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寝たふりして机に突っ伏していると近くから僕の配信について感想を言い合う美少女たちの声が聞こえてくるんだが!?〜あれ、僕をいじめてた彼はどうなったんだろう〜  作者: マグローK
第一章 VTuber雲母坂キララはじまり編

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第39話 キララへの思い

「返信だ!」


 スマホを開き影斗からの返事を見てがっくりとうなだれてしまう。


「もー! ボイスチャットくらいつないでくれてもいいじゃんケチー!」


 帰ってくるなり連絡したのに用事ってなによ。よーじって。女? 女なの? 嫉妬しちゃうわー。


「ふふっ」


 ま、影斗に限ってそんなことはないだろうけど。


 忙しいんだなー。


 なにしてるんだろ。はぐらかされちゃったけど、今度もう一回聞いてみようかな。


「案外怜ちゃんあたりはなにしてるか見抜いてたりして!」


 なんてね。


 合間ぬって動画編集教えてくれたこと、もっと感謝しないとな。


 でも、素直に言えるかな? 聞いてくれるかな?


「日向はすごいな」


「んー!」


 影斗の言葉が頭の中で何度も反響して悶々としてしまう。


 影斗がわたしの努力を認めてくれただけで胸がぎゅーってなる。


 やっぱり言おう。


 ありがとうは何回言ってもいいはずだから。


「はーあ。でも、まさか本人から推されるとはなー」


 もしかして用事って、これからは影斗はただのファンで、わたしは切り抜きの人みたいになっちゃったから、気兼ねしてるってことかなー?


 そんなの気にしなくていいのに。


 わたしはただ影斗とキララちゃんに笑ってほしいだけなのに。


 でも、怜ちゃんが言ってたけど、影斗って照れ屋らしいからなー。そんな風に思ったことなかったけど、わたしには結構ずけずけ言ってくるし。


「怜ちゃんが言うんだ。きっとそうだ。そうに違いない」


 怜ちゃんの目は確かだ。


 それに、他の人から影斗のことを聞けるようになったのも怜ちゃんのおかげだ。


 こっちも感謝してもしきれない。


 たしかフィアラちゃんも若菜ちゃんもいろいろ言ってたな。


 フィアラちゃんは、


「影斗は絶対に日向に気があるから、早く押し倒しなよ」


 って言ってたし。押し倒さないけど。


 若菜ちゃんも


「ひなたんに気がなかったらもう若菜のだよぉ」


 って言ってた。


 じゃあわたしに気兼ねするのは好きだから?


 ふふ。なんちゃって。


 用事は用事だよ。


「でも、好きな人と好きなことが一緒でよかった……」


 元々はネットに詳しかったのは影斗だ。


 そのおかげでわたしもネットを使うようになった。


 それでわたしがキララちゃんを知ったのって、たしか……。




 わたしは元々、インターネットについて詳しくなかった。


 影斗がわたしと二人でいる時に楽しそうに話すから、少し興味を持って教えてもらいながら使っていた。


 その時は影斗の話がわかる程度に、動画を見たり、音楽を聞いたりするだけだった。


 誰が好きとか、こんなゲームがある。なんて話をしてくれた気がするけど、当時はよくわかってなかったせいか、あんまり思い出せない。


 それでも、まったくわからないのは嫌だったから、自分でも意識して使うようにはしていた。


「わあ!」


 そんなある日、ちょっとおすすめに出てきてハマっちゃってのがVTuberっていうジャンルだったと思う。


 アニメは好きだったけど、影斗みたいに絵を描いてファンアートが紹介されるような熱心さはなかった。わたしは影斗ほどキレイに絵を描けなかった。


 でも、ドラマよりリアルに人ががんばっているところ。みんなアイドルみたいで、でもやっぱり違って。そんな不思議な存在に直ぐに応援したくなっていた。


 その中でも特に、雲母坂キララちゃんがわたしの中でずば抜けていた。


「は、初めての人だ! あ、じゃあ途中だけど、こほん。こんにちはー! みんなに届ける明けの明星! どうもー雲母坂キララでーす! って言ってて気づいたけど、まだまだ始まったばかりだからみんな初見さんだよね。ははは」


「かわいい。かわいい!」


 すごいと思った。わたしにはかがやいて見えた。


 その時から、インターネットにもアイドルみたいな子がいるんだって知った。


 不思議と、わたしを影斗が守ってくれた時のような感動を覚えた。


 見てる人は片手で数えられるほどだったけど、それでも、笑顔を振りまいてて、なにより、わたしを笑顔にしてくれた。


 この子を応援したいって思えた。




 あの日から、わたしはキララちゃんについて人と話すのが日課になっている。


 だから、切り抜きはまったく苦じゃない。


 むしろ楽しい。


 これまでは応援したくてもうまくできなかった。わたしは他の人みたいに絵が上手なわけじゃないし、手先が器用でもないから。


 でも、今は影斗が教えてくれたおかげでこれならできると確信できた。それがただただ嬉しかった。


「見てコメントするだけだったわたしでも、もう一人でできるもん」


 まあ、今となってはコメントがものすごいはげみになるってことはわかる。


 切り抜きを出しても、見られないと悲しいし、見られて面白かったと言ってくれるのは嬉しい。


 わたしはキララちゃんを好きって気持ちなら誰にも負けない自信がある。情報量は怜ちゃんに勝てないけど、好きって気持ちなら絶対に負けない。


 これならよりわたしでも、よりキララちゃんを応援できる。キララちゃんをいろいろな人に知ってもらえる。


 素早く始めたかいがあった。


「まだつたないかもしれないけど、影斗もキララちゃんにも見てもらえてる」


 また、笑ってもらえるようなものを作ろう。


「でも、少し意外だったな」


 影斗がキララちゃんを好きって言うなんて。


 わたしがみんなの前で問い詰めたら隠しそうなものだけど。男の子って恥ずかしがりそうなものだし。


 そんなことはいっか。


「二人が見てるならわたしもやるよー!」


 わたしは今日も不慣れなパソコンに向かって編集作業をするのだ。


 また、影斗やキララちゃんに笑ってもらうために。大神の悪意を少しでも軽減してあげるために。


「んふふー。次はどうしよっかなー」

いつも読んでくださりありがとうございます。


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