5/114
――Grimm Arm Märchen ―Ⅱ――
外へ逃げてしまった風は何だったのでしょうか? 男の子も後を追って外へ出てみました。
外へ出てみるとそこは、男の子の知っているみんな仲良しな村は何処にもありませんでした。
村の人たちはまるで人が変わったかのように暴れまわっています。
いつも優しく遊んでくれるお隣のお兄さんは草刈りの鎌でお巡りさんを切り付けています。
お勉強を見てくれるお向かいのおばさんは、貧しいお家の物を平然と盗んでいきます。
道端には黒い斑模様の顔をしたおじいさんが苦しそうに地面をもがき、 赤ちゃんを抱いたお母さんは赤ちゃんを井戸に落として”ぽちゃん”っという音と共に大笑いしました。
「大変だ!」
男の子はとんでもない事をしてしまったと、この時ようやく気づきました。
<つづく>