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天使の攻撃

 朝六時、俺は目が覚めた。


「あれ?ここどこだろ?」


 寝ぼけていてどこにいるのかわからなかった。


「あ…篠原さんの家にいたのか、ってこれ動けねぇ、こっちまできたのかよ」


 今、壮太の腕は芽衣が抱き枕として使っていた。


「当分動けそうにないな…」


 起こしてしまっては悪いので、静かにしていた。

でもそれは時間の問題だ。柔らかくて暖かいあれが当たって、それを押し付けるようにぎゅっと手をかかえられていた。

簡潔に言うと、腕があれに挟まれていて理性が崩壊しそうということ。

すると芽衣も起きたらしい。ゴソゴソと動いた。


「ふぁぁぁ…」


「…」


「あっ…お、おはようございます」


 芽衣は顔を真っ赤にして、俺の手を離した。


「おはよう」


「あ、あの少し出来心といいますかその…多分ベッドから落ちたんだと思います!あのですね、」


「そうか、大体想像できてしまったりするからもう言わないでくれ」


「はーい」


 なぜか芽衣はニコニコしていた。しかし俺は知っている。ベッドから布団まで距離があるというこ

とを。


「朝ごはん、作りましょうか」


「あぁ」


 そうして顔を洗って、歯を磨き、朝飯を食べた。

朝七時、俺と芽衣は俺のマンションに行った。荷物を取るためだ。


「壮太君のマンションって思ってたより近かったです。」



「だな、俺もこんなに家が近いと知らずに一年間過ごしていたとは」


 そんなことを話しているとすぐに自分の部屋に着いた。


「ちょっと待っててくれ」


 そう言って鞄を取りに行った。授業に使う持ち物を鞄に詰め込んで外に出た。

そして、学校に向かう途中で、


「壮太君、今更なんですけど、学校に行くの早すぎましたね。」


「ん?…あ、まだ七時半か…」


 俺からしたら、いつもより一時間早い登校だった。


「早すぎたな」


「ですね、いつもより三十分早いです」


 芽衣はいつも八時に着いているのか、早いな…って俺が遅すぎなだけだ。


「壮太君、授業で分からなかったところはどこが分からなかったか分かるように、目印や線を引いておいてくださいね」


「ん、わかった」


 そして朝八時四十五分、授業が始まった。

一限目は国語。とりあえず分からないところに線を引いてみた。

今日は五十分授業なので、九時三十五分に授業が終わった。

変わったことといえば…国語の授業中起きていた。

周りからは、「そ、壮太が起きてる」とか聞こえたけど無視した。

教師までもが俺にどうしたんだという目を向けている。

おいw、教師、そんな目で見るのやめろ。

そして授業が終わり、


「壮太君、授業どんな感じでした?」


 周りは俺に冷たいまなざしを送ってきた。


「なんか線引いてたら寝る暇なんかなかったわ」


 そう言って俺は教科書とノートを見せた。

すると芽衣は少し苦笑いをして、


「うわぁ、全然ですねぇ、土曜日は国語ですね。ってもっと丁寧に書いたほうがいいですよ」


 まじか、今週もありか、なぜか嬉しいんだけどね。でもやっぱり字は汚いか…


「ま、またよろしくお願いします」


「うん!壮太君にお願いされるなんてとてもうれしいです。次の数学の授業はもうちょっと字を丁寧

に書いて頑張ってくださいね」


 芽衣はとてもやさしいな。俺はほんわかしていたけど、周りは冷たくて殺意のある目線を突き付け

ていたが、芽衣がそれに気づいて、周りを見渡すと解決した。芽衣のおかげで、カッターとかナイフとか飛んでこなくてよかった。

そして数学の授業ではなんと、前半は先週の復習から始まり後半は応用問題だった。なんと、復習の時間はほとんど解けたのだ。応用は少し解けた感じだった。芽衣には感謝しかない。

しかし、ほかの教科はほとんど線まみれだった。

そういう風な感じで線を引いて授業を受けた。

昼休みには、芽衣と昼食をとった後、分からなかったところを少し教えてもらい、学校が終わればバイト、そんな生活が続いていた。

そして四日後の終礼後、


「壮太君、明日朝七時に待ってますね」


「はいよ」


 すると少し遠くで、原…原田だ、原田と目が合ってこっちに来た。


「如月、お前も次の調理実習で勝負な、どっちがうまいって言わせれるか。次は作るものが自由だからな。負けたままでは嫌なんだ。」


「はぁ」


 それから新作は少し間を開けて、


「篠原さん、先週は彼のことを悪く言って済まない。しかし勝負の件は負けないから、せいぜい指を

くわえてみているんだな」


「はいはーい、ガンバッテクダサイネ」


「ちっ…まあいい、テストの日を楽しみにしているんだ」


俺は、すごーい話をしているんだなーと思いました。


「壮太君頑張りましょうね」


突然声をかけられたので、声が裏返ってしまった。


「ひゃい」


「声が、ふふ」


 そして、新作が遠くに行ったとき、


「あの、やっぱり私が壮太君の家に行っていいですか?」


 いやいや、俺に家の中を見られたら…部屋がぐちゃぐちゃだ。


「また今度にしないか?」


「はい。また、今度、ですね」


「じゃあ、今日は私の家に泊まってください」


「勉強尽くしのディナー付きか。バイト後でいいか?」


「はい。やった!」


 そういう話をしながらバイトのあるコンビニまで行くと、芽衣もついてきた。

すると、店長と話をしてスタッフルームに入って行った。

そして、今までどうり十時まで働き、着替えようとスタッフルームに入った。

すると、ここのスタッフルームには真ん中に机があるのだが、その机の上はいつも散らかっている。

しかし片付いていた。そして、そこの机で芽衣が勉強していた。


「壮太君お疲れ様です。早く着替えてくださいね、重大発表があります」


 そう言ってすぐに出て行った。芽衣もここでバイトをするのだろうか?

そして着替えて芽衣にどうしたのか尋ねた。すると、


「壮太君、バイト頑張ってますけど頑張りすぎですので自給を少し上げてもらいました」


 芽衣の話によると、一日五時間のバイトを週に五日。大体一か月は四週間あるので、仕事を行う日

は二十日、そして時給は千円であり、一か月あたり十万円稼いでいることになる。

芽衣が話していたのは、それを変更する話だったという。

時給がなんと千五百円になり一日三時間のシフトになった。

時給こんな高いのなかなかないぞ?


「そ、そっか、芽衣ちゃんすごいな」


「勝手に変えてごめんなさい。でも、これで一緒にいる時間が増えましたね」


 ニコニコ言うのは反則だなぁ。

…ん?なんで一緒にいる時間が欲しいんだろ?

そして、とりあえず聞いてみた。

ふー、聞いてもいいことなのかな?…まあいいか。


「あのさ、芽衣ちゃんはさ…好きな人いるの?」


「…」


「あ、ごめん。気になったけど忘れて…」


 少し沈黙が出来た。芽衣の表情はこいつは何聞いてんだ?みたいな驚いた表情になっていた。


「あのですね…いるのはいますよ」


 え…いるんかい、俺今やばくない?


「じゃあ俺さ、今ここにいたらやばくない?」


 すると、芽衣は顔をほんのり赤くして驚いたような顔をして言った。


「いつか…ううん、せめて高校終わるまでには私からいってみようと思います。なので、気づいてく

れることを願うばかりです」


「そ、そっか」


 そんな話をしていると家の前に着いた。


「ほんとに俺は良いのか?」


「はい!」


 もう、芽衣はいつも通りに戻っていた。

そして、風呂は結局各自の家で入り、また芽衣の家に集合して夕飯を作った。

その夕飯中、


「壮太君は好きな人いるんですか?」


「ゲホゲホ」


 俺かぁ。


「気になっている人ならいるけど、それが好きなのかはわからない」


 思わず真剣になって答えてしまった。


「なるほど…で、誰なんですか」


 へへへ、芽衣ちゃんです。…って言えねぇよ。


「多分一番お世話になってる人、あ」


 やべ…言い過ぎた。


「えへへー、いいこと聞きました。私も負けないように頑張りますね!」


 え?そうなるか…まあ一件落着ってことかな?


「そっか…頑張って?」


 すると芽衣が悪いことを思いついたような顔をして言った。


「壮太君、今日は一緒のベッドで寝ましょうよー」


 は?…おま…好きな人いるんじゃねぇの?


あ、涙目になってる。俺の服の裾持った。完全に本気だな。仕方ないのかな?


「ほんとにいいのか?好きな人いるんだろ?」


 すると芽衣は固まった。


「そ、壮太君、まだ気づいていないんですか?まあいいですけど」


 ん?俺なんかした?何のことだろう…


「まあ、壮太君が嫌なら別に一緒じゃなくてもいいです。嫌じゃないならいっしょがいいなーなん

て」


「そっか分かった」


 なるほど…俺が普通を知らなかっただけか。


「一緒でもいいんですね?」


 芽衣は後ろを向いて顔を真っ赤にしていたことを壮太は知らない。


「うん?うん」


 そして、歯を磨いて芽衣の部屋に入ったとき芽衣が顔を枕に押し付けて話し始めた。


「壮太君、私が絶対全校生徒の前で告白させますからね!期待していてください♪」


「…は?」


「おやすみなさい」


  一方的に告げて布団に入っていった。俺はこの隣で寝るのか…なんか緊張する。


「おやすみ」


 そして俺はまた早く寝てしまった。夜の十二時日付が変わる前に寝ていたのだろうか?






「そ…壮太君」


 小声で耳元で言ってみたものの返事はなかった。


「女の子と寝てるっていうのに…、もう」


 そんな寝ている壮太には、芽衣が何をしても文句は言えないと、壮太のほうに寄っていった。

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