――Grimm Arm Märchen ―Ⅲ――
怖くなった男の子はお屋敷の中に戻って、部屋の隅でガタガタと震えておりました。
あまりの怯えっぷりに男の子のお母さんは心配になりましたが、お母さんは外の様子を知りません。
騒ぎが収まると、お母さんは男の子の手を引いて一緒に外へと出ていきました。
外に出てみると、村の中はとんでもないことになっておりました。
息をしていない人がそのまま地面に転がっています。
みんなのお家も滅茶苦茶に壊されていて、まるで嵐が去った後のようです。
お母さんと男の子は泣きながら村の中を見て回りましたが、無事な人を一人も見つけることはできませんでした。
「村中を見ることができる丘に登って無事な人を探そうよ」
男の子がそう提案すると、二人は急いで村一高い丘へと登りに行きました。
するとそこには無事な人どころか、とんでもない人がおりました。死神です。
なぜ男の子が死神だと分かったのか。
それは、その死神が教会のステンドグラスに描かれていた骸骨の死神とそっくりそのままだったからです。
ボロボロの布を身にまとった背の高い死神は、両手で赤ん坊を大切そうに抱えておりました。
男の子とお母さんはその赤ん坊に見覚えがあります。
その子はお母さんのお姉さんの赤ん坊でした。
二人は死神から赤ん坊を取り返そうとしましたが、その前に死神は男の子に向かって丁寧にお辞儀をしました。
<つづく>