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・砂漠に肥沃な耕作地を作ろう 1/2

 翌朝、日課通りにポーションを生産すると、引き渡しや都市長への報告をシェラハに任せることになった。


「姉さん……ユリウスに、行ってらっしゃいの、チューは……?」

「し、しないわよっそんなの……っ!」


「でも、昨日はあんなに……」

「そうやって姉をいじめるな……ほら行くぞ。また後でな」

「う、うん……。いってらっしゃい、ユリウス……」


 1人で候補地を探しに行くと言うと、メープルがくっついてくることになった。

 俺を護衛しようというわけではなく、ただなんとなくだそうだ。


 俺たちはまだ肌寒い時刻に家を出て、市長邸でラクダを借りると白い砂漠に出た。

 まずは彼方に見える氾濫川を目指す。新たな耕作地は、そこから水路を引いたどこかになるだろう。


「ユリウス……」

「なんだ」


「昨日の……昨日の姉さんと、ユリウス……超エロかった……」

「ぅっ……。またその話か……」


「だって……。普段あれだけ控えめな姉さんが、あんな……。エロ過ぎる……」

「そこは普通、嫉妬しないか……?」


「フ……それは、小者の発想……」

「お前は大物過ぎるわ……。痛っ、つねるなっ!」


 朝の砂漠は肌寒い。背中に張り付いたくっつき虫が、デリケートゾーンをつねってきたので肘を入れてやった。

 懲りている様子はまったくない。


「それよか仕事しろ、仕事。爺さんの夢を叶えてやれ」

「姉さんとは、いつエッチするの……?」


「んなっ……ひっ、ひひひっ、人の話聞けよっっ!?」

「フフフ……」


 氾濫川までまだ距離がある。それでも砂漠の中には、砂ではない土の大地が混じることがある。

 そこに水路を通してやれば、そこが新たなる耕作地となる。俺たちが探しているのはそういった開拓の余地のある土地だった。


「私がユリウスの立場だったら……姉さんを、メチャクチャにしてる……。あのばでぇは、たまらんですよ、へへへ……」

「おっさんか、お前は……」


 氾濫川の辺りには農村が広がっている。

 そこまで行ったらまず聞き込みをしよう。

 始末に負えない厄介な嫁にしがみつかれながら、俺たちはまだ冷たい砂漠を進んでいった。



 ・



「畑が広がるなら大歓迎だ! 情報はないがうちの茶を飲んでいってくれ。おーいお前っ、噂の大錬金術師様来たぞー!」

「何朝っぱらから寝ぼけたこと言ってんだい! 噂のユリウス様がこんなところに来るわけ――ヒッ、ヒャァァッッ?!」


 農村の連中はどいつもこいつも純朴というか、みんないいやつらだった。

 日に当たる仕事ゆえか、砂漠エルフの中でも特に肌が黒く、それにみんな明るかった。


「大げさだろ……」

「ユリウス、変わったね……。虚栄心の塊、だったのに……」


「いやそこまで酷くねーだろ。あ、どうも……」

「ごち……」


 奥さんがぬるいお茶を出してくれたので、それでのどを潤した。

 旦那さんはラクダのために水をくみに行ってくれている。


「ああ、そういう土地ならどこかにあったと思うよ。このまま川沿いに進んで行きなよ」

「本当か?」


「あたしらあまりこの辺りを離れないから、断言は出来ないけど、そういう土地は珍しくもないよ。ただ、どうやって砂漠の上に水を引くんだい……? 水路を作っても、砂に全部水を吸われちまうか、お日様にもっていかれちまうよ?」

「砂漠の下に管を通すんだ」


「へぇ……ヒューマンは凄いこと考えるもんだねぇ……」


 夫婦に感謝と別れを告げて、俺たちは氾濫川沿いの農村を離れた。

 そうして砂漠へと戻ると、川を遠巻きに見ながら砂の上を歩く。


 明確ではないが、そういった土地があるという目撃情報が得られたのはなかなか大きかった。


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