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・森エルフ《リーフシーカー》救出の奥の手

 ちょうど日没を迎えていたので、話と一緒に夕食をごちそうになることになった。

 俺たちは邸宅の食堂に集められ、遅れて都市長と一緒に客人がやってきた。案の定、それがあの白いエルフだった。


「に、人間……!? 君たちは人間と結婚したのかっ!?」

「そだけど?」


 顔を合わせるなり、彼女は俺の耳が短いことに度肝を抜かれていた。

 それに対して、メープルはしれっと返すものだから、俺も堂々とすればいいと反射的に抱いた反感を腹の奥に引っ込めた。


「で、でも……ユリウスがヒューマンだなんて、聞いてない……」

「だって、言わない方が、面白そうだったから……ニヤリ」


 そこは説明くらいしておけよ……。

 しかし彼女がヒューマンを嫌う理由を聞けば、まあそこは納得だった。


 シャンバラは交易の中継地点として発展して、近隣諸国との友好関係を構築した。

 対するリーフシーカーは森へと引きこもり、孤立主義を貫いた。


 そんなリーフシーカーにとってヒューマンは、森を脅かす恐ろしい存在だったようだ。


「種族はヒューマンだけど、俺も師匠も、ここにいるマリウスも今やシャンバラの一員だ。喜んで協力するよ」

「だ、だけど……ヒューマンは悪いやつだから、近付いちゃダメだって、女王様が……」


「ふんっ、あながち間違ってもいないな。人から工房を奪い取るクズもいる。俺はマリウス、ツワイク王国出身の技術者だ。ユリウスからの勧誘により、今日からこの地に力を貸すことに決めた者だ。よろしく」


 マリウスの社交能力が高くて助かった。

 特に俺から紹介する必要もなく、自分から組織にとけ込もうとしてくれた。


 それからグライオフェンと名乗る彼女から、現在の窮状を一通り聞いた。

 その頃には美味い夕食に腹も満たされていて、宿題として残された援軍の問題をどうにかするだけだった。


「聞いてみた感想、女王が使ったというその転移魔法、俺たちが知っているものと少し違うな……。到着先でいちいち光の柱が生まれていたら、目立つことこの上ない。それにゾーナ・カーナ邸に現れたという点も気になるな」

「ええ、そうですね……」


 都市長としては因縁の地だ。付け足すならばあそこで俺たちは死にかけたくらいだ。


「あそこ、まだ何かあるんじゃないか?」

「へっ、転移魔法の才能のねぇやつを、五体満足で目的の場所に転送する何か。そういう変な物がある可能性はあるな」


 そこまで話がまとまって、師匠がやっとこさ口を開いた。

 転送先があの場所だったことに何か意味があるはずだ。そこから糸口を探ってみよう。


「ふむ……もう一度、調べる価値がありそうですね」

「つまり……グラちんが、こっちに飛んできた方法を、解明すれば……。私たちも、同じ方法であっちに行ける……ってこと……?」

「ちょっと待て、グラちんってなんだ?」

「ボ、ボクのことだ……。似合わないから止めてくれと、言ってるのに……」


「むふふ……」

「妹がごめんなさい。グライオフェンさんに懐いてしまったみたい」

「いえ、シェラハゾさんがそう言うならボクは別に……!」


 シェラハは彼女に一目置かれているようだ。

 俺の知らないうちに、姉妹はすっかりグライオフェンと仲良くなっていた。


「明日朝一で調査を行い、それでも糸口が見つからなかったらプランBといこう」


 そう話を進めると、メープルが挙手をした。

 どうせろくなことじゃないことはわかっていたが、しょうがないので発言させた。


「姿を消すアイテム希望……。それがあれば、国境越えられる……。それに、もっとビジネス変態的な至近距離から姉さんの裸――むぐっ?!」


 危なかった。こんなこともあろうかと、メープルの口にいつでも長パンを押し込めるようにしていなかったら、俺が美姫の水浴びをのぞいているのを、最悪の現場でバラされるところだった。


 メープルは長パンをちょっとかじると、俺をからかうのが目的だったみたいでそのまま黙った。


「えっ、シェラハゾさんのなんですか?」

「なんでもない」


 シェラハに流し目を向けると、胸を隠しながら真っ赤になっていた。

 俺たち、次のステップまではまだまだ遠いな……。変な汗が吹き出して頭がおかしくなりそうだった。


「それでユリウスさん、プランBというのは、具体的にどういった作戦でしょうか?」

「俺が直接精鋭を連れてリーンハイムに転移する」

「アホ抜かせこのバカ弟子ッッ!! そういう使い方止めろつってんだろっ!?」


「けど他にないじゃないですか。そうしないと全滅なんでしょう? ならバクチしてみるしか―…―」

「ダァァァーーッッ!! 嫁さん悲しませるようなことすんじゃねぇよっ、このドアホがッッ!!」


 師匠に頭をぶっ叩かれて、プランBは却下になった。

 最悪は本当に透明になる薬を作るしかないのかもしれない。


 それでも向こうにたどり着く頃には、全てが終わっていてもおかしくない。となれば、バクチだって悪い奇策でもなかった。

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いつもありがとうございます。投稿ストック0なので、これから書きます。連載もし止まったらごめんなさい! どうにかします!

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― 新着の感想 ―
[一言] 複数人数の転移は副作用がデカいから意味ねーだろw ユリウス一人で爆弾テロやった方が効果的じゃね?(明後日の方を見ながら
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