薄氷に浮かぶ船と港
また森を下り、そして北風と共に潮の匂いに手繰るように私は辿り着いた。
森の出口の突風と共に潮の匂いに気付いて目を開くと、大きな港町に辿り着いた。
木と煉瓦で出来た素朴な町並みを照らす灯りに私は無償に涙が出てきた、そして船がある。もしかしたら私の目指す日本に帰れるかもしれない。
早速港で日本に行く船を聞くと、今日は沖合いの風が強いせいで船は出せない様だった。少しがっかりして今日の宿に行けば、もう日も暮れてすっかり酒場は賑わっているようだった。
此処は港であるせいか、沢山の人種が集まっている。褐色の肌に茶色い瞳の人に金髪碧眼の人、私のように黒髪に白い肌は少ないようだ…
舞台は楽士が演奏をし、歌姫が歌うかと思ったら異国の人が故郷の歌を歌ったり、とても自由な催しだった、様々な国の人が居るがゆえに出来る事の様だった。
そして暖かい酒入りミルクで暖まってるときに、褐色の肌をした派手な女が「ちょっと其処の黒髪ちゃんも歌ってみなさいよ♪」と腕を引っ張り、何時しか私も歌わなければならなくなった…
こうならば仕方ない、好きな歌を歌うしか無さそうだ…私は物語を歌にした叙事的な歌を歌うと何時しかピアノとギターが流れ、歌い終わると拍手が喝采した。
私は人に拍手されたのは初めてで嬉しさと恥ずかしさのあまり、帽子を目深に被ってしまった。すると褐色の肌の女が「なかなか良かったわよ?やるじゃない」と頬にキスをして去っていった。
明日の天気が良いことを願おう…私は日記を閉じた