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寝たふりして机に突っ伏していると近くから僕の配信について感想を言い合う美少女たちの声が聞こえてくるんだが!?〜あれ、僕をいじめてた彼はどうなったんだろう〜  作者: マグローK
第一章 VTuber雲母坂キララはじまり編

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第45話 デートをしよう:影斗視点

 部屋に入るなりスイッチが入ったように怜の表情が変わった。


「昨日は少しリアリティが足りなかったと思うわ」


「り、リアリティ……? 日向には真に迫るって言われたけど」


「ちょっと違うのよ。迫力じゃなくて本物感よ」


「本物感?」


 同じじゃないか?


 しかも、ほめられた気がするのだが、たんぽぽぽさんこと日向に。


 しかし、ここでそんなことを言っても仕方ないのだろう。怜が言いたいことはそうじゃないはずだ。


「つまり、大根役者だって言いたいのか?」


「そこまでとは言ってないわ」


「演技が下手とは思ってるわけだ」


「わ、私はそんなキララちゃんが好きだけどね?」


「ありがとう?」


 照れながらほめるタイミングじゃない気がするが、素直に嬉しい。


 でも、仕方ないじゃないか。


 僕は正真正銘の女の子じゃない。男だ。演技が入らないと雲母坂キララにはなれない。


 だからといって、今さら演技が下手と言われても急に上手くなるのは難しい。


「俳優じゃないしなー」


「そうよね。でも、演技以前に影斗は学ぶべきことがあると思うの」


「う、なんすか」


 勉強は正直そんなに自信がない。


 怜と比べられたら絶対にできないと思う。


「女の子のことをもっと知ってもらおうと思うの」


「それって、ま、まさか女装をしろと!?」


「いえ、違うわよ。まあ、それもいいかもしれないけれど、今回は違うわよ。ねえなんで少しノリノリなの?」


「い、いや、なんでもないです」


 バ美肉VTuberとかいうじゃっかん女装みたいなことをしてるせいで抵抗が薄れているのかもしれない。


 別に普段からそういう趣味があるわけでは決してないのだが、まったく興味がないとも言い切れない。


「それで、なにをするんだ? ファンタジーな薬でも持ってるのか?」


「そんなものはないわよ。デートよ、デート」


「へー。デートね……」


 ん? デート?


「で、デートってあれか? 男女が約束して、ごめーん待った? 待ってないよ。今来たとこ。みたいなあれか?」


「そうよ」


「そんなリア充イベント僕には起きたことないぞ。しかも相手がいない。誰とやれと?」


「私と日向さんよ。フィアラさんと若菜さんは用事があるから無理そうだったわ」


「へ?」


「さりげなく観察してキララちゃんを本物に近づけるのよ!」


「いやいや、え?」


 なんで怜はこんなに意気込んでるの?


 あ、ああ。あれか。サインの次はデートを求めてくるタイプのファンっすか。


 やっぱり下心じゃん。


 なんて疑っていると、怜は挑戦的な笑顔を向けてきた。


「普通に話す分には女の子とも話せるみたいだし大丈夫でしょ?」


「でも、デートだろ?」


「そうね。外でデートの予定」


「ちょ、ちょっと待て。外で!? それ二人ともいいのか?」


「日向さんはわからないけど、私は別にいいわよ。減るものじゃないし」


「いや、デートの回数が人生で決まってるって話じゃなくてだな。あれだ。もし一緒にいるところを見られてもいいのかってことで」


「だからそう言ってるじゃない。減るものじゃないし、それに、だれも影斗と私の仲悪いなんて思ってないわよ」


「そうじゃない。それこそデートだぞ? つき合ってるって話に」


「別にいいじゃない」


「へ!?」


 もっと気にすると思ってたのに、なんだこいつ。


 くそう。大神くんがいなくなって多少は気がラクになったと思っていたらこんなことになるなんて。


 怜のこの感じはどこから来るんだ。すごい堂々としてる。こういうのは女子の方が気にするんじゃないのか?


「私とは今ここで決めるとして、日向さんとは自分で約束してね」


「え、もう予定を取り付けたんじゃないのか?」


「直近で空いてるかどうか聞いただけよ。私が影斗と遊んであげてっておかしいじゃない」


「確かに。いや、でも、二人と短期間にデートって嫌なやつじゃないか? なんていうか、二股みたいで」


「デートじゃダメ? なら、出かけるってことでいいじゃない。日向さんと影斗はつき合ってるわけじゃないんでしょ? ……え、もしかしてつき合ってるの?」


「つき合ってないよ。僕じゃ日向には力不足だ」


「そんなことないと思うけど」


「いや、あるさ。日向は見た目も能力も僕より上だ。それよりどうしてこんなこと思いつくんだ? 本当に二股みたいなことさせるのが目的じゃないよな?」


「私をなんだと思ってるのよ」


 おっと、疑いの本音が漏れてしまった。


「女の子と接して女の子について学びましょうってだけよ。普段から接してる私や日向さんじゃあんまり効果ないかもしれないけれど、他の相手もそうそう見つかるものでもないしね。だからデートよ」


 まあ、怜の言うことも一理ある。と思う。


 本物の女の子を知るのはきっと大事なのだろう。


 演技するために役について徹底的に調べる役者さんもいるって聞いたことがある。


 演じるために体型を変える人もいるなんて話だ。


 それに比べればデートなんて、しかも女の子の怜が言うくらいだし……。


「仕方ないな」


「決まりね」


「うーん。でも、日向にはどうしよ。なんて聞こ」


「普通に、出かけよ。でいいじゃない。連絡できるんでしょ?」


「他人事だと思って」


「他になにがあるのよ」


「そうだけど、改まって言うとなると。どうしよ」


「そう言うところも含めて勉強よ。相手の気持ちになって考えれば伝わるわよ。それに、普段からかなりいい印象持たれてるんだし、嫌な気はしないと思うけど」


「そうか?」


「そうよ。……でも、ふふふ。これで……」


 なんだか悪い顔が見えた気がするのだが。


 やっぱりキララと擬似デートみたいなことが目的なんじゃないのか?

いつも読んでくださりありがとうございます。


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