流れ星のおともだち
ある森の奥にあるお屋敷にコリスちゃんというとても可愛いらしい女の子がすんでいました。
コリスちゃんのおうちはお金持ちで、生まれた時からなに不自由なく暮らしていました。
コリスちゃんのお父さんは、コリスちゃんの欲しいものは、どんな高価なおもちゃでも綺麗なお洋服でもお菓子の家でもなんでも買い与えましたが…それでも、コリスちゃんにはひとつだけお父さんに買ってもらえないものがありました。
それは、おともだちです。
コリスちゃんの大きなお屋敷には、100人も召使いはいましたが、みんな大人でコリスちゃんと同じくらいの年のこどもはひとりもいませんでした。
コリスちゃんには専属の家庭教師がいるので、勉強はお屋敷でできたので学校にも通っていませんでした。
コリスちゃんは、ことあるごとにお父さんに「おともだちが欲しい!」をお願いしましたが、お父さんは「おともだち」だけは買い与えてくれませんでした。
とうとう、ある夜の遅くにコリスちゃんは、おともだちが欲しくて泣いてしましました。
「うぇえええーん…!コリスもおともだちが欲しいよぉ~!」
コリスちゃんは、涙でうるんだ大きな綺麗な青い瞳で夜空を見上げました。
真っ黒な夜空には、キラキラ輝くたくさんのお星さまと大きな丸いお月さまがひとつありました。
「空の上のお月さま、おねがいします。コリスにおともだちをください!コリスがどんなにおねがいしてもおとうさまは、おともだちを買ってくれません。おねがいします!」
コリスちゃんは、夜空のお月さまを見上げながら一生けんめいにお願いしました。
コリスちゃんがあんまりにもさみしそうで、かわいそうだったのでお月さまは、コリスちゃんのお願いを叶えてあげることにしました。
コリスちゃんの見上げる夜空にひとつの小さな流れ星が生まれました。
流れ星は、きらめきながらコリスちゃんのところに落ちてきました。
「きゃあ!たいへん!流れ星が落ちてきちゃった!」
落ちた流れ星のまばゆい光の中からコリスちゃんと同じ年くらいの男の子が姿をあらわしました。
「はじめましてコリスちゃん。ぼくは、お月さまからコリスちゃんのおともだちになるためにやってきたフルタです。」
「フルタくん!コリスのおともだちになってくれるの?」
「うん!ぼくもお月さまの中でずっとひとりぼっちだったから…。コリスちゃんとおともだちになりたい!」
「やったぁー♡!お月さまありがとう!」
コリスちゃんとフルタくんは、すぐになかよくなりました。
二人は大きなお屋敷の中でまいにち一緒にお勉強したり遊んだりしました。
お屋敷の中は、コリスちゃんとフルタくんの楽しい笑い声で溢れていました。
「あぁ~今日も楽しかったね♡フルちゃん!あしたは、なにして遊ぶ?」
コリスちゃんは、フルタくんのことを愛称で呼ぶくらい大好きになっていました。
「ごめん、コリスちゃん…。じつはぼく、今晩お月さまのところへ帰らなきゃいけないんだ…。」
フルタくんは悲しそうに言いました。
フルタくんもコリスちゃんのことが大好きになっていたので、お別れするのがつらいのです。
「な、なんですって!?イヤよ!コリスとフルちゃんはずぅ—―っと一緒にいるのっ!!フルちゃん、お月さまのところへ帰らないで!ずっとコリスと一緒にいて!おねがいっ!」
「ぼくもコリスちゃんとずっと一緒にいたいけど…。でも、ぼくはお月さまには逆らえないんだ…。ぼくはお月さまの召使いなんだ。はぁ…。あそこに帰ったら、またさんざんコキつかわれるんだ…。」
「――そうだ!いいこと思いついた!だったら、その邪魔なお月さまを消しちゃえばいいじゃない!!」
「えぇーっ!?あの大きなお月さまを消すなんて…!そんなことできるの?」
「できるわよ!安心してフルちゃん。コリスのおとうさまにお願いすればなんでもできるもの♡!」
コリスちゃんは、さっそくお父さんにお願いして、天高くまで届く巨大なすさまじい破壊力を持った大砲を手に入れました。
そして、その日の夜になると大砲の照準を夜空のお月さまに合わせました。
ドカンッ!!!と、大砲の一撃で夜空のお月さまは粉々になりました。
粉々になったお月さまの小さな粒は、甘いこんぺいとうになりキラキラと空から流れ星のように降り注ぎました。
「やったぁ♡!これで、フルちゃんとずぅ―――っと一緒にいられるね♡!」
「うん!ありがとうコリスちゃん♡!」
コリスちゃんとフルタくんは、粉々になったお月さまのこんぺいとうを集めてビンに詰めて売り始めました。
お月さまのこんぺいとうは、甘くてとってもおいしかったのでたくさん売れて、ひと財産築いたのでそれを元手に起業し、二人はお屋敷を出て郊外に新しくお家を建てて、二人だけで末永く幸せに暮らしました♡
☆おしまい☆
お読み下さりありがとうございます♡(*^▽^*)