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心苦しい決着

 クリムはにやりと笑い、グルザークに近付いた。


「バカが‼ ボックスアーマーの弱点だと? そんなものは決してない‼」


「いいえあります。ボックスアーマーは物理や魔法の攻撃に対しては確かに無敵です」


 そう言うと、クリムは魔力を開放して炎を発した。飛んでくる炎を見てはいたが、グルザークはその場から動かなかった。この程度の炎なら傷一つ付かないだろうと思っているのだ。


「無駄だ無駄だ‼そんな炎で焼ききれるものか‼」


「では試してみましょう」


 その後、二人の意地がぶつかるような展開となった。クリムは強力な炎を発し続けているが、グルザークにはダメージが一切通らなかった。この光景を見て、ボーノはシュウに話しかけた。


「いいのかよほっておいて」


「はい。クリムも何か考えがあるとみて動いているんです。俺はクリムを信じます」


 と、シュウはボーノに答えを返した。


 意地のぶつかり合いが始まって数分が経過した。最初、グルザークは余裕なのか笑っていたが、徐々にその笑い声が聞こえなくなった。代わりに聞こえてくるのは、苦しそうな声だった。


「ぐ……うぅぅ……」


「あれ? ダメージを喰らってるのか?」


 ボーノはボックスアーマーを見たのだが、ボックスアーマーには傷一つ付いていなかった。ただ、先ほどと変わって少し赤くなってきている。


「分かった。ボックスアーマーの弱点」


「マジで?」


「俺も気になる」


 シュウの一言を耳にしたボーノとスネックは、シュウに近付いて答えを聞いた。


「ボックスアーマーはカッテ鉄で出来た鎧です。頑丈なのですが、熱を加えれば鉄板のように熱くなります。鉄製ですから」


「そうか。クリムちゃんはそこをついて攻撃しているのか」


 答えを聞き、二人は納得した。その直後、グルザークは魔力を周囲に拡散させて周りの炎を消し、ボックスアーマーを脱いだ。


「クソッたれが‼」


 ボックスアーマーを脱いだグルザークの肌は、赤く染まっていた。それを見て、クリムは巨大な氷柱を作成した。


「そんなに熱いなら、冷やしてあげますよ‼」


 そう叫ぶと、クリムは巨大な氷柱をグルザークに向けて放った。


「あ……マジかよ……まだそんな魔力が」


 グルザークは言葉を発していたのだが、その途中で巨大な氷柱はグルザークを押しつぶし、破裂した。周囲に氷柱の破片が飛び散ったが、次第に溶け始めた。そして、その中から倒れているグルザークの姿が見えた。


「終わりですね」


「さ、お前らも俺達の言う事を聞きな」


 シュウは銃を持ち、ボーノは魔力を開放して周りの部下にこう言った。




 数分後、シュウ達は中にいたタルトとフィアットと合流し、ハチェーズTVから外に出た。その同時に、無数のマスコミがシュウ達を取り囲んだ。


「事件は終わったんですか!?」


「一言お願いします‼」


「今後、どうなるか教えてください‼」


「すみません、まだ仕事が残っていますのでお答えする時間はないんです。ご了承ください」


 タルトはこう言うと、そそくさとシュウ達と共にシュガーの元へ向かった。


「事件は終わったんですね……」


 ゼルがこう聞くと、クリムが頷いて返事をした。だが、クリムの表情はどこか曇っていた。それはシュウもスネックもボーノも一緒だった。


「事件は終わったけど、ハッピーエンドじゃねーもんなー」


「助けられなかった命もあったし」


 スネックとボーノは、担架で運ばれる会長の遺体を見ながら呟いた。ゼルは無残な姿となった会長を見て、肩を落とした。




 事件が終わって翌日が経過した。バカップルとシュガー、ミゼリーは一日ホテルで休むように言われた。戦いが激しかったせいで、かなり体力と魔力を消費したからだ。


「はぁ……」


 ベッドの上で、クリムはため息を吐いていた。横にシュウがいたのだが、シュウも元気がなかった。


「もう少し、私達が早く動いていれば……」


「そうだな……」


 バカップルは会長が殺されたことを気にしていて、ずっと元気がなかったのだ。テレビでは昨日の出来事がニュースとして放送されており、その中で会長の孫らしき少女が涙を流しながら会長が入った棺桶の前で泣いていた。


「先輩……」


 クリムは小さな声でそう言うと、シュウに抱き着いた。


「今日一日は私から離れないでください」


「俺も同じ気分だ。クリムと一緒にこうしていたい」


 そう言って、バカップルはベッドの上で抱き合い始めた。そんな中、シュガーとミゼリーが部屋に入ってきた。


「イチャイチャしてる中ごめんね~」


「元気付けに来たわよ」


 と、二人はそう言ったが、バカップルは抱き合ったまま動かなかった。ミゼリーはため息を吐き、バカップルがいるベッドに座った。


「今回は一人の命が犠牲になったけど……自分のせいにしないで、あれはあいつらが無理難題を押し付けたのが悪いのだから……」


 そう言ったが、バカップルは返事をしなかった。ミゼリーはため息を吐いてこう言った。


「人の命がかかってる仕事をする以上、絶対に人の命が奪われるってことがある。私も何度も体験したわ。罪悪感を感じる気持ちは分かるけど、それでくじけちゃダメよ。次は必ず助ける。その為にどうすればいいか、考えて行動しましょう。今回の場合は相手が悪い。あなた達が悪いってわけじゃないわ」


 そう言って、ミゼリーはバカップルの頭を優しくなでた。その後、ミゼリーはシュガーに戻りましょと言って、部屋から出て行った。部屋から出る中、シュガーは一言も発しなかったバカップルを心配していた。

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