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欲望渦巻く海の中

 シュウ達はダイバースーツに着替え、海の中へ潜って行った。


「うわー、綺麗ですねー」


 耳につけてあるイヤホンから、クリムの声が聞こえた。クリムの言うとおり、シュウの前には綺麗なサンゴやいろんな種類の魚が存在し、海の中を彩っていた。


「すごいな……クリム、今度のデートは海に行くか?」


「はい‼ 先輩と海のデート……」


「おーい。互いの水着姿の妄想は止めて仕事に入ってくださーい」


 と、話を聞いて呆れたティラがこう言った。その言葉を聞き、バカップルは話を止めた。そんな中、ラックから通信が入った。


「僕達以外の人が入ってきます。どうします?」


 ティラは後ろを振り向くと、そこには似たようなダイバースーツを着た他の人達がやって来ている光景が目に入った。


「ったく、あいつらはあの船の宝を目当てに来てるってわけか?」


「多分そうですね……」


「仕事の邪魔をしてこなければいいんですが」


 クリムは不安そうにこう言った。


 それからしばらくシュウ達は船を探しに潜って行くと、大きな沈没船を見つけた。船の看板にララバイソングと書かれていたため、これが目的の船だと一同は察した。


「どうやら、私達が一番乗りのようですね」


「だけど、中にいるかもしれません」


「ラックの言う通りかもな。見てみろ、逃げて出てくる奴がいる」


 シュウは船から慌てて逃げて脱出しているダイバーを見て、こう言った。これを見て、クリムは船の中に何かがいると察した。


「確か三十年だっけ? そんだけ海の中にいるとやっぱりモンスターの一匹や二匹、住み着くわなー」


「いや、もっといるかもしれませんよ」


「ま、襲ってきたら返り討ちにしないとね」


 会話を終え、シュウ達はララバイソングの船内に入った。船の中にあった後される家具が水中に浮いており、骸骨には小さな魚が住み着いていたりしていた。


「モンスターは見当たらないな……」


「きっと、どこかに隠れているんですよ」


「武器は持っておけよ。それと、海中ではロクに魔法を使えないから注意しろよ、特にクリムとラック」


「大丈夫です。光と闇なら海中でも使えます」


「僕は援護をします」


「ああ、頼んだ」


 それからしばらく船内を探索していると、遠くから泡が見えた。


「誰かいる」


 シュウはその場に止まり、空中用の銃を持って動きを待った。すると、そこから一人のダイバーが慌てて泳いで出てきた。


「何か逃げてきたようですね……」


「ちょっと待て、何か出てくる」


 ティラの言葉の後、逃げたダイバーを追うように紫色のクラゲが何体も出現した。それを見て、クリムは叫んだ。


「気を付けてください‼あれはポイズンクラゲ。綺麗な紫色ですが、とても危険な毒を持っています。それに、奴の全身には細かく鋭い棘がいくつもあり、ダイバースーツを着ていてもその棘は貫通します‼」


「まずい奴に追われてるなー」


「助けましょう」


「無暗に攻撃するな。奴は攻撃を喰らったら破裂する。その際、見えない棘が周囲に散らばるぞ」


「そうか……」


「私に任せてください、奴らを闇に封じれば何とかなるはずです」


 その後、クリムはポイズンクラゲの群れの中央に闇を発生させ、群れを閉じ込めた。そして、攻撃を行いポイズンクラゲを破裂させた。


「ほうほう、闇を使って棘を消し去るのか。考えたな」


 クリムの攻撃を見ていたティラは、感心してこう呟いた。その後、終われていたダイバーは頭を下げて礼をした後、そそくさと逃げて行った。


「結構危険な場所だな……」


「そうですね」


 バカップルがこう会話をしていると、突如ブザーのような音が鳴り響いた。


「もう空気がないようですね」


「いったん戻ろう。今日はここまでだ」


 会話をし、シュウ達は海から上がって行った。




 その日の夜、モリスはシュウ達を屋敷に案内していた。モリスが依頼期間はここで過ごしてくれと言ったからだ。


「すごい食事……」


 クリムは目の前にある豪華な夕食を見て、目を丸くして驚いていた。


「これ……本当に食べてもいいんですか?」


「はい。お疲れのようですし、栄養のある食事をして英気を養ってください」


「じゃ、遠慮なく」


 と、ティラはワインを取り出し、飲み始めた。


「では、私は妻と共にいますので、御用の時は何なりと申し上げてください」


 そう言って、モリスは去って行った。


 食事後、バカップルは屋敷のメイドに案内された部屋でくつろいでいた。


「いやー、おいしかったですねー」


「ああ。明日もこんな食事が出るのかな?」


「多分そうでしょう。食べすぎには注意しないと」


 クリムはそう言って、自分の腹をつまんだ。そんな中、ティラが風呂桶を持って、部屋に入って来た。


「おい、風呂に行くぞ風呂に‼」


「私は先輩と入りますので結構です」


「たまにはお前の背中を洗わせろ‼ 野郎は野郎同士で風呂に入ってろ‼」


 と、無理矢理クリムを引っ張ってティラは去ってしまった。その光景を見て、シュウは仕方なくティラの後を追って風呂場に向かった。


「はぁ……俺もクリムと一緒に風呂に入りたいのに……風呂の中でイチャイチャしたいのに……」


 脱衣場で、シュウはぽつりと本音を言った。

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