表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/18

当たり

「かしこまりました」

 ミミリは一瞬、心配そうな顔をしましたが、すぐに表情を戻し頷きました。


 ……さて。

 王太子妃殿下は、どんな方なのでしょうか。

 数日後には私が正式にお披露目される夜会が予定されているのに、わざわざ会いに来られるなんて。


 いい方に考えれば、私と仲良くしてくださるつもりがある、ということですね。

 悪い方に考えれば、ジュリアン殿下の妻たる私に何か言いたい事があるということ。


 どちらにせよ、楽しい1日の始まりになることには、違いありません。


 私はうっとりと微笑みながら、王太子妃殿下の来訪を待ちます。


「リーネ殿下、王太子妃殿下がお見えです」

 控えめにミミリがノックしてくれたので、立ち上がり、お迎えします。


「お初にお目にかかります、王太子妃殿下。マロト国より参りました、リーネと申します」

 一礼して、王太子妃殿下を見つめます。


 王太子妃殿下はというと……。


「初めてご挨拶いたします、リーネ殿下。アスノと申します。私のことは、どうかアスノとお呼びください。同じこの国を支えるものとしてとして、よろしくお願いいたしますね」


 ゆったりと微笑まれたのは、さすがは王太子妃殿下の貫禄といったところでしょうか。

 しかしこれだけだと、ジュリアン殿下が本当に懸想している相手が、アスノ殿下なのかわかりませんね。


「アスノ殿下、こちらこそよろしくお願いいたします」

 ひとまず、アスノ殿下をソファまでご案内しました。


 ミミリが紅茶を淹れてくれる間、アスノ殿下をこっそり観察いたします。


 愛らしい桃色の瞳に、柔らかそうな金の髪。

 美しいというよりは、可愛らしいという形容が似合うお顔立ちですね。


 ミミリが、紅茶をそれぞれに給仕してくれました。


「……リーネ殿下」


 アスノ殿下が口を開きます。

「突然ですが、私がここに来たのは、 他でもないーージュリアンのことです」

 あらまぁ。

 躊躇いもなく、呼び捨てにされた私の旦那様の名前に思わず、笑ってしまいそうになります。


 けれど、それを表に出すのはあまりに愚策なので、驚いた顔をして頷きます。



「ジュリアン殿下が、なにか?」


 私が尋ねるとアスノ殿下は、ぎゅっと、手を握り締めました。

 その姿は小動物のようで、庇護欲を誘いますが……。


「ジュリアンは、昔から女性に対する扱いが雑で……どうか、誤解しないであげてほしいのです」


 ……なーるほど。

 これは、もしかしなくても、ジュリアン殿下のお相手は、アスノ殿下で当たりですね。

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ