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レヴィ、見つかる

「な、何で……どうして!? どうしてセレヴィンさんがレヴィなの!? だって、だってレヴィは、私より年下だったよ!?」

「そうだな。あの時は俺のほうが下だった。……これは多分、世界の時間軸の違いでこうなったんだろう。この世界は、ツキハの世界より時間の流れが早いんだろうな」

「な、なるほど……。け、けど、セレヴィンさん! 私があの時のツキハだって気づいてたなら、何で言ってくれなかったの!?」

「ああ……。さっきも言ったが、俺はツキハが好きだ。けど、ツキハはレヴィを弟のように思っていた……いや、きっと今もそんなふうに思っているだろう? ……俺がレヴィだと早々に告げて、"弟"が"兄"に変わるだけになるのが嫌だったんだ。ちゃんと"俺"を見て接する時間を持ちたかった」

「え……じゃ、じゃあ、何で今、言ってくれたの?」

「ふ。……ツキハ。今、俺をただ、弟や兄のように思えるか?」

「え」


 ……セレヴィンさんを、弟や兄のように?

 ……………………。


「お、思わない……。だってセレヴィンさんは、今、私の冒険者としての頼れる相棒で、魔法の先生で……弟とか兄っていうのとは、ちょっと……違うし……」


 戸惑いながらもそう言うと、それを聞いた途端、セレヴィンさんはそれはそれは嬉しそうな顔をして微笑んだ。


「だろうな。……だから、告げた。ツキハ。今はそれだけでいい。だが俺は、今後はそこから更に違った、親しい関係になれるよう努力するからな。覚悟してくれよ? 昔からずっと、ツキハともう一度会って、ツキハの側で生きる事が俺の望みなんだ……逃がさないぞ?」

「え……っ!!」


 変わらず嬉しそうに、けれどどこかにやりとした不敵なものを加えた笑みを浮かべてそう言い放つセレヴィンさんを、私は困惑しながら見つめる。

 その顔は、何故か熱く熱を持っていた。


「さて……それで、だ。受けた依頼は、ファイティングラビットの討伐だろう? 倒せてるが、これで達成なのか?」

「あっ、ううん! 依頼は六匹討伐なの! だから、もうちょっと探さなきゃ!」

「わかった。じゃあ行こう」


 そう言って差し出された手を握って、あ、と思う。

 こ、これもセレヴィンさんの攻めの一手なんじゃ……。

 い、いや、でも、手を繋ぐのはもういつもの事だし、今更…………う、う~ん…………。


「ああ、ツキハ。これからは俺の事、レヴィって呼んでもいいからな?」

「え」


 セ、セレヴィンさんを、レヴィ呼び?


「え、えっと……じゃあ、レヴィさん、で……」


 呼び捨ては、無理。

 ていうか……どうしよう、レヴィ、見つかっちゃった。

 そう遠くない日にはレヴィを探して旅生活を送る予定だったのに……私、これからどうしよう?

 改めて、この世界での生活方法、考えなくちゃ……。

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