哭。酷。刻。と、叹く咏
『思い出したんだ、ずっと、苦しかった事。
忘れてたんだ、ずっと、悲しかった事。
逃げてたんだ、ずっと、怖かった事。
閉ざしてたんだ、ずっと、見たくなかった事。
塞いでたんだ、ずっと、聞こえてたのに。
隠してたんだ、ずっと、感じていたのに。
壊したんだ、ずっと、ここにあったのに。
無くしたんだ、ずっと、側にあったのに。
奪ったんだ、もう、湛えられなくなったから。
棄てたんだ、もう、要らなくなったから。
遺したんだ、もう、この手は何も持てなくなったから。
殺したんだ、もう、居れなくなったから。
脅されたんだ、そう、生きちゃいけないんだ。
縛られたんだ、そう、動けないんだ。
哭かされたんだ、そう、声も出せないんだ。
死なされるんだ、うん、きっと、自分自身に』
「そりゃあ、気の毒だったかもなぁ」
〜fin〜