は俺を心配そうに見てから体育館の中へと上がって行った。

 ……くそ! 惨めだ! 泣きそうだ!


「何やってるの、春君」

「…東雲先輩。ちょっと、転んだだけです」

「ちょっとって感じじゃないじゃない。ほら、顔見せてごらん」


 東雲先輩はこうなることを見越していたのか、なぜか持ってきていた救急バックから消毒とコットンを取り出す。


「あ~あ、もう、顔に傷出来てるから、ほら」

「しょ、消毒ですかっ! だ、大丈夫です! 俺の白血球は…!」

「うるさい」

「いったーい!!」

「ほら次、打ったところ冷やしに保健室に行くよ」

「うう、はい…」


 消毒液が顔にしみる。顔から落ちたから強打と擦り傷をしている。

 しみてるからなのか、ちょっと涙が出てきたぜ。









 

 保健室に行ってから、氷を貰い、アイシング用の布に入れて顔を冷やす。

 今は体育館に戻ってきて、東雲先輩の横に座って点付けをしている。

 思っていたよりも処置に時間がかかってしまい、体育館に戻ってきたら新入生も交えて軽い試合をしていたのである。

 しかも、3チームに分かれて学年も混ぜ混ぜで。楽しそうである。楽しそうである!!


「春、大丈夫なの?」


 東雲先輩と同じく、マネージャーをしている2年生小池小雪が少し心配そうに声をかけてきた。

 

「大丈夫大丈夫。もう冷やしすぎて逆に感覚なくなってきた」

「え、それ逆に大丈夫なの?」

「大丈夫なんですかね、東雲先輩」

「ん? まあそろそろ外してもいいかもね~」

「じゃあ、あれ参加してもいいですか? なんか楽しそうでむかつくんで、ちょっとボコボコにしてこようかなって」

「ん~ボコボコはだめだけど、そろそろ練習参加してもいいんじゃない?」

「よっしゃ! ほい、小池! じゃいってきま!」


 俺は東雲先輩のOKを貰ったので、アイシング容器を小池に渡して、コート外に居たキャプテンの下へ向かった。





「キャプテン! 春、復帰できます!」

「お、もういいのか?」

「はい! 次の試合から参加させて下さい!」

「よし、じゃあ、俺のチームに入れ。丁度バランス的に一人足りないしな。柔軟だけはしとけよ?」

「はい!」



 やったぜ! 試合の中で活躍して、さっきの失態を取り返すのだ!

 柔軟を念入りにやるぜ!










「レフトレフト!! ほれ! もってこーい!」



 試合に参加して数分。やっと前衛に回ってきたぜ。

 最初、リベロじゃないんですか? とか言われたけど俺は気にしていない。全く気にしていない。


 それよりも、いよいよ、俺が度肝を抜くときが来たぜ! 俺のスパイクを見て戦きやがれ!


「レフト!」

「よし来たぁ!」


 俺は高く上がったトスを見て助走に入る。


「今日は止めるぞ、春!」


 目の前には俊也。ライトのスパイカーとして参加している。

 ので、今はレフトのブロックをしている。


「はんっ! やってみやがれ!」


 ボールが頂点に達し、落ちてくる。

 俺は助走のスピードを上げて、落下位置を予測し、跳んだ。

 手に当たる瞬間、ブロックを視界の端に収め、俊也の右手側。アンテナとの間にわずかに開いたその隙間を狙って、回転をかけるように打つ。



 ボールは俊也の手に当たったが、そのボールはコート外にはじき出される。


 

「よっしゃ!」

「ナイスナイス!」


 チーム内に居た1年生がハイタッチをしに俺の元へやってくる。見たか俺のスパイクを!




 その後、25-18で俊也達に勝利し、部活は終了となった。

 






「いや~春先輩のスパイク、取れないっすね!」

「だろうだろう!」

「回転がエグくてはじいちゃいます」

「ふふん!」

「お~い、1年。あんまり褒めるとこいつ天狗になるからその辺にしとけよ~」


 俺が後輩に褒められて気持ちよくなってると後ろから俊也が茶々を出してきた。

 

「おい、俊也ぁ。惨めだぞ? 俺に勝てなかったからって」

「…いいか、1年。こう言う2年生になっちゃだめだぞ」

「あ、はい。それは分かってます。春さん、バレーは上手だけどそれ以外はちょっと…」


 ……え!? それどういうこと!?


「だってよ、春」

「な、なぜ…」

「ほら、なぜか教えてあげなさい、1年生」

「えっと、ちょっと子供っぽい? 精神年齢が若いというか何と言うか…」

「………」


 くそ! そんな風に思われていたのか…!


「おし! よく言った1年! じゃあ、俺は春と帰るからお前達も気をつけてな!」

「あ、はい! 今日はありがとうございました!」

「「ありがとうございまました!」」


 1年生達が帰って行く。

 待て、俺の名誉挽回のチャンスを! 俺の威厳を!!


「無理だって春。もうバレちゃったからさ」

「…てめぇ!!!!」

「お~恐い恐い」


 俊也の胸ぐらを掴み上げるが、背伸びをしてやっとである。この野郎、無駄に身長が高い…!!

 はぁ~!! 苛つくぜ! 帰って理恵に癒やしてもらおう!!




 







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