表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
グリムアルム  作者: 赤井家鴨
序幕
1/114

プロローグ ――Grimm Arm Märchen――






 昔々、とある大きな山のふもとに小さな村がありました。

その村には立派なお屋敷がありまして、そこには元気な男の子が住んでおりました。

この男の子は「やってはいけないよ」と注意された事を平気でやってしまう悪い子なのですが、この日も「入っちゃいけないよ」と注意されていた地下室に内緒で冒険しに行きました。


 地下へと続く螺旋階段を男の子はそろり、そろりと音を立てないように下りてゆきます。

無事にたどり着いた地下室はとても小さな書斎室でした。

沢山の本に囲まれた部屋の中、男の子はとある一冊の本を見つけます。

古い木の机に置かれた真っ赤な本。

その本に導かれるように男の子はゆっくりと表紙を開けました。すると……、



 『Danke!(ありがとう)



 感謝の声が、男の子の耳に響いてきます。

その途端、部屋の中に大きなつむじ風が吹き荒れました。

辺りに散らばる本やメモ用紙が宙を舞い、部屋の中を駆け回ります。

 どうもこのつむじ風は赤い本の中から出てきているようで、驚いた男の子は尻もちをつきながら赤い本を放り投げてしまいました。

しかし本の中からあふれ出る風は止むことも無く、より一層強くなってゆきます。


 風の中には黒い馬や騎士の格好をした男、ドレスを着た美しい女性に腰の曲がった醜い老婆。他にも沢山の人や動物たちの影が渦巻いて、歓喜の声をあげていました。


 割れんばかりの笑い声が部屋中に響き渡り、男の子は耳を塞いで小さく縮こまっていたのですが、つむじ風が地下室の窓から抜け出すと影も一緒に逃げ出してしまいました。






<つづく>




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ