初めての魔物退治
短いです。
明るい翠色の髪をした人はユージス・シンウスさん。
全身に程よく筋肉がついている、凄腕の剣士さん、らしい。
赤銅色の短髪の人はヨゼット・ファテオさん。
マッチョな斧使いの戦士さんだけど、体術も得意らしい。
黒にも見える深い紺色の髪をした人はシャルフ・ マカリゼフさん。
光魔法と風魔法を使う一流の魔法使いさん、らしい。
以上三人が私とパーティーを組んでくれた人達だ。
あの後酒場で、あまり頻繁には外出できない事など、全部ではないにしろ私の事情をかいつまんで話すと、彼らは『事情は誰にでもある』と何も聞かずすんなり受け入れてくれた。
そして、『あまり外出できないなら、できた日は貴重だろ。時間を無駄にせず、依頼こなすか!』と言いながらユージスさんが立ち上がると、他の二人も頷いて立ち、掲示板を見に行ってひとつの依頼を受けた。
それは、魔物退治の依頼だった。
☆ ★ ☆ ★ ☆
ドオオンッという音と共に、今回の退治のターゲットである、軽く二メートルはあるだろう象に似た魔物が横向きに倒れる。
その近くには、巨大でカラフルな鳥のような魔物が細切れになり倒れていて、更にその隣にはライオンに似た魔物が倒れていた。
「……ええと……」
ついさっきまで目の前で起こっていた事に呆然としながら、私は複雑な気持ちでそれだけを発した。
三人は、彼ら自身が言っていた通り、かなり強かった。
『俺達かなり強いからさ』というユージスさんのあの言葉は自惚れでも誇張でもなかったらしい。
ライオンに似た魔物は、ユージスさんが。
象に似た魔物は、ヨゼットさんが。
巨大な鳥のような魔物は、シャルフさんが、それぞれ一人で倒してしまったのだ。
私はと言えば、最初に、シャルフさんから教わったばかりの光魔法のシールドを三人にかけただけだった。
つまり、何の役にも立っていない。
魔物が倒れているその近くで、笑顔でハイタッチしている三人の元へは、とてもではないが行けそうにない。
……い、急いでもっと魔法、色々使えるようにならなくちゃ。
でないと、せっかくパーティーを組んでくれた三人に申し訳がたたない。
「シャ、シャルフさん! 光魔法をもっと色々教えて下さい! 次回までに使えるようにしてきますからっ!」
「お、やる気だねツキハちゃん! 頑張れ!」
「いい事だ。だが、無理はするなよ?」
「実際に使ってこそ上達するからな。わかった。だが、張りきりすぎて魔力を枯渇させないようにな。倒れるぞ?」
「は、はい! 気をつけます!」
そうして、私は帰り道ずっと、シャルフさんに魔法を教えて貰いながら歩いたのだった。
明日からはこれらの魔法を要練習だ!
水魔法を教えてくれる人も、早く見つけなくっちゃね!