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・ドンパチが始まるぜ 1/2

 それから3日後、素材の調達と精錬が完了した。

 精錬されたレインボークオーツとその他素材は、すぐに現地リーンハイムにおもむいていたマリウスの元へと運ばれた。


「シェラハが恋しいんだろ。先に行っててもいいぞ」

「冗談。ユリウスとの二人っきりの生活、捨てるわけない。寂しいのは、ホントだけど……」


「向こうも寂しがってるだろうし、行ったらいいと思うぞ」

「ん……でも、やっぱり止めとく。グラちんも、姉さんに甘えてる頃だから……」


 俺たちも材料と一緒について行こうかと迷ったが、あっちでがんばってくれているシェラハのためにもこちらに残って、錬金術師とその助手として迎撃の準備に奔走した。


 あの棺は諸刃の剣だ。あれはリーンハイムの救出を実現させる奇跡の古代遺物であると同時に、敵からの転送先にもなってしまう可能性が高い。


 そのため当初の予定を変更して、こちらの防衛体勢も強化することになった。


 金、労働力、時間。全てが足りていないが、皮肉なことにそれがまた景気や雇用を刺激していた。

 絶対に消えないとばかり思っていたスラム街が、もしかしたら消える可能性すら見えてきていた。


「んじゃ、もう少しがんばるか」

「そだね……早く、会いたいね……。姉さん……」


「作戦が始まったら嫌でも呼びつけられる。もうちょっとの我慢だ」

「うん……。姉さんの、水浴びが恋しい……」


「だな……。じゃなくてっ、何言ってんだよ、お前っ!?」

「おお……。さすが、マク湖のエロ神だ……」


「誰がエロ神だ、こらっ! お前のせいで付いたレッテルだろが!」

「超ウケる……」


「だからウケねーよっ!」


 家からシェラハのやさしい声が消えて、ふいに物足りなさや寂しさを感じることも多かった。

 だがメープルはいつだってこんなやつなので、生活に飽きるようなことはなかった。



 ・



 ところが俺たちの予想に反して、家族の再会はその翌日となった。

 シェラハがいないとどうにも昼食を作る気になれず、都市長のところで飯をもらっていると師匠が現れた。


「待たせたな、バカ弟子。すぐにリーンハイムにこい、ついにドンパチが始まるぜ」


 珍しくも扉からだ。聞けば師匠はリーンハイムから転移装置を使って一瞬で飛んできたそうだ。

 俺たちはマリウスのあまりの仕事の早さに驚かされた。


「ドンパチって、あちらの転移装置が完成したのはわかりましたけど、もうこちらから攻めるつもりですか? グラフの世界で、リーンハイムが襲撃を受けた日に合わせた方が効果的では?」

「そこはもちろん議論したぜ。だがあちらの結論は、先制攻撃だ」


 都市長の承認が下りると、俺たちは準備をしてリーンハイムに向かうことになった。

 戦術的には襲撃に合わせるのが効果的だが、国家規模の戦略的にはそうではない。


 向こうの怪物たちの体勢が整う前に、先制攻撃をしかけてこそ事を有利に運べ、次のアタックや迎撃への時間のゆとりを作ることもできる。

 それが女王アストライアの出した攻撃的な結論だった。


あまり書けなかったので、今回含めて4話は1話平均2000字になります。

また近日中に新作を公開する予定です。


レベル0に戻ってしまった元傭兵が、ホムンクルスを従えるレア職に目覚めてインフレ成長してゆくお話です。

10万字でお話が綺麗にまとまります。公開しましたら再度告知いたしますので、どうか読みに来て下さい。

来月はおっさんがチート馬を育てる話を公開したいです。


宣伝失礼しました。

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