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あなたのせい

 アスノ殿下ご本人ではなく、侍女……ですか。

「通して頂戴」

「かしこまりました」


 さて。

 昨夜の夜会がらみの件でしょうか。それとも――。


「リーネ殿下、お連れしました」

「ありがとう」


 ミミリに連れられて、アスノ殿下の侍女がやってきました。

 侍女は、私に手紙を差し出しました。

「こちらをアスノ殿下から、リーネ殿下に直接お渡しするようにと言付かっております」


 手紙を受け取ります。

 わざわざ、「直接」と言われるのは重要な内容でも書かれているのでしょうか。


 まぁ、この手紙を今ここで開けろとは言われてないので、ひとまず、開けるのは後回しにするとします。


「……それで?」

「?」

「なにか言いたいことでもあるのでしょう?」


 そう。

 手紙を渡せば、仕事は終わりなはずです。

 それなのに、侍女はなにか言いたげに私を見つめていました。


「――っ」

 侍女は首を振ると、もう一度私を見つめました。


「私は、アスノ殿下の侍女です」

「そうね。知っているわ」


 侍女はぎゅっと両手を握りしめながら、続けました。


「アスノ殿下を敬愛しています」

「そう。いいことね」


 そんなことを話したいわけではないのでしょう。私は回りくどいことは嫌いです。

 もちろん、貴族社会では時にそういう腹芸も必要だと知ってはいるのですが。


 ……私の返答がお気に召さなかったようで、侍女に睨みつけられました。


「だから――、リーネ殿下にお願いがございます」

「願い?」


 その睨みは、果たしてお願いをする人の態度かはさておき、願いというのは気になります。


「はい。……アスノ殿下から、ジュリアン殿下をとらないで欲しいのです」

「!」

 ミミリが一歩前に出ました。

 私はそれを手で制し、侍女に続きを促しました。


「アスノ殿下にとって、ジュリアン殿下は大切な義弟君です」


 ……義弟。

 昨日のアスノ殿下もそれを強調していましたね。


「せっかく、アスノ殿下の体調も良くなっていたのに……あなたが現れたこの数日間で、また体調を崩されました」


 ジュリアン殿下と体調と私の繋がりがさっぱり見えませんが。


「つまり、私がジュリアン殿下と結婚したせいで、アスノ殿下の体調が悪いと?」


 昨日は確かに顔色が悪そうでしたが、挨拶に来た時はそうは感じませんでした。


「そうです! あなたのせいです」

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

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