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贈り物

 定番はやはり、ジュリアン殿下の色のドレスですよね。

 こういうこともあろうかと、ジュリアン殿下の色のドレスは祖国から持参しています。


 深い青に、金の刺繍が施されたドレス。


 そしてアクセサリーは、もちろん琥珀のイヤリングです。

 実際に鏡の前であててみました。

 悪くはないと思うのですが。

 なんというか、想像の域を出ないですね。


「ミミリはどう思う?」

「そうですね……、とってもお似合いですが、ジュリアン殿下の色ばかりなのがムカつきます」

 鏡越しでもわかる、じっとりと恨めしげな目つきに思わず笑ってしまいました。


 ……でも、そうですね。

 ミミリの言うことには一理あると思います。


 私のお披露目会なのに、ジュリアン殿下の色ばかり纏うのは、違うかもしれませんね。


「そうだわ!」

 私は、幾つかある宝石の中から、緑琥珀を手に取りました。私の祖国では琥珀がよくとれるので、持参した宝石の中には、琥珀がたくさんあります。


 通常の琥珀とは違い、その名の通り、緑琥珀は緑色をしています。

 ただの琥珀ではなく、緑琥珀を選んだのは、私の目が緑だからです。



 緑の宝石というと、エメラルドやペリドットなどが思い浮かびますがーー。

 私にとっては緑琥珀も含まれますね。


 私の祖国のアピールもでき、私の色も主張するこの組み合わせはなかなかいいのではないでしょうか。


 内心で自画自賛しつつ、もう一つ案が浮かびます。

 これには、ミミリとあと1人の協力が不可欠ですが。

「ねぇ、ミミリーー」


◇◇◇


 さて。

 夜会が行われる当日になりました。


 着替え終わり、ジュリアン殿下が迎えに来てくださるまでの待ち時間の間に、交換日記を開きます。


 私は、その日あった出来事や感じたことを数行、そしてジュリアン殿下への質問で締めましたが。


 ジュリアン殿下が担当した日はというと。


 ぎっしり、みっちり、詳細にその日の出来事が書かれていました。

 ……なんとなく、意外でした。

 アスノ殿下とのものならともかく、相手は私です。

 ジュリアン殿下は、好きなものを一つだけ書いて終わらせるタイプかと思っていましたから。


 認識を改めなければなりませんね。


 最後には好きなものをひとつ書かれていて、今までに私が知ったジュリアン殿下の好きなものは、リンゴとにんじんだそうです。


 リンゴはともかく、にんじんが特別好き、という人に今まであまり出会ったことがなかったので、もっと詳しく話をお聞きしたいところですね。


「リーネ殿下」

 ミミリに呼ばれて、交換日記から顔を上げます。


 ジュリアン殿下がいらっしゃったのでしょう。


「ええ、今行きますと伝えて」

 すぐに立ち上がり、最後に鏡を見て確認します。


 青いドレスに緑琥珀。

 決めていた組み合わせですね。

 銀の髪も結い上げられて、美しく……見えるといいなと思います。


 おかしなところはなさそうですね。


 ほっとしつつ、すぐに自室を出ます。


「お待たせいたしました、ジュリアン殿下」

「!! ……いや、そんなに待ってない」

 

 ジュリアン殿下は、私を見ると、ふいと横を向いてしまいました。

「ジュリアン殿下、とっても素敵ですね」

 なでつけられた青の髪も、正装もとってもよくお似合いです。


「……それに」

 そう、それに。

 ジュリアン殿下に微笑みます。


「私からの贈り物身につけてくださって、嬉しいです」

 

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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