・消えたオアシス 1/2
市長邸のラクダを借りて、都から西に1時間ほど進むと大きな町が見えてきた。
家々が円を描きながら立ち並び、その中央には陥没が生まれていた。
「これはまた、綺麗に枯れたもんだな……」
「もう誰も住んでいないはずよ。水がないんじゃ、生活しようがないもの……」
「砂漠は、地獄だぜ……ヒャッハー……」
その陥没がマク湖だった。岸辺は砂地だったが、ある程度深いところからは土が堆積していて、それがカラカラに乾いて固まっていた。
「結構でかい町だったんだな。こんなのが丸ごと1つ潰れたら、そりゃ不景気にだってなるだろな」
「どこから、手を付けよ……?」
「わからん。しばらく見て回ろう」
「そうね……」
木も草も何もかもが枯れ果てていた。
無人の町はまるで墓標のようで、蜃気楼と消えた幸せな生活が俺たちの目にも恐ろしく映った。
これと同じ現象が都で起きたら、シャンバラは終わりだ。
実際に目にしてみると、これは軽視出来ない危険な兆候だった。
「枯れた原因について、お偉いさんはなんて言ってるんだ?」
「わからない、ですって」
「ま、原因がわかってたらもっと具体的な依頼になるか」
「地下水の流れが変わった可能性があると、ある学者さんが言っていたわ」
「ふーん……」
もしも水脈の流れが原因ならば、それは人間の力ではどうにもならない。
消えた地下水の流れを追った方がまだマシだろう。
「何か気になる物があったら報告してくれ」
予定に従って、俺たちはマク湖のあちこちを歩き回り、広い砂漠からたった1つの手がかりを探した。
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