親と子 ①
突如建物を破壊しながらこちらに向かってきた男がスーツの男たちと只野を分断するかの様に割り込んでくる。
「いよぉ! 兄弟! 兄弟とは滅多に会えないからつい見つけたら近寄っちまうぜ!」
「きょ、兄弟……?」
「ぁあ!? なんだ、目覚めたばっかりか? 随分と寝坊助じゃねぇか!」
兄弟と名乗る男に困惑していると男は何かに気づいたかの様にマジマジとこちらの顔を見始めた。
「お前、002か!? 有名人じゃねぇか!?」
「そ、その002ってなんなんだ?」
「ぁあ〜? お前そんなこともしらねぇのかよ? まぁ一桁の先輩のためだ。 親切してやるよ」
そう言いながら男はスーツの男たちの元へ向かい、スマホを奪い取ってこちらに向かってくる。
スマホを軽く操作すると画面をこちらに見せつけてくる。
画面には要注意人物、危険、改造人間、指名手配、碌でもない言葉の羅列と共に自分の写真が写っていた。
「は? なんなんだよこれ……」
「えー、あんた只野ってーの? アンタは化け物になっちまってんの! それで国から直々に駆除してやるってさ!」
目の前の男はケタケタと笑いながらそう言い放つ。
「まぁ、安心しろよ。 俺も同じだからよ! 手始めに美味いもんでも……」
「う、動くんじゃない!」
目の前の兄弟と呼んでくる男の声を遮り、スーツ姿の男がこちらに銃口を向けてくる。
「撃たれたくなければ大人しくしろ! 抵抗は無駄だぞ!」
「あぁあ? てめぇ、誰に指図してんだよ?」
先程までの軽い様子だった兄弟と呼んでくる男の空気ご変わる。
「なぁ? 答えろよ? 雑魚が誰に指図してんのか答えてみろよ!」
そう言うと兄弟と名乗る男はスーツ姿の男たちに向かって肉薄する。
その瞬発力は人間のそれでは無い。
その動作を見て先ほどの建物を破壊する彼の姿がフラッシュバックした。
彼が拳を振るえば人間はひとたまりもないだろう。
それはスーツを着た彼らは勿論、そのすぐ後ろにいる自分の両親も。
考えるよりも、認識するよりも速く、五感を置き去りにして身体は動き出す。
脳からは脳内物質が溢れ出し、身体あっという間に何かで満たした。
気付けば兄弟と名乗る男より遅く踏み出したはずなのに、男の前に躍り出て拳を受け止めていた。
拳を受け止めた右手に今まで感じたことのない衝撃が走る。
その威力に対抗する様にこちらも踏ん張ると、自分の足元のコンクリートの地面が割れてしまった。
気がつくと自分は先程と違い狼狽えてなど一切しておらず、頭の中は驚くほどスッキリしていた。