第0幕「プロローグ2」
「お悩み相談部…ですか?」
「そうですよ!お悩み相談部!例えば目安箱を設置して悩み募集したり!それを田中君と先生がズバッと解決!対面が無理なのであれば目安箱に入れる際にメールアドレスを書いてもらって改善案を返信するとか!」
「いや、誰が僕宛にお悩み相談する人がいるんですか。今のとこの僕の評価どん底ですよ??」
「そうは言いますけどね田中君。案外皆さん悩みを抱えているものなのですよ。悩みの大きさは人それぞれ違うでしょうけど誰か知らない人に相談をして楽になりたい方だっていると思います。それに、それを通してもしかすると友人関係だって築けるかもしれません。やってみるだけやってみませんか?きっと誰かの役に立てると思いますよ。」
そう説明する松井先生の目は真剣そのもので、そうなると流石の僕でも断りずらい。
「う…はい。わかりました。そこまで言うならやってみます」
「本当ですか!!それではさっそく放課後になったら書類を提出して今後どうするかまた話しましょう!放課後になったら相談室に来てください!!」
珍しく目をキラキラさせている先生、その表情を見て「実は先生がやりたいだけなんじゃ…」という言葉をぐっと胸に抑え相談室を退室した。
そこからは割とトントン拍子で進み、書類を書いたのち松井先生の印鑑、学人主任と校長先生の印鑑もサクサク貰い、無事お悩み相談部なるものが設立された。
学年主任と校長先生からは「おもしろいね!頑張って!」と快く了承され、まあ考えたの先生なんだけど…と思いながらも気づけばポスター作製やら目安箱の設置だのやっているうちにあっという間に一週間が過ぎた。
今まで放課後、直帰していた僕だが相談室へ通うというルーティンが出来、今日も相談室で松井先生と二人。
中学校の時も、文芸部の幽霊部員だった僕はなんだかんだこの毎日の放課後やることが出来たのは内心少し嬉しく、そして楽しかった。しかし…
「んー今日も目安箱に紙はないですね。まあ仕方無いですけど…設置の許可貰って分かりやすい場所二か所、そして少し人気のない廊下に一か設置しましたけど…」
「まあこんなもんですよ。中々見知らぬ人、なんなら僕に相談って難しいですから」
「あーでも少し話題になってましたよ田中君。お悩み相談部?しかもあの田中??もしかして相談したら弱み握られてあんなことやこんなことされるんじゃね?って」
「いや!!悪い方向に噂広がってません!?なんでこんなことに…余計に誤解されてしまう」
まあ、別に僕自身もこの活動を悪いとは思わないし楽しくはあるけど悪いうわさが流れてしまうと正直傷つく。とほほ…
「まあ…何か一人でも来ればまた変わるんでしょうけどね…昼休みに放送でも…」
そう松井先生が言いかけた時、相談室の扉が開いた。
「すみません、お悩み相談部ってここですか??」
扉を開けて入ってきたのは、黒髪ロングの美少女。僕でも知っているプチ有名人の天童さんだった。
松井先生はここぞとばかりに嬉しそうな表情をし…
「ようこそお悩み相談部へ。あなたの悩み解決します」
どうやら相談部に初依頼が来たようだ。