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今日から学校と仕事、始まります。①莞

スポドリ!

作者: 孤独

暑さとは困りもの。

生き物も、地形も、天候も、気が狂っていく。


それでも、青春な汗は変わらないものだ。そうであり続けるのが、平穏な1ページ。


土手沿いの木陰で待つ女性はいた。

夏仕様のセーラー服に、透き通った冷たいスポーツドリンクを両手で握りしめ、人ではなく、男を待っていると言っていいくらいの雰囲気だ。


「広嶋様も暑い事でしょうね。でも」


この時期は広嶋様の好きな野球の季節ですわ。

オフの日でも、ランニングをしている事。投げ込みをしている事。素振りをしている事。ちょっとやり過ぎて、未来の野球選手達をイジメている事も。この裏切京子うらぎりきょうこは知っているのですわ。


トレーニングの後で、この冷たい冷たいスポーツドリンクを差し出し、好感度をアップさせますわ。


「もし、お口に付けていただいたら、残りは私が、でへへへ」


そこまで進んでいく妄想。アイドルの握手会で、2度と手を洗わないといった男のそれと似ている。トイレとお風呂でしっかりと洗えよ。


「!来ましたわ」


そして、お待ちかね。裏切のお目当て、広嶋が走ってくるところを発見。野球ユニじゃなく、そこらへんの野球好きの一般人みたいな恰好だけれど、野球の荷物を抱えていた。

野球をやってきたところのようだ。

裏切も照り付ける陽の中に飛び込んだ。


「広嶋様ー」

「!裏切か」


せっかく飛び出したのに、止まってくれやしない。負けじとこちらも走ってしまう。

ちょっとイメージと違っていたけれど、


「スポーツドリンクです!」


スポーツ系女子マネージャー特有の、雰囲気あるスポーツドリンク渡しではなく、正月のフルマラソンで水を差し出す人っぽくなっていた。

しかし、それでも良いかなと。この暑さに潤いを、お口にお運びくださいと裏切は願った。



「悪いな」


しかし、広嶋は普通に


ビシャーーーーッ


体にスポーツドリンクをぶっかけた……。


「とはいえ、今度は大きめの水で持ってこい。足らん」

「いや、広嶋様!今のは飲む場面でしょ!?」

「まぁ、それもあるがな(さっき飲んだばっかりって言えば、裏切に悪いしなぁ)。全身冷やすならぶっかける方が良くてな」


こ、この方のこーいうところが、意地悪過ぎですわねぇ。

ワザとですか!?ワザとですか!?

走りながら感情豊かに、踏み弄られた裏切に気付き。無意識であったが、弄っていたことに不意の満足が。最後のロードワークをちょっと長めに、そして速く。それでも裏切がついてくる忠誠心。


「裏切」

「な、なんですの!?」


自分と同じくらい汗かいたから。


「お前も帰る前に汗くらいは洗い流せ。シャワーでも浴びようぜ。替えのシャツなら俺のだが貸してやる」

「!そ、そ、それは!ホテルでご一緒にと……」

「なら、残りの金はお前が払うか?」



こー言うと、裏切は払いそうなんだがね。

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