・一方その頃、姉妹は――
一方その頃、姉妹は――
「都市長……見て。これ、見て……」
「マク湖の地下に迷宮があったの。あたしたち、そこでこれを手に入れたのよ……!」
「こっちは、ユリウスと2人で、1号迷宮で……」
その夕、2人は話し合った上で、都市長の書斎に押し掛けた。
あの純白と桃色の絹を抱えて、あの3色の宝石も彼に見せたらしい。
「おお……これは、驚きましたね……」
「1度なら偶然……でも、2度なら、必然……。ちっちゃい頃、都市長、言ってた……」
「はい、これは、偶然の一言では片付けられませんね……。運命――あるいは、迷宮に祝福されているのかもしれません。……しかしどうやら、覚悟が付いたようですね?」
「付いたわ。あたしたち、彼のことが嫌いじゃないし……。なんだか、ユリウスって凄くいいやつなのよ……。あたし、もっと支えてあげたいわ……」
「ずっと昔から、知ってたみたいな……感じ……。壁を感じない……」
あの樹の迷宮でたまたま手に入れたシルクは、姉妹に決断を促した。
それは婚姻の決断だ。
目に見えざる大いなる意思が、ユリウスと結ばれろと命じているように彼らには見えたらしい。
「父親として聞きます。貴女たちは、ユリウスさんを愛していますか?」
「わからない……」
「あたしも確信がないわ。でも、そんなに嫌じゃないの……」
「わかる。ユリウスと、一緒に、なったら……絶対、楽しい……。ユリウス、好きかも……」
「彼はあたしたちが面倒見るわ。だって、これって運命だもの……仕方がないわ。す、好きかどうかで言えば、こ、好ましいとは、思ってるかしら……」
恥じらう姉妹に都市長はニッコリと笑い、彼女たちが落ち着くのを待ってからこう言った。
「では急いでドレスを作りましょう。ユリウスくんをその気にさせませんとね! 私にお任せを、騙してでも、彼を私のかわいい娘たちと結婚させてみせます」
「都市長……さすが……頼りになる……」
「結婚、オメデトウ。ニーア、モ、オ手伝イ、シマス(^―^)」
「えっ、ニーアッ?! い、いつからそこにいたのっ!?」
「ごめん、荷物に入ってた……」
俺がツワイクで暗躍している間に、こっちのみんなも密かに俺を出し抜こうと準備を進めていた。
俺も2人のことを好ましく思っている。だがこの感情が、恋や愛かどうかは、まだわからない。
断言出来るのは、あのシャンバラにおいて、メープルとシェラハゾが隣にいない生活はあり得ない。それだけだ。
もし少しでも気に入ってくださったら、画面下部より【ブックマーク】と【評価☆☆☆☆☆】いただけると嬉しいです。
これからもがんばって続けていきますので、どうか応援して下さい。




