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・シャンバラ滅亡の危機を桁違いのマジックアイテムで覆す - 神罰の炎 - 2/2

「ユリウス……お帰りっ! 良かった……また会えて、良かった……。死んじゃうかと、心配した……」


 闇の迷宮の内部に潜り込むと、奮戦にボロボロになったシェラハゾと、消耗したメープルが揃って胸に飛び付いて来た。

 それは当たり前の感触なのに、感激するほど温かく、2人が生きている現実が何よりも嬉しかった。


 運命が俺たちに味方しなければ、二度とこの甘い匂いを嗅げなかった。

 無事な姿よりも匂いが心を安心させた。


「死ぬわけないだろ」

「ちょっとっ、あなた背中斬られてるじゃないっ!?」

「あ……ザックリいってる……。やっぱりまた、ムチャしたんだ……ドン引き……」


「なんであなたは突撃、突撃、突撃ばかりするのよ……。あたし、心配だったんだから……」

「よくない……。ユリウスの、そういうとこ、極めて、わろし……反省しる……」


 2人はいつまで経っても俺の胸から離れなかった。

 よっぽどこの突然の事態を不安に思っていたのだろう。


 無事で良かった、無事で良かったと、俺たちは幸福なこの現実に幸せを噛み締めた。


「ジョン……(・_・)」

「なんだ?」


「結婚式、ヤリ直シ、マスカ?(・_・)」

「そう言ったって式場が潰れちまったしな……。今度仕切り直すから、また神官さんやってくれ」


「ア……。ハイ、喜ンデ(=へ=)」

「ソウ言ッテクレルト、ニーア、タチハ、信ジテマシタ。嬉シ、嬉シ……(=_=)」


 都市長のやさしい眼差しが俺たちを見ている。

 彼も深いため息を吐いて、生きてまた会えたことに安堵していた。


 この世界ではちょっとした運命の成り行きで、親しい人間が簡単に死んでしまう。

 後悔がないように生きたいと、2人の美姫を強く抱き締めると、同じように硬い抱擁が返って来た。


 メープルとシェラハゾはその後、疲れと安堵にうとうとと眠りこけて、町からの救援がやってくるまでしがみついて離れなかった。


 こうして命の危機を迎えてわかったことがある。

 俺はこの2人に、これまで誰にも向けたこととがないくらいに強烈な愛情を抱いている。


 幸せにしたい。この情熱の行き着く先が婚姻だと言うならば、俺はメープルとシェラハゾと結婚して、2人がもっと幸せになれるように尽くして生きたい。


 俺はメープルとシェラハゾを愛している。そう自らに認めさせた。

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