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*エピローグ

「で、いつデートする」

「なんの話だ」

 ひと仕事を終えてスペインのオープンカフェにいるベリルは目の前の泉に眉を寄せた。

 スペイン国、またはスペイン王国──ヨーロッパ南西部のイベリア半島に位置する立憲君主制国家である。首都はマドリード。

 マドリードはマドリード州の州都でもある。歴史ある町並みを崩す事無く新旧の建築物が上手く共存している美しい街だ。

 大きな仕事のあとは数日ほど休暇を取る事を知っている泉はちゃっかりついてきていた。

 エスプレッソを傾けるベリルを見つめて同じくカフェオレを口に含む。こうしている間もベリルをどう攻略しようかと思案していた。

 これほどまでに強固な牙城は崩し甲斐があるというものだ。強固であればある程、燃えてくる。

 しかし、相手は永久に二十五歳のままであり、年齢的にも体力的にも泉には若干の焦りがある。

「体の相性はいいと思──」

 ギロリと睨まれて言葉を切る。

 だからといってそう簡単に落とせるはずもなく、結局は何も出来ずに帰国した。



 マンションに戻ってさっそく、雅史少年と姉の麻美が尋ねてくる。

「あ?」

「弟からあなたに助けて貰ったと聞いて、その……」

 もじもじと話す女に泉は軽く苛つき口の中で舌打ちする。なんだってこいつを連れてきたんだと少年を睨みつけた。

 他の奴はもとより、家族にも自分のことは話すなと口止めしておいたはずだ。どうしてもとしつこくせがまれて白状してしまったそうだがそんなことは知ったこっちゃない。

「よ、良ければお礼に食事でも──」

「女に興味はない」

 再び返された言葉に二人は呆然とした。やっぱりこの人はアレなのか? アレなんだろうかと心中で何度も反芻する。

「てめえにもだ」

 やや怖がる少年にもぴしゃりと言ってのけた。

「俺にも好みはある」

 こりゃだめだと雅史は生温い笑みを浮かべ、未だ諦めのつかない顔をしている姉を一瞥する。

「姉ちゃん帰ろう」

「でもっ」

「帰らねえと追い出すぞ」

 いい加減に怒られそうなのでしょんぼりしている姉を連れて外に出る。弟としては今までの相手に比べればまともそうな泉は大歓迎だったのだが、女性に興味がない人間であると知って残念に思った。

 それと同時に、自分にも興味がないとか言われてなんとなく悔しくなった。いや、興味があると言われても困るだけだけど負けた感がしてどうにも切ない。

 何に負けたか解らないけどとにかく悔しい。雅史は閉じられたドアを見つめ、大きく息を吸い込んだ。

「くそホモバーカ!」

「てめえられたいか!」

 すかさず扉を開いて脱兎のごとく逃げていく背中に怒鳴った。

「くそガキめ」

 ここは最上階ペントハウス)、追いかければ充分に追いつく。しかし捕まえた所で馬鹿馬鹿しいだけだ。

 泉は勢いよく扉を閉めてウイスキーを求めキッチンに向かった。



 END


*最後までお付き合いいただきありがとうございます。

 少しでもたのしんでいただけたら幸いです。


 2014/05/27 河野 る宇

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