7話 九重優
「………」
「……」
「…」
「……よし!日野隊員、報告ご苦労!」
「それでは、本日の『ユー監視班』途中報告を行う!」
「『学内班』!今しがた日野隊員から報告があったように、細かいアクシデントはあれど特に問題は無しだそうだ!レイラ・エンペレスに関しては後でたっぷり絞っておくとしよう!」
「『戦闘班』!副班長、報告を頼む!」
「ハッ!こちら戦闘班!本日、『ユー』による内部アクシデントを想定した戦闘配置訓練を実施!訓練は順調、特に異常はありません!__あと、毎度のことながら班長は本日も不在でしたので、一応ご報告を」
「承知した。ヤツに関してはどうせそこらをほっつき歩いているか寝ているかだ。問題が無ければそれでいい。ご苦労!」
「『内部班』!天才クン、開発は順調か?」
「内部班。開発は順調。目立った事件、事故無し。人員の外出79名。流入45名。そのうち新規流入者4名。3人は内部班。1人は戦闘班。全員問題なし。『最内部』住人にセネルの発現なし」
「うむ!いつもながら完結でよろしい。桃野隊員!新規流入者のチェックは?」
「はい!全員既にチェック済です。問題はありませんでした!」
「よし!そして『外部班』!ギャルちゃん、何か異常は無かったか?」
「こちら外部班~。本日も外部情勢は『いつも通り』すね~」
「『いつも通り』というと?」
「外では相変わらずそこかしこで『X』が暴れてるしぃ、大国2つは今にも戦争始めそうで穏やかじゃないしぃ、『ゲン』はそんなのお構いなしに領土増やしまくっててもう治安も緊張感もヤバげって感じ?国内はまだマシっすけどぉ、その割に『本部』はムダに忙しそ〜にしててもうブラック全開でやんなっちゃう!ま、いつも通り『この街』にゃあ関係無いことっすけどね〜」
「つまり、問題ない、ということでいいな?」
「そゆことでぇ~す」
「うむ、ご苦労!『第1結界』にも特に異常は無いみたいだな!」
「よし!これにて途中報告を終了する!それぞれの班は夜間組に交代してくれ!」
「さて、『監視班』の者達もご苦労!引き続き任務に当たってくれ!休憩は随時行うように!」
「「「はい!」」」
「先輩、今日もカッコイイなあ……」
「モモちゃんもご苦労!残りのチェック分が終わったら今日は上がって良いぞ!」
「あ、はい!分かりました!」
「zzz」
「おいコウ!寝るな!」
「zzz……痛えっ!?」
「わ、すごい音……」
「痛ぇーよ班長!頭割れるって!」
「任務中に居眠りするなと何度も言ってるだろうが!いつ、何が起こるかも分からんのだぞ?」
「そんな毎日キビキビしてどうすんのさあ」
「こんなくだらねー報告会やったところで結局さ、今日も『ユー』はいつも通りのんきにガッコー行ってベンキョーして、家に帰って飯食ってテレビ見てゲームして宿題して風呂入ってシコってスヤスヤ眠りました。終わり!になるじゃん!毎日そうじゃん!今日もどーせなーんも起こんないって」
「こ、コウちゃん!そんなはしたない言葉使わないの!」
「うっせーエロ女!存在がはしたねーやつに言われたくねえんだブフォ!?」
「……コウよ。先輩への口の聞き方は注意することだ。次は割るぞ?」
「す、すみません。割るのは勘弁してください……」
「ふぅ……それにな。さっきお前は『どうせ何も起こらない』などと言っていたが__バカを言え。『何も起こらない』事を『続ける』事が我々の任務だろうが。その為にはいくら注意を払っても足りないことはないだろう?」
「『ユー』__九重優」
「彼には『この世界の真実』を__そして『彼自身の秘密』を知られぬまま……この代永という嘘の世界の中で、平和に人生を過ごしてもらう必要があるのだからな__」