・祝福の日 2/2
「汝、ユリウス・カサエル。アナタハ、コノ、メープルト、シェラハゾヲ、生涯愛スルコトヲ、誓イマスカ?(・_・)」
「前回ノヨウナ、曖昧ナ答エハ、締マリガ悪イデス。ゴ遠慮下サイ(・へ・)」
あのね、私たち……もう1回結婚式をすることにした。
あの後、ユリウスが私たちにプロポーズしてくれたの……。嬉しかった……。
私たちが育った市長邸の、砂混じりの庭園で、私と姉さんがもう1度ドレスをまとうと、ユリウスが熱い眼差しを向けて来ていた。
ユリウスはむっつりスケベ。カッコ付けマンだけど目がエロい。
私には、ハッキリとわかる……。この人はとんでもないドスケベだ……。
「誓う。俺はメープルを愛している。シェラハを愛している。本当の家族になりたい」
「は、ハッキリ言い過ぎよ……っ。も、もうっ……」
「照れる……」
ユリウスがまた変わった。
ツワイク王国ではユリウスは虚栄心の塊だった。
でもシャンバラに来て、私たちと一緒に暮らしてゆくうちに変わった。
自分の出世と再起のことばかり考えていた男が、私たちのやさしい家族に変わった。
それからあの魔物の大襲撃事件が起きて、彼は気持ちを偽らなくなった。
ちょっと、まだ私も戸惑っている……。
「汝、メープル。アナタハ――(・_・)」
「誓う」
「ウウ……最後マデ、言ワセテ……(T_T)
「愛してる……。結婚したい……。姉さんと一緒に、くんずほぐれつして、それから……グフフ♪」
「ちょっとメープルッ、人前で変なこと言わないでよっ!?」
この前のはひっそりとした結婚式。
今回のはみんなが集まる賑やかな結婚式。私が冗談を言うと、みんなが笑ったり、青い顔をした。
「ブミャァァーッッ、羨ましいミャッ、羨ましいミャッ! 3番目のお嫁はアタイにしてミャッ、ユリウス様ーッッ!」
「おやおや、ユリウスさんはネコヒト族もいける口ですか」
「おっかしいなぁ……んな変態に育てたつもりはねーんだが……」
私、ユリウスのお師匠好き。
名前長いから忘れたけど、スラム育ちの私には荒っぽい方がなじむ。
あと、ユリウスはきっと、ネコヒトも性的に愛せる懐の広い男だと思う……。
「おい、なんか言えよ、バカ弟子!」
「師匠にバカと言われても全然悔しくないですね」
「んだとぉっ!? お師匠たまに泣きついてばかりだった頃のこと、バラしてやってもいいんだぞ、おらぁっ!」
「人の結婚式で、おらぁっ、とか言わないで下さいよ……」
「ユリウスユリウス、あのね……おらー……」
「お前は話をひっかき回すんじゃない……」
「あてっ……。えへへ……」
私がユリウスに額を小突かれると、姉さんと都市長が、会場のみんながやさしそうに笑った。
なんか、幸せ。こういう結婚式を待っていた……。
「アノ……イイデスカ……?(T_T)」
「ごめんなさいね、ニーアちゃん。続けましょ」
「ハイ……!(^_^)」
「汝、シェラハ・ゾーナカーナ・テネス。貴女ハ、夫ジョンヲ、永遠ニ愛スルト、誓イマスカ?(・_・)」
「ええ、誓うわ。世界で2番目に、あたしはユリウスを愛してるわ」
「アノ……ソコハ、1番デナイト、締マリガ……(TへT)」
「だって、家族として1番愛してるのはメープルだもの。ユリウスは2番目よ」
「姉さん……私、嬉しい……」
姉さんとヒシッて抱き合うと、会場がどよめいた。
百合疑惑キタコレ。面白いからそういうことにしておこうと思った。
「ダハハハハハッ、さすがうちのバカ弟子と結婚するだけあるぜ! 良かったなぁ、バカ弟子!」
「新郎を煽るな、バカ師匠」
「2人トモ、仲良ク、シテ下サイ……(T_T)」
「デハ、指輪ノ、交換ヲ……(・へ・;)」
あのときのように、白くて変なゴーレムから指輪を受け取った。
姉さんがユリウスの指に黒曜石の指輪をはめて、ユリウスが私にコランダムの指輪をはめて、私が姉さんの指にトパーズの指輪をはめた。
最も重い契約の象徴とユリウスは言うけど、そういう感じはしない。
これは私たちが家族になった証……。ずっと一緒にいるって誓った証拠だ……。
「デハ、最後ニ、誓イノ、キスヲ……(=へ=)」
「ムチューット、ヤッテ下サイ(=_=)」
「ウホッ、ヘタレんじゃねーぞ、バカ弟子!」
「結婚式というのは本当にいいものですねぇ……。ユリウスさん、どうぞ私たちに見せつけて下さい」
都市長も師匠も意地が悪い……。
ユリウスと姉さんが煽られて真っ赤になった。
「ちょいちょい、ユリウス……。むちゅー……♪」
「んっんぶぅっっ?!」
あ、舌入れたら逃げられた……。
初めてのベロチューは、サディスティックな欲望が燃え上がる味だった……。
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明日の更新は1回、明後日の更新で第一部完結となります。




