表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/18

一番の視線

「……別に。クロードに言われただけだ」

 クロードとは、ジュリアン殿下の侍従です。

 私がジュリアン殿下に贈ったのは、緑琥珀のカフリンクス。

 私の手持ちの宝石をミミリに頼んで加工してもらいました。さすがは万能侍女ですね。


「それでも嬉しいです。初めてのお揃いですもの」


 実は少しだけ憧れがあったのですよね。

 お揃いのものをパートナーと身につけるの。


 だから、本当に嬉しいです。


「!」

 ジュリアン殿下は私を見ると、なぜか驚いた顔をしてーー、それからまた横を向きました。

 でも、その耳はかすかに赤くみえます。

「ジュリアン殿下?」

 意外と照れ屋さんなのでしょうか。

「……いや。いくぞ」

 そう言って腕を差し出されます。

 そっと差し出された腕に手を添えながら、私は深呼吸しました。


 ここから先は、戦場です。

 気合を入れなければ。


「なんだ、緊張しているのか」

 ジュリアン殿下は意外そうですが、それはそうです。

「はい。私が初めてこの国で出席する夜会ですから」

 舐められると後に響きます。

 やられたらやり返しますが、やられないにこしたことはありません。


「意外と可愛いところもあるんだな」

 ……淑女に意外と可愛いとはどういうことでしょうか。

 むっ、とした私は言い返そうとしてーー。

「安心しろ。私がそばにいる」

 自信高々にジュリアン殿下は微笑みました。

「……まぁ、君のことは愛さないが」


 そのいちいち付け加えられる愛さないは、鳴き声かなにかですか?


 尋ねたい気持ちをぐっと抑えて、微笑み返しました。

「それはありがとうございます」


 心の中で、ジュリアン殿下をいつか絶対泣かすと心に誓いながら。



◇◇◇


 さぁ、王家主催の夜会がはじまりました。

 国王夫妻から、名前を呼ばれ、2人で大広間の中央へ行きます。


 簡単な自己紹介タイムですね。


「先日、私はマロト国より妻を迎えました。今後は、こちらの彼女……リーネと共に国王陛下をお支えいたします」

「ジュリアン殿下よりご紹介いただきました、リーネと申します」

 皆さんの視線が、私たちにざくざくと突き刺さります。その中には好意的ものもあれば、そうではないものあります。


 好意的ではない一番の視線を辿ると、なんとその先にいたのは、王太子殿下でした。


 てっきり場所的にアスノ殿下かと思っていましたが。

 ……なかなか面白いことになっていそうですね。


 軽い自己紹介タイムの後は、ファーストダンスをジュリアン殿下と踊ればあとは、挨拶に来る貴族たちとお腹の探り合いをすれば終了です。


 ジュリアン殿下に差し出された手を取ると、楽団による音楽が流れ始めます。

 さぁ、アスノ殿下曰く、『雑』なジュリアン殿下のエスコートの始まりです。

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます!

もしよろしければ、ブックマークや☆評価をいただけますと、今後の励みになります!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ